【インタビュー】大森元貴 [Mrs. GREEN APPLE]、ソロのすべてを語り尽くす「表現者として、どこまでやれて何が出来るか」

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■このタイミングで「Midnight」が書けたことが
■すごく大事なターニングポイントだと感じている

──では、「Midnight」の音楽的なアプローチについても詳しく聞かせてください。ミセスでも、ヒップホップやEDMテイストの強い楽曲がありますが、それらはエッセンスとして取り入れつつ、必ず最終的に、J-POPとして成立するように曲を仕上げていたと感じています。ところが「Midnight」に関しては、ダイレクトにヒップホップ/EDMとして曲を構築しつつ、そこに少しだけJ-POP感を漂わせるというように、比率が大きく変わったように感じます。そこは意図的に、そういうサウンド感を狙ったのですか?

大森:確かに、「Midnight」にはいろんなジャンルが入り混ざり過ぎちゃって、自分でも何と呼べばいいのか解らないんすけど(笑)、そのボーダレスな感じが面白いのかなって思いながら作りました。この曲のジャパニーズポップな部分って、題材だと思うんですよ。

──つまり、“Midnight”=“真夜中”?

大森:そうです。真夜中って、気が滅入っちゃうし、いろんな人から「それは考え過ぎだ」って言われるけど、僕にとってはそういう時間帯で。だけど最高の遊び場だし。“真夜中”って、どうしても“陰”の題材にはなってしまいますが、でもそこが非常に日本っぽいなと感じながら歌詞を書きました。じゃあ、題材が“陰”ならば、サウンドはより開けていたほうがきっと面白いだろうし、さらにそこで、僕がバキバキにダンスをしていたら、もっと面白いだろうなって(笑)。そういう感じで曲を作っていったんです。だから、本当にいろんな要素が入り混ざり過ぎて、ジャンル感とか、自分でもよく解んないんですけど(笑)、比率としては……どうなんでしょうね? ある人は「K-POPっぽい」って言うでしょうし、ある人は「ヒップホップだ」って言うでしょうし。でも、僕もよく解らないですし、作りながら本当に不思議な感覚になりました。


──てっきり、音楽的なイメージありきの曲作りだったのかと思っていました。そうではなく、“真夜中”というキーワードから、すべてが広がっていったのですね。

大森:そうです、そうです! そういう意味でも、やっぱりソロって内省的なんだなって思うんですよ。そう言い切ると、それはそれで難しい話になっちゃうんですけど、ただ本当に、自然と出てきた題材だったので。

──“真夜中”というキーワードは、どのように出てきたのですか?

大森:曲作りの時って、まず“テキトー英語”でいろんなフレーズを歌うんです。その中で、“Midnight”という単語とメロディが、一番最初からはっきりと出てきたんですよ。その瞬間に、“ここから広げていけばいいんだ”と思って。

──曲の冒頭から歌われる“Midnight”というフレーズの印象度が、ものすごく強力で。サビでもこのフレーズが繰り返されて、3音で構成されるこのシンプルなメロディを軸として1曲を成立させるって、これはすごいことだと驚きました。

大森:ありがとうございます。このタイミングで「Midnight」が書けたこと、そしてリリースが出来たということが、長い目で見ても、すごく大事なターニングポイントだと感じていて。それはミセスの“フェーズ2”にもつながっていくと思うし。そもそも、サビでずっと曲タイトルを繰り返し歌うって、今まであまりなかったことなので。だから、すごく解りやすい曲ではあるんですけど、それは簡単ということではなくて、曲のディテールまでちゃんと凝って作り上げられたし、いい意味で、意図的ではなく、自然な流れでそこに至ることが出来たことが、すごく嬉しいことだと思っています。

──まさに、ヒップホップとK-POP、J-POPのミクスチャーで、それって、そう簡単には生み出せるものではないですよね。

大森:そう言っていただけて嬉しいです。しかも、自覚なくそれが作れて。“楽しいな” “ノッてきたな” “この感じがいいな”って作っていたら、自然とこういう形になったんです。だから決して、“ヒップホップとJ-POPを融合させよう”とか、最初から考えていたわけじゃなくて、行き着いた先がそうだったし、その結果をそういう風に感じていただけて。だから僕も、曲についてお話しさせていただけて、すごく面白いんですよ。“ああ、なるほど。この曲はそうなんだ”って、改めて知ることもできました。


──どういう風に「Midnight」が生まれてきたのか、それを大森さんから直接聞くことができて、僕も嬉しいですし、きっと読者のみなさんにも喜んでもらえると思います。そのうえでもうひとつ、作詞でKyteさん、編曲でD&Hさんとコラボレーションした経緯を教えてください。これまでの楽曲は、基本的に大森さんが作詞・作曲・編曲のすべてを手がけていましたよね。

大森:確かに。そうです。

──今回、お二方とタッグを組んだ理由は?

大森:楽しいことがしたいなって思ったんです(笑)。他の人のエッセンスをいただいて、化学反応を起こすっていう。バンドだと、メンバー内でそれが出来るんですけど、ソロになった時に、他のクリエイターさんが持つエッセンスが、僕は非常に楽しそうに見えたんですね。でも、だからと言って曲の作り方は変えていなくて、まず僕一人で、そのままリリースしてもいいくらいにガチガチにアレンジも固めるんです。今回はそこから、例えばアレンジに関しては、「もっとキックをこう聴かせたい」とか、「もっとワクワクするようなサウンドに出来ないか」といったことをD&Hさんと話をさせてもらいました。その作業がとても面白かったですね。

──なるほど。まずアレンジに関しては、新たに手を加えてもらうというよりも、大森さんが完成させたアレンジを、D&Hさんとさらにブラッシュアップさせていくという作業だったんですね。

大森:そうです。僕が作った状態を、もうちょっとワイドにしてもらって。「グローバルに」って言うと、すごく言葉が大きくなってしまいますが、「ワイドにして欲しい」という話はしました。

──つまり、“海外進出”っていう仰々しい話ではなく、今やサブスクリプションや配信で世界中に届けられるのだから、言ってみれば“いろんな国の人により届くように”といった意味でのワイドさ、ですね。

大森:そういう感じです。何だかんだ言って、結局は日本人が歌っているJ-POPなわけで。でも、そのJ-POPにもっと多様性があるといいなと思っているし、今は世界中に音楽を届ける術がいくらでもありますから、この曲が自然と多くの人に届いていけばいいなと。

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