【インタビュー】大森元貴 [Mrs. GREEN APPLE]、ソロのすべてを語り尽くす「表現者として、どこまでやれて何が出来るか」

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■こういうエンタメがなきゃ面白くないよね!
■っていうものを自信持ってお届けします

──大森さんの中では、個々の“点”に見えるあらゆる事柄が、すべて“線”としてつながっているんですね。ここで、カップリング曲についても話を聞かせてください。元松美紅 (ぷらそにか)さんをゲストボーカルに迎えたデュエットソング「メイプル」は、どういうイメージで作っていったのですか?

大森:「メイプル」って、実はミセスを結成した年に作っているんですよ。だから、2013年頃にワンコーラスだけ作っていて。それがすごくストレートな歌詞なんですね。今だと、もうなかなか書ける曲じゃない。それが面白いなと思って、じゃあフルコーラスを作って、これを出そうと思ったんです。「ヒカルモノクラクナル」も、ほぼ同じ時期にワンコーラスだけ作っていて。「メイプル」よりも、ずっと前かな。でもどちらの曲も、当時に書いた歌詞は全然直してないんです。だから1つのEPの中で、すごく新しいことをやった「Midnight」と、学生の頃に作った、僕の根本にある創作性が表れている「メイプル」と「ヒカルモノクラクナル」が対比になっているという、非常にバランスの取れたものが出来たんじゃないかって思っています。


──学生時代に書いた歌詞とメロディでありつつ、今、それを改めて歌う、リリースするということで、大森さんの中では、この2曲が持つ意味合いにも変化があったりしたのでしょうか? それとも、当時とは変化はなく?

大森:いや、変わりましたね。かなり変わったと思います。過去曲とは言え、ミセスでリリースしなかったわけですし、当時のライブでも演らなかった曲なわけで、自分の中で、この曲をお蔵入りさせていた部分が何かしらあったと思うんです。当時って、今の何十倍も曲を書いていたんですよ。それこそ「ヒカルモノクラクナル」は、1日に必ず3曲を書くっていう、そんなめちゃくちゃなことをやっていた時期の曲で(笑)。そういう意味で言うと、すごく承認欲求がある状態というか、干からびないために、ずっと自ら、水を自分に与え続けるという作業を延々としていた時期の楽曲だし、「メイプル」に関しても、何でこういう“どストレート”な歌詞が書けたのか、自分でも解らないものになっていて。この2曲って、これはいい意味だと思うんですけど、書いた当時は、そんなに重要視していなかった楽曲なんですよ。それが今回のタイミングで、改めて一連の過去曲を聴き返していった時に、単純に“いい曲じゃん”って思えた2曲なんです。

──お蔵入りさせていた時とは、違った感覚で聴こえたんですね。

大森:まず、当時の自分とは全然違うところに行った自分が、すごく客観的にこれらの曲を聴けるようになったということ自体が、曲を書いた頃とはまったく違っていて。特に「ヒカルモノクラクナル」は、本当に曲を量産していた中の楽曲なので、1曲1曲に対する重みが、ぶっちゃけ、今よりも全然軽かったと思うんですよ。ただ、それってクリエイターの勝手な価値判断なだけであって、楽曲そのものを見つめ直すと、その時期に大事な曲を作れていたんだなって、本当に思えたんです。それはすごく自信にもなりましたし、過去曲に対して、そういう風に思えること自体が、当時の自分とは、この曲が持つ意味合いが変わったんだなって感じます。これはすごく面白い発見でしたね。


──ちなみに、ソロでアルバムを作るという計画はないのですか? と言うのは、ここまでアート性の高い楽曲をエンタテイメントとして成立させていて、しかもこれだけのバリエーションで聴かせるということに成功しているので、ぜひアルバムとして、ひとつの作品を見てみたい気持ちがあるのですが、そのあたりは視野に入れていますか?

大森:えっ、アルバムですか? いや、それはまったく考えてなかったですね……ただ、何と言っていいのかな……ミセスの“フェーズ2”が始まるからと言って、もうソロはなくなるという考え方はしていないので、そうですね、ゆくゆくは何か出来るといいなとは思います。

──そうした将来的な展開も楽しみにしつつ、今回の作品が、ミセス“フェーズ2”に対して、一体どのようにリンクしていくのか、多くのファンが注目していると思います。最後に少しだけ、ミセス“フェーズ2”が一体どういうものになるのか、ヒントをいただけますか?

大森:結局、ソロもミセスも、作っているのが僕っていう、同じ人間なんですよ。だから、両者をきれいに線引き出来ているのかっていうと、それはマインドの部分でしかなくて、物理的に線引きが出来ているのかどうかは、自分でも解らなくなる時があるんですけど……ただ、う~ん……これも誤解を恐れずに言えば、いい意味でも悪い意味でも“フェーズ2”って、ものすごく期待を裏切るものになると思うんです。それは意図的でもあるし。だからこそ、僕らも今、すごくドキドキワクワクしていて……ワクワクと言うよりは、ドキドキソワソワのほうが勝っているんですけどね(笑)。ただ、これはちゃんと言っておきたいことなんですが、休止期間をいただいたことで、世の中のみなさんが大事にしてくださるMrs. GREEN APPLEというものがありつつ、“僕ら自身が大事にしたいMrs. GREEN APPLEって何なのか?”ということを、すごく考える期間になりました。それを考え抜いた末に、意図的に期待を裏切るっていうことになると思いますから。僕も人間ですから、バンドを休止させてもらった1年ちょっとの間に、やっぱりいろんな変化があったし、だからこそ、そこから生まれてくるものが新しいエンタテインメントだと思って、みなさんにはミセスの“フェーズ2”を楽しんで欲しいなって思っています。……ただ日本人は、すごく不得意なものが始まると思うんですけどね(笑)。

──わっ、最後の最後に爆弾発言が(笑)!

大森:あははは。いや、解んないですよ(笑)。まあ、不得意というか、あまり耐性がないようなアプローチの仕方をたくさんしていくことになると思うので。だからこそ、とても破格的でもあるし、その分、僕らも不安はありますが、“こういうエンタメがなきゃ面白くないよね!”っていうものを、自信を持ってお届けしますし、僕自身、そうしたミセスの“フェーズ2”を、今からすごく楽しみにしています。

取材・文◎布施雄一郎

■2nd Digital EP「Midnight」

2021年8月6日(金) 0:00配信開始
https://lnk.to/MOMidnight
1. Midnight
2. メイプル
3. ヒカルモノクラクナル

Motoki Ohmori 'Midnight'
Streaming will be available from 0:00 am(JST) on August 6, 2021


■絵本『メメント・モリ』

文・大森元貴
絵・大谷たらふ
定価:1,980円 (税込)
発売日:2021年9月15日(水)
仕様:A4菊判変形・並製・32頁予定
ISBN:978-404-8970976
発行:株式会社KADOKAWA
予約特典:直筆サイン(印刷)付 絵本イラスト「メメント・モリ」歌詞カード
(1)Amazon.co.jp〈絵柄A〉 (2)楽天ブックス〈絵柄B〉 (3)HMV & BOOKS online〈絵柄C〉 (4)タワーレコード〈絵柄D〉
予約リンク: https://lnk.to/mommbook


■1st Digital EP「French」

2021年2月24日(水)配信開始
https://lnk.to/MOFrench
1. French
2. メメント・モリ
3. わたしの音(ね)
※iTunes、レコチョク、Apple Music、Spotify、LINE MUSICほか主要配信サービスにてストリーミング/ダウンロード配信
※Motoki Ohmori 'French' is available on Apple Music, Spotify and etc..



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