【インタビュー】NTTドコモ コンテンツビジネス部に聞くdTV×ライブの新展開「映像と音楽の新しい見せ方を提供したい」

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映画やドラマ・アニメなどオールジャンルの映像作品を配信してきたdTVに、新ジャンル「ライブ」が誕生した。デジタルコンテンツが急速な進化を遂げている現代において、さらなるライブへの価値向上を見据えた取り組みとも言えそうなパワーアップを見せている。

「ライブ」カテゴリには、過去のライブ映像やミュージックビデオなどの拡充はもちろん、最新の有料ライブの生配信、見逃し配信や、後日のライブレポートなども展開され、より立体的な楽しみ方が堪能できる。無料のオリジナル音楽番組も登場し、音楽好きにとって居心地の良さが大きく加速している状況だ。

音楽ファンにとって、dTVはいかなるサービスなのか。NTTドコモ コンテンツビジネス部 部長の田中伸明氏をキャッチ、dTVが考える音楽サービスへの取り組みを語ってもらった。

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■5G訴求のためのキーとなるエンターテインメントとして音楽ライブに注目した

──そもそも、dTVって有料の動画配信サービスなんですよね?

田中伸明 氏(NTTドコモ コンテンツビジネス部 部長):もともとはガラケー(フィーチャーフォン)で映像を流して「ユーザー様により新しい価値を提供しましょう」というところからスタートしたサービスなんです。スマートフォンになってから、さらに自由度が上がり今ではメガネと同じくらいずっと自分と一緒にいるようになったわけで、よりいっそういろんな楽しみやエンターテインメントを映像で提供し、人生を豊かにしていただければという形で取り組んでいるものです。

──10年ほど前にスタートしたサービスですね。

田中伸明 氏:当時からかなりの人数に観ていただいていたんですが、今ではNetflixさんとかAmazonさんなど映像配信サービスがたくさん登場してきているので、映画やテレビ番組を観るだけじゃないことにも取り組んでいきたいんです。ポッドキャストのような音声データや写真のような静止画も、情報を得たり何らかの意思決定をするときの重要なツールになっていますから、そういう広がり感をdTVにも持っていきたいんですね。

──コンテンツやサービスの提供において、世代間ギャップの難しさはありますか?

田中伸明 氏:特にエッジが効いているのはInstagramやTikTokで、自分を表現していくツールとして若い世代で人気がありますけども、自分の視界に入って来ないおじさんたちにしてみれば、それは「流行っている」という事象をワイドショーで知るみたいな状況ですよね。見えないところで、興味とか人のつながりとかいろんなことが起きているのが、まさに今だと思っています。我々は受ける側と送る側がはっきりしているモデルでやっているので、若い人たちの世界に踏み込むというよりは、そういうこっちの世界も一緒に楽しんでもらうにはどうすればいいかという考え方です。私のようなミドル世代の方はすんなり受け取って楽しんでいただけますので、世代は広く取ったまま、どういう風に使い方とチャンスを意思決定してもらうかは、違うコンテンツからきっかけを作っていければいいなと思います。

──音楽コンテンツにとって、YouTubeなどはプロモーションツールとして利用し始めたものの、いつしかコンテンツ配信プラットフォームに姿を変え、音楽無料化を加速することになってしまった歴史がありますが、dTVはどのような将来を見据えているのでしょうか。

田中伸明 氏:ユーザーがどう動いて何を買っているのかが分からなくなってきている時代でもあるんです。音楽でいうと、音楽に接したユーザーの動向データをどう活用するかがひとつのトレンドとして出てきています。結局、定額モデル(サブスクリプション聴き放題サービス)もフィジカル(パッケージCD販売)も含めて、音楽業界はどうしていくか一緒に頭を悩ませながら進めているといった環境ですね。その課題解決に、ひとつ新しい場所を作れればと思い、多くの「ライブ」コンテンツを組み込み、ジャンルとして確立させたということでもあるんです。

10/4、10/11配信『B’z presents UNITE #01』

──「ライブ」ジャンル新設は、新型コロナウイルスの影響を受けていますか?

田中伸明 氏:実はこのコンテンツ自体はもっと前から進行していまして。安室奈美恵さんの25周年の際、5G訴求のためのキーとなるエンターテインメントとして、いろんなユーザーにリーチできる音楽ライブに注目したんです。その頃は5Gの新しい体感に付加価値をつけて経験してもらいたいというプロモーションの側面が強かったんですけど、現時点では音楽が恒常的に好きだという人に映像と音楽の新しい見せ方を提供したくて、実は愛知県立体育館(愛知アリーナ・2025年オープン予定)の運営に参画するという構想があります

──愛知アリーナ?

田中伸明 氏:はい、設計・建設から関わり、運営をおこなう事業体をパートナーと共同で設立します。dTVで音楽ライブ映像をバーチャルで見ていただきながら、本当のライブそのものも一緒に提供したいという思いです。フィジカルのライブをきちんと楽しめて、どうしても行けない理由がある人がオンラインで観る。ある程度の数のお客様が参加することで、アーティストにも喜んでもらいユーザーさんにも喜んでもらい、新しい経験をここでみんなで共生することを、単なるスマートフォン上だけではない取り組みとして提供するつもりです。それに加えて、dTVのコンテンツはスマートフォンの中だけで展開するのではなく、テレビやパソコンも再生デバイスとして展開していければいいなと。

──ツールの発展によっていつでもどこでも音楽が聴けるようになり、音楽の楽しみ方やその価値も大きく変貌しましたが、まだまだいろんなエポックメイキングなことがありそうですね。

田中伸明 氏:そもそもはウォークマンの登場が歴史の劇的な一歩ですよね。音楽を持って歩けるようになったときの凄さ。それがデジタルになり映像・音声の圧縮技術が進み、ユーザーが音楽を取り込めるようになって、今ではそんなことも意識しなくてよくなった。レコメンドによる、次の新しいステージに入っちゃっていますね。

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