【ライブレポート】スターダスト☆レビュー、逆境を熱量に変えるユーモアがニクい“新しい冒険の旅”

さあ、スターダスト☆レビューと共に童心に帰り、新しい冒険の旅へ出かけよう――。現在進行中の＜スターダスト☆レビュー40周年ライブツアー「年中模索」～しばらくは、コール＆ノーレスポンスで～＞は、バンドにとって初の「ストーリー仕立て」によるSF的ドラマチックライブツアーだ。それは遥か未来のこと、悪の帝国の支配から地球を救うべく、「新曲探しの旅」に出るバンドの奮闘を描く――という筋書きだが、何も知らずに見に行ったとしてもまったく問題なし。笑いあり感動ありメッセージあり、高い音楽性と豊かなエンタメ性にあふれた、誰もがあたたかい気持ちになれるステージがそこにあるから。

◆ライブ写真

ニューアルバム『年中模索』のジャケットをモチーフにした、見張り台やマストのついた大掛かりな船のセットはまるでミュージカル。船長こと根本要（Vo＆G）の号令のもと、威勢よく出航したスタレビ号は、「Welcome To The Jungle」「NO! NO! Lucky Lady」「夢伝説」など、推進力たっぷりの楽曲を連ねて快調に進む。『年中模索』からの新曲なども次々と披露されてゆく。新曲をやるたびに「モサーク」と称するポイントがたまり、敵？を打ち破るパワーになるという設定だが、「お客さんの拍手が多いほどポイントがたまる」という設定がニクい。東京では緊急事態宣言が明けたばかり、まだ声を出してはいけない状況を逆利用して、「コール＆ノーレスポンス」にも関わらずライブはぐんぐん盛り上がる。




冒険物語はどんどん進み、メンバー一人一人が「新曲の鍵」を探すために奮闘したり、危機一髪におちいったり、様々な出来事が起こるのだが、詳しい説明はここでは避けよう。ツアーはまだ道半ば、百聞は一見に如かずだ。根本要はいつも「我々にヒット曲はない」と言って笑うが、数字には残らない心のヒット曲が、スターダスト☆レビューの40年間の中に、まんべんなく散りばめられていることをファンは知っている。

悪の帝国を打ち倒す音楽エネルギー「モサーク」も無事目標値を達成し、最後に隠された「新曲の鍵」も無事発見され、ライブはいよいよ大団円へ。新曲にして、過去最高レベルに若々しくロックしている「働きたい男のバラッド」は、40年を超えてまだ先を目指すスターダスト☆レビューの、新たな羅針盤になれる曲だ。こんなに激しい曲を涼しい顔で、総立ちの観客を前に演奏できるならばバンドは大丈夫。これだけ歌い続けて（そして、しゃべりつづけて）、まったく揺るぎない根本要の歌の力。2021年10月2日のスターダスト☆レビューは、これまでで最新かつ最高のスターダスト☆レビューだった。


「コロナでみんなの心がふさいでいる中で、顔を見合わせて、声は出せなくても思いは伝わるはずだ、音楽は届くはずだ。そんな思いでツアーを始めました。こういう時期に僕らに会いに来てくれたこと、本当に感謝しています。どうもありがとう」

先の見えないコロナ禍を宇宙人との戦いにたとえ、声が出せない状況を拍手によるエネルギー補給に置き換え、音楽の力が人々の心を強くすることを再確認し、盛大に輝く「We Are STARDUST☆REVUE」の電飾のもと、ファンとの固い絆を結び直す、愛と勇気とユーモアあふれるコンサート。それが＜スターダスト☆レビュー40周年ライブツアー「年中模索」～しばらくは、コール＆ノーレスポンスで～＞だ。


2021年1月に始まったツアーは、この日の42公演目を経て、全103公演を予定している2022年4月まで続く。還暦を超えながらも少年の心を持ち、年中模索しながら、悩みながらも笑いながら、また未知の大海原へ乗り出してゆく。デビュー40周年、スターダスト☆レビューの楽しい冒険の旅はまだまだ続いてゆくはずだ。

取材・文◎宮本英夫