【インタビュー】Heli、天賦の歌声を持つ女子高生が描いたZ世代のリアル「音楽を通して、どう社会に貢献していけるか」

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■一見してかけ離れていても
■時間軸とか感情がどこかで繋がっている

──初のオリジナル作品であり、『AWAKE』にも収録されている1stデジタルシングル「Starting Again」がリリースされた時、自分ではどういう気持ちでしたか?

Heli:音源を何度も何度も繰り返して、噛み締めながら聴きました。初めてのオリジナル曲ということもあって、レコーディングの時も、すごくガチガチに緊張したんです。最初の音源でしたから、自分の思い通りにできなかった点もあるんですけど、それでも初めての音源を自分で聴いて、そして周りの反応を聞いたりすると、“よし、始まるな”という意気込みができましたし、同時に“しっかりしないと”という気持ちにもなりましたし。

──配信リリースが2020年10月17日ですから、それからほぼ1年が経ったわけですね。

Heli:この曲は2020年6〜7月頃、コロナによる最初の自粛期間が終わって、少し落ち着いた頃に書き始めた曲なんです。だから今聴いても、その時に感じていたいろんな悔しさやもどかしさを思い出せる曲だなと思っていて。例えば、1コーラス目の歌詞にもあるんですけど、コロナで中学校を納得いく形で卒業できなかったことが、中学時代の一番悔しかったことで。そういう気持ちを思い出したり。逆にポジティヴな気持ちとしては、自粛期間で家に閉じこもっているけど、その中でも元の生活に戻れるように、試行錯誤しながら新しい歩みを進めて生活していたこととか。自粛期間があったからこそ、オンライン文化が発達したり、いろんな新しいものも構築されているので、1年前のピンチにも何かポジティヴな意味があったのかなって、今では前向きに捉えています。



──そして2ndデジタルシングル「Brand New Me」は、中学時代に書いた歌詞だと聞きました。

Heli:そうなんです。音楽プロデューサーのUTAさんと一緒に作らせていただいた曲なんですけど、やっぱりすごい方なので、経験が浅い私からすると同じ空間で作業させていただいていること自体がとても刺激的で。だからこそ、自分がずっと悩んでいたものを歌詞にしたり、大きな意味を持たせた曲にしたいなと思ったんです。そこで、中学校生活の区切りというか、これから高校生へと踏み出す一歩として、いろんな人にも共感してもらえる曲を作りたいなと思って、歌詞を書きました。

──中学生の頃から、歌詞をストックしていたのですか?

Heli:ストックと呼べるようなものではないんですけど、思ったことは全部ノートに殴り書きしていて。それも、書こうと思ってやったというよりも、ただストレスの発散として、全然言葉にはなっていないようなものを、昔からノートに書いていたんです。

──今ならスマホで簡単にメモできますけど、ノートに手書きだと、後で見返した時に言葉だけじゃなく、書き方や筆圧によって、どういう感情で書いたのかまで思い出せますよね。

Heli:そうですよね。もうボロボロになったノートが1冊あって。表紙も取れていて、たぶんめっちゃ怒っていた時に書いていたんだと思います(笑)。



──そして、3rdデジタルシングル「Balloon」と4thデジタルシングル「甘風ドライブ」は、共に作曲がCarlos K.さん(「Balloon」はTsuyoshi Yamadaとの共作)ですが、それぞれ、どのように作っていったのですか?

Heli:Carlos K.さんと最初に作った曲が「Balloon」だったんですけど、歌うのも、歌詞をはめるのもすごく難しい曲でした。でも、Carlos K.さんと(Tsuyoshi) Yamadaさんのお2人が、私ならこの曲をカッコよく歌い上げられると信じてくださって、それでトラックをいただいてから詞を書きました。「甘風ドライブ」は、Carlos K.さんと何度か一緒に作業をした後に作った曲なので、私も「Balloon」の時よりはちょっと打ち解けられるようになっていたこともあって、メロディラインを作る作業に参加させてもらったり、Carlos K.さんといろんな話をしながら作詞と作曲をしていきました。

──「甘風ドライブ」はサマーソングをイメージして作ったそうですが、夏真っ盛りという感じではなく、秋口に夏を思い出すような、そんな雰囲気がありますね。

Heli:今おっしゃっていただいたように、この曲を聴いて、夏を思い浮かべてもらえたらいいなと思いながら書いていたので、すごく嬉しいです。この曲も、作詞ですごく悩んで。“想い出”っていうと、いろんな人にとって、とても大きなものじゃないですか。だから、なかなかテーマが定まらなくて。“何を書こう?”と、すごく悩んでいたんです。それで、いろんなインスピレーションを入れながら、自分の夏の想い出を振り返ってみたら、おじいちゃんと一緒にドライブしたことが頭に浮かんだんです。それでドライブの曲にしたいと思って、この歌詞を書きました。

──そして『AWAKE』には新曲が2曲収録されていますが、まず「behind the m.i.c」はどのような感じで作っていったのですか?

Heli:この楽曲はESME MORIさんに作曲をお願いしたんですけど、MORIさんからトラックをいただいた時、その音がすごく私の好みで、とても楽しかった想い出があります。そこから歌詞を書き始めて。この曲では、作詞・作曲家の岡嶋かな多さんとオンラインでやり取りをしながら歌詞を仕上げていったんです。まず私1人で歌詞を書いて、それを元に、かな多さんとディスカッションさせていただいて。かな多さんには、「この言葉は、こういう気持ちで、こういう想いで」と細かく確認していただいて、最終的に、かな多さんが歌詞をブラッシュアップしてくださったという流れでした。

──自分1人ではなく、他の方と一緒に歌詞を書いていくというのも、新しい経験だったのでは?

Heli:はい。特に英語詞の言い回しって、やっぱり自分が知ってる単語や知識で変わってきますから。そういう面でも、かな多さんからいただいた英語詞の部分はすごく気に入りましたし、とても勉強になりました。


──そして「UMU ~遊夢~」は、どこかダークな雰囲気も漂う、これまでにない個性的な曲調が印象的でした。

Heli:トラックをいただいた時点で、完全に曲の世界観が出来上がっていて。こういう曲は初めてでしたけど、でも自分のやりたい、テンションがアガる好みの曲調だったので、とても楽しく作業を進めることができました。実はトラックをいただいた時に、仮の歌詞があったんです。その歌詞の世界観が私はすごく気に入って。でも、それを自分の言い回しに変えたいという想いから、“どういう風に、自分らしく変えていこう?”という点でとても悩んだし、その作業が楽しかった曲でもありました。

──そういうきっかけで、自分なりの表現を見出せたのですか?

Heli:たまたま1本のホラー映画を見たことで、この曲を書き上げることができたんです。『インシディアス』っていう、悪魔が出てくる幽体離脱の映画だったんですけど、そこからインスピレーションを受けて。ダークな雰囲気がこの曲に合いそうだなって思ったんです。こういう曲調に取り組んだのは初めてでしたし、自分にとっても新たなものが作れたんじゃないかなって感じています。

──『AWAKE』に収録された6曲は、いずれも個性的で、バリエーションの広いものとなりましたね。

Heli:確かに、全曲ともまったく違うイメージを受けるとは思うんですけど、でも私自身は、そんなに6曲がかけ離れていないと思っていて。それはおそらく、それぞれの曲に落とし込んだ歌詞が等身大の自分であったり、時間軸とか自分の中に流れている感情が、一見してかけ離れていても、どこかで繋がっているからだと思うので。そういう意味でも、すごく意味のあるEPが作れたんじゃないかと思っています。

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