【インタビュー】wyse、TAKUMAが語る波瀾と覚醒の2021年「心を合わせて未来へ」

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wyseが2022年2月11日および12日の2日間、恒例の周年ライヴを東京・竹芝ニューピアホールで開催することが発表となった。タイトルは<Anniversary Special 360°Live「心合わせ」Fan's Select Day & Member's Select Day>。結成22周年公演はその名の通り、ホール中央にステージを配置した360°型になるほか、初日はファンリクエストでセットリストを作成、2日目はメンバーがセレクトした楽曲で構成されることが明らかとなっている。

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この周年ライヴ開催が発表となったのが、本日12月5日に渋谷ストリーム ホールで行われた<10th Anniversary Live Tour 2021「It’s just a “Brand New World” -episode.2-」>ファイナル公演だ。再始動10周年イヤーの今年は二度の有観客でのツアーを敢行、さまざまなドラマが生まれた。コロナ禍で情勢が不安定な中、「自分たちは不安がっている側じゃない」とバンドとしてステージに立つ意義に正面から向き合い、葛藤も喜びも、再確認したこともあったという日々について、TAKUMA(2nd Vo, B)にじっくり訊いた。

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■リアルタイムの自分たちを表現したい
■土地土地に特別なライヴを届けたい

──2021年は二度のツアーを敢行しましたが、再始動10周年イヤーを振り返って総括すると、どんな1年でしたか?

TAKUMA:wyseとしての2021年は、2月に開催した竹芝ニューピアホールでの10周年ライヴ<10th Anniversary Special Live「Brand New World」>からスタートしたんですが、今年はお正月を迎えた時に誰もが“いい1年にするぞ”という想いがあったと思うんですよね。なのに数日して、また“緊急事態宣言”が発令されたり、精神的に大変な想いをたくさんの方がされて、僕たちもどうしようかなと考えましたが、やはり僕たちがやれること、できること、やるべきことを考えた上で道を作ることが大事だと思ったんです。波がある年だったので、みなさんの気持ちも安定する時もあれば不安定な時もあったでしょうけれど、そんな中でも自分たちが置かれている立場や役目を考えながら、ひとつひとつを大事にして進んできた1年でしたね。

──TAKUMAさんが話してくれたように緊急事態下で動きづらい時期もあったと思いますが、10周年イヤーの過ごし方についてメンバーと共有した想いはありましたか?

TAKUMA:ファンの方も、この記事を読んでいる方も、ひとりひとり状況や環境が違うので、感じ方や考え方が異なるようにウチのメンバーもスタッフもそれぞれにいろいろな想いがあって。4人の中で意見が一致することもあれば割れることもあったり、精神面で落ちていることもありました。でも、ファンの方が応援してくれる以上、僕らは落ちていたり、不安がっている側ではないと思うんですね。こういう時期だから道を示すというか、wyseとして何を成すのか、その時々で話し合いながら進めていきました。“wyseがあって良かったなと思えるように、何ができるのか”が根底にあったと思います。


──アニバーサリーツアーを二回開催しましたが、それらツアーは重要なポイントでしたか?

TAKUMA:そうですね。時期によって感染状況の波がありますし、ツアーは行く土地土地によって状況が違うんですね。単純に空気も違えばルールも違う。僕らはライヴでちゃんとメッセージを発信して、どこに着地させるのか、その一歩を大事にしなければいけない。そう思ってやってきたし、ステージに立つ側としてファンと一緒に音楽と時間を共有することが、ものすごい力になったし、勇気をもらいました。だからこそ僕らは前に進むことができたし、会場に来ていただいた方には何かを伝えることができたと思っています。ただ、忘れてはいけないのは来たくても来られない方がたくさんいて、寂しい想いをされている。そういう方たちがまたいつかライヴに帰ってこられるためにも、いい時間を作らなきゃいけないという、繋いできた想いがある。ですから、ライヴをするたびにステージに立つ意味を教えてもらったというか、まだ僕たちにはちゃんと役目があるんだなって気づかせてもらえた。そんな時間ばかりでしたね。

──ライヴをする意味を教えてもらったと話してくれましたが、10周年前半の4月からスタートした全国ツアー<Anniversary Live Tour 2021 「It's just a "Brand New World"」>で感じたこと、受け取ったことは?

TAKUMA:ツアーに関しては、僕たちがいろいろな土地に出向いて、待っていてくれた人にメッセージすることが核だと思っていたので、土地ごとに違うセットリストを届ける試みをしたんです。そこで感じたのは、会場に人がいることでエネルギーが生まれるんだなってこと。無観客配信で演奏することにも有り難さはあるし、意味もあるんです。だけど、お客さんがいてエネルギーが生まれて、双方の力がぶつかって一緒になるのがやっぱりライヴで。本当なら声を出したり、もっとコミュニケートできるはずだけど、今はそれは望み過ぎで、まずはそこに心があることが大事だと感じました。この今年春からのツアーは大阪がコロナの影響で中止になって、悔しかったですけどね。故郷というのもあるし、直前で中止になったことで、楽しみにしている人をより悲しませてしまった。そういう時って、“こんなことになるならツアー組まなきゃよかったな”っていう気持ちになるんですよ。だけど、そういうマイナスな発想で動いても何も生み出せないし、何も残らない。そこでもう一度、メンバーと話し合って、自分にも言い聞かせながら“次に大阪に来る時はもっといい時間にしてあげたい”って。そういうふうに気持ちを転換する大切さにも改めて気づけたし、人と人とが重なって触れ合って、初めて何かが生まれる。何よりライヴはそうありたいと再確認しました。

──葛藤と喜びが混ざり合った日々だったんですね。

TAKUMA:決意や意志がこれまで以上に強かった分、1本1本の重みを感じていたので得たものもあるし、放出したエネルギーも大きかったですね。感謝も喜びもある一方で、削ったり、すり減らしたものもありました。でも、だからこそ意味があるんだろうと思いましたね。


──声が出せない分、拍手で反応したり、お客さんがいろいろな方法で表現することに感動したりというのもあったでしょうし。

TAKUMA:そこに居てくれるだけで生まれるものがあるんですが、おっしゃるように拍手だったり、本当にさまざまな形で表現してくれましたね。面白いのは感情が高まって一線を超えた時の拍手ってわかるし、伝わってくるんですよね。僕らもそういうパフォーマンスや、そういう時間を届けないといけないと感じたし、声援はライヴの重要な要素ですが、声が出せないからこそ見えるもの、必要なものが感じられました。

──土地ごとにセットリストを変えたのは10周年イヤーであり、コロナ禍という時期だからですか?

TAKUMA:それもありますけど、廻るライヴハウスをイメージした時に、どういう空間でどういう思い出がある土地なのか、それを考えた上で構成を組めれば美しいなと。それと今の世の中、1週間先のこともわからないので、できるだけリアルタイムの自分たちを表現したい。そこだけの特別なライヴを届けたいという想いが強かったですね。

──なるほど。9月にはリテイクシリーズの第2弾ミニアルバム『Style』を会場と通販で発売しましたが、今年秋からのツアー<10th Anniversary Live Tour 2021 「It’s just a “Brand New World” -episode.2-」>に合わせて制作しようと?

TAKUMA:秋のツアーに関しても、感染状況がどうなるかわからないけど準備をしていて、“こんなツアーになったら絶対にファンは喜んでくれるよね”って話し合う中で、“やっぱり作品が欲しいよね”って。新作でもよかったんですが、こういうタイミングだからこそ、ライヴで育った曲だったり、これまでの楽曲に向き合うことが重要なんじゃないかと思ったんです。MORIが考えた『Style』というタイトル通り、形を残してそれをライヴで示すという想いで、急遽、7月からレコーディングに入りました。

──収録されているのは初期のナンバーで、デモテープ音源だった「D&D」(1999年発表)も入っていますよね。

TAKUMA:僕個人もメンバーも再録したい曲はたくさんあるんですが、今作の収録5曲に関しては各自セレクトした上位の曲が全員ほぼ同じだったんですよ。“「It’s not like me, It’s not like you」を入れたいね”とか再リテイクした「離さないで」は“今、録ったらこうなるんじゃないか”とか。全員の見ている方向が同じだったんですね。

◆インタビュー【2】へ
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