【短期連載インタビュー Vol.2】wyseが語る第二期「あの日、途切れたその先を届けたい」

ツイート
no_ad_aritcle

wyseが5月20日および21日の2日間、東京・新宿BLAZEにて<wyse Live 2023「Clear Sky」>を開催する。同公演は2022年6月の<wyse tour 2022「Read Time」>Veats Shibuyaファイナルを最後にライブ活動を休止していたwyseのステージ復帰公演として実施されるものだ。

◆wyse 画像

wyseの活動周期にはいつも“6”という数字がつきまとう。たとえば、1999年の結成から2005年の解散までの第一期、解散後それぞれの道を歩んだ空白期間、2011年の再始動から2017年の事務所独立までの第二期、2017年の独立から2022年6月のライブ活動一時休止までの第三期。これらすべてが6年一区切りのスパンとして彼らの前に横たわる。

BARKSでは、wyseの第一期、第二期、第三期、そして未来の第四期について、メンバー4人にじっくりと話を訊く全4回の連載インタビューをお届けする。真摯に歩み続け、経験を糧としてきた彼らのバンド史は、まるで人生そのもののよう。そしてwyseサウンドの優しさと温かさの理由が伝わるテキストには、第四期への期待が溢れて輝かしい。連載第二回目は、再結成から事務所独立に至る経緯まで。

   ◆   ◆   ◆

■“ここからまた始まる”という感覚はあった
■でも、ゼロからというわけにはいかない


──wyseが再結成を発表したのは2011年2月のこと。結成~解散までを語っていただいた前回の第一期インタビューでは、「やるんだったらもう止まれないよ」というところから第二期が始まったということでしたが。

TAKUMA:そうですね。再結成一発目のライブ(<wyse Live 2011「chain」>7月2日@東京・LIQUIDROOM)は、注目されるだろうし、wyseを求めてくれる人も多いかもしれない、だけどその先は上手くいくことばかりではないだろうし、むしろ難しさのほうが多くなる。大切なものを見失わないために、どうすべきか。思い出を壊したいわけではない。かといって、思い出に浸りたいわけではない。今を届けることで、過去と未来を同時に大切にしながら進みたい。あの日、途切れたその先を届けたい。そういう思いで動き出しました。前回も話したように、解散時はメンバー間がグチャグチャだったけど、各自がいろいろな経験をして、成長していたからこそ、いい関係性になれていたように思います。それまでとは違って、想い合いながら理解しようとしながら。


月森:解散後は6年間まったく会ってない状態で…僕に関してはドイツに住んでいるので連絡すらとってなかったんです。そんな中、LIQUIDROOM公演のもっと前の話になるんですけど、4人が集まって1曲だけライブで演奏する機会があったんですよ。

TAKUMA : 僕のソロなんですけれど、30歳の記念公演(<TAKUMA Birthday Live 2010"my MUSIC is also your MUSIC">11月13日@東京・SHIBUYA BOXX)だったかな。そもそもは大阪時代にお世話になっていたショップの周年のときに1日だけ復活のお願いがきて。ただ月森の気持ちとしては、1日だけの復活ならしたくないと。中途半端に一度でもやって、そのことでやっぱりwyseが好きっていうファンの気持ちを刺激して、その一回で放置するような無責任なことはしたくないと。月森は歌いたい気持ち、ステージに立ちたい気持ちがあることを周りも知り、なんなら再び音楽を、バンドをやりたい思いがなくもないようなことも知って。そんな話の流れから、ちょうどその頃に僕の記念公演が間近にあって多くのゲストが出て行う日だったこともあり、そこの中のひとつでセッション的な立ち位置として、wyseのメンバーが揃うことになったんです。

月森:事前リハーサルは1回したか、しなかったか?

TAKUMA:いや、本番当日だけだったんじゃないかな? 会ってないから、どんな見た目になっているかも知らない状態だったね。

月森:そういう状態で6年ぶりに曲を演奏したんですけど、ブランクとかまったく感じなかったし、“wyseってやっぱりカッコいいな”って純粋にそう思えた。「どのあたりが?」って問われたら、前回話した“どこにも属さないwyseらしさ”ということになるんでしょうけど、そう思えたことがすごいなって。俺は音楽から離れた生活をしていて全然歌ってなかったから、声が少し出なくてもしょうがないかなって思っていたし、6年も経ったから個々のプレイスタイルも変わってるんだけど、いろんなことを飛び越えて一瞬でwyseになったんです。これがwyseの強さなのかと思いました。成長しているんだなって。



──そこから再結成が本格化したんでしょうか。

HIRO:そうですね。再始動するに当たって解散前の事務所の社長にもちゃんと報告をしに行ったんです。そうしたら「一緒にやろう」っていうことになり、再びお世話になるんですが、事務所に所属したのではなく業務委託みたいな関係だったので、解散前と同じではないんですが。

TAKUMA:「これから、こうやって動いていきます」って筋を通しに行ったんですね。そうしたら「じゃあ、やりましょう」と。

──再結成一発目のLIQIUDROOM公演はいかがでしたか?

HIRO:個人的にはまず、LIQIUDROOMに向かうストーリーを頭に思い描いていたんですけど、決して華々しい再結成ではなかったですね、わかっていたこととは言え。当然のことですけど、時間の経過と共に、世の中のニーズも変わるから、ライブの在り方や演出も含めて自分たちの音楽は今の時代にそぐわないんじゃないか?っていう葛藤もありました。TAKUMAやMORIは解散してからも音楽活動をずっと続けていたから、時代の流れも捉えてアップデートしていたと思うんですけど、僕は音楽業界から離れた空白の6年間だったんで。“今の時代は以前と、こんなに違うんだ!?”って。自分のプレイスタイルやテクニックにやや違和感を覚えて、第二期はそのギャップに悩んだりもしましたね…。

TAKUMA:LIQUIDROOMはたくさんのファンの方々に望んでもらえたと思うんです。結果、ソールドアウトして、その後SHIBUYA-AXや赤坂BLITZでもワンマンをやれた。その時の僕らなりのステップアップは踏めたんですが、どういう展開をしていくのか?ということに関しては不透明な部分がありましたね。音楽を作って、どこに向けてどういうふうに届けていくかをもっと明確にしないといけないと思ったし。そのためには僕たち以外の力も必要だということを感じて、悩んだ数年間が第二期。再始動してからはマネージメントも制作も物販も自分たちでやっていたので。

HIRO:メンバー自身が物販ブースに立ってグッズを売らなかっただけで。

TAKUMA:ツアーなどのホテル予約も自分達で。これは当然でもありますが、機材の搬入搬出も。ファンクラブ旅行を企画したときには、繋がりのある旅行会社にお願いして。“このままやっていくとwyseどうなるんだろう?”って…。バンドの延命をしたいわけじゃないし、そんな姿を見せたいわけではない。自分たちのエネルギーから生まれるものを活動を通じてぶつけていきたかったので、みんなで「どうあるべきなんだろうね?」って。



──第二期はひとつひとつの活動を自分たちで決めて進んでいっていたんですね。

TAKUMA:再結成以降、ライブツアーは毎年やっていて。サポートドラマーとして永井利光さん(GLAYや氷室京介等のサポートドラム)が入ってくれていたんです。前回インタビューで、第一期の時はSOPHIAのみなさんに相談できなかったっていう話をさせてもらいましたけど、ようやく永井さんに甘えられるような部分もできて、アドバイスをもらいながら進む僕らがいたかな。wyseを成長させてくれたという意味でも、とても大きな存在です。

月森:僕に関して言うと、解散のきっかけを作ったのは僕自身だから、“ごめんなさい”っていう気持ちをずっと抱えたままでした。言い訳してもしょうがないから、特に多くは話をせず、“再結成したwyseっていいよね”って思ってもらえるように歌を届けるしかない。すごく一生懸命歌っていたと思います。“楽しんでもらいたい” “喜んでもらいたい” “もっと先が見たい”と思ってもらわないと再結成した意味がないので、純粋にポジティヴに向かっていったと思います。

MORI:周りの人の協力を得たり、チャンスをいただいてはいたけど、やっぱり自分たちが主軸ですからね。僕らの時間がまた始まって、ライブを観に来てくれたファンの方々との時間も動き出したわけだから、“ここからまた始まる”という感覚はあった。でも、再始動してからwyseを知った人にとっては、ある程度キャリアを重ねた歴史のあるバンドなんですよね。ゼロからのスタートというわけにはいかない。だから、昔の曲を久しぶりにやって“どうですか?”というよりも、新しい曲とサラッと混ぜながら、常に今を形にするライブをやっていましたね。当時の曲に今の自分たちが表現している音楽やスキルを取り入れて、どうブラッシュアップさせるか。それが新鮮さに繋がるかもしれない、というところで取り組んでいましたね。

──再結成後の初アルバムは2012年にリリースした『Imaging』でした。

MORI:再始動からの1年間は新曲をやりつつも、過去の曲を骨組みにしたライヴを展開してきてたんで、このタイミングでツアーをやるなら、この先、ライヴの軸となるための楽曲をアルバムとしてリリースすべきなんじゃないかと提案をして。

◆インタビュー【2】へ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス