【鼎談】千秋(DEZERT) × 暁(アルルカン) × 来夢(キズ)、<JACK IN THE BOX>を語る「最終的にはカッコよければ何でもよくない?」

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■何としても5年以内に武道館に立つ
■ってもう決めたんで

──千秋さんの場合、この2年半でご自身の心持ちに変化があったとしたら、それはどんなところです?

千秋:俺はキズと違って音楽やバンドを辞めるっていうことは考えなかったです。というか、ちょうどキズが悩んでいた頃になるのかな、ウチのオールナイトイベントがキャンセルになった時、来夢と暁と3人で話をしたんですよ。いろんな状況も踏まえつつ「これはどうなるんやろうな。ここからどうする?」って。DEZERT的にはライヴ出来ないのは仕方ないし、ギャーギャーわめいても始まらんから、やるべきことをやろうよっていう感じで、そこらへんの意識は、今もずっと変わってないです。

──DEZERTにとっての“やるべきこと”のひとつは音源制作だったのではないかと思うのですけれど、今夏発表された『RAINBOW』は聴き手に対して希望の光を与えるようなものに仕上がっていた印象があります。DEZERT特有の刺々しさは随所に残しながらも、より聴き手に寄り添うような寛容な姿勢が強くなったといいますか。

千秋:いやー、そこはこっちが思ってたんとちょっと違ったかな。自分としては、もっとダークでコアなヴィジュアル系みたいになりたかったんやけど。

来夢:なんやねん、それ(笑)。

千秋:だって、そもそもDEZERTは“希望なんか必要ないやろ”っていうところから始まってるバンドなんでね。


▲千秋(DEZERT)


──しかしながら、『RAINBOW』に収録されている「ミザリィレインボウ」では“僕らの虹よ 大丈夫さ”と歌っていらっしゃったではないですか。

来夢:この間のイベント観てて、僕、それ凄く思いました。“あれ? DEZERTってこんなに人に幸せを与えるようなバンドだったっけ?”って。“何でそんな急にひとりで勝手にハッピーになっとるん? 俺を置いてかんといて!”って(笑)。

千秋:あはは。別にそんな、置いてったとかじゃないし。

来夢:でも、あの感じがなんか良かったな。ああいうDEZERTも僕は好きです。

千秋:もう私も30歳ですから。そりゃ、幸せについて考えたりもしますよ。

──暁さんにも全く同じ質問をさせてください。2年半前と今現在を比較した時に、バンドや音楽に対しての考え方や価値観に変化があったところはありますか?

暁:そうやなぁ…自分の立ち位置っていうものに関しては、けっこう考えました。いろいろと制限とかが出て来た時に、その中でもアルルカンは守るべきことを守ってるから安心して来ていいよ、っていう場所を作れるバンドでいたいなとは思っていたんですね。でも、あまりにもそういうところに縛られ過ぎて、正義みたいなものの奴隷になっちゃうのも、またちょっと違うような気がしてたし。


▲暁(アルルカン)


──そういう中にあって、今秋発表されたアルルカンの最新音源『世界の終わりと夜明け前/サイレン』は、まさにバンドとしての現在進行形なスタンスをリアルに体現したものになっていたのではないでしょうか。

暁:僕はその時々の状況にわりと影響されやすいほうだし、この2年くらいっていうのはイヤだなと思うこともあれば、イイなと思うこともある日々だったんで。結局、その両方があの作品には反映されたんだと思います。

来夢:アルルカンはこの間のイベントで久しぶりに観て、なんか前よりも尖ってる!って感じたな。あの尖り方は昔の始動仕立ての頃の暁の姿にもちょっと似てたけど、でも昔のガムシャラな感じとは違って、もっと力強くなって説得力が増してた気がする。

千秋:そうだね。さすがトリだけあってドーン!と構えてたな、っていうのはあった。ある種の貫録があったもん。

暁:ここに来て何かを取り戻したような感覚っていうのは、自分としてもあるかもしれない。あのイベントのMCでも言ったんですけど、何としても5年以内には武道館に立つってもう決めたんで。そこも関係あるのかな。

来夢:5年以内?ここから5年って長くない?!

暁:そうやね。ただ言うだけ言って終わるだけの目標にはしたくないし、状況もあるし、着実にやっていくとしたら5年かなって思ったんだ。まぁ、5年以内には、っていうイメージだよ。

──そういえば、千秋さんはそれよりも早い2019年末の時点で「2年後には武道館に立つ!」と渋谷クアトロでのワンマンの際に宣言されていましたよね。

千秋:言ったけど、年末にそれ言って、年が明けた途端にコロナみたいな(苦笑)。


▲来夢(キズ)

──となりますと、キズは年明けにLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でのホールワンマンが控えていますし、DEZERTもアルルカンも揃って今まさに武道館を射程圏内に入れている状態であるということは、今度の武道館を舞台とした<DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021>は、それぞれにとって、またとない場となりそうです。ちなみにキズにとっての武道館とは?

来夢:うーん。

──武道館を目標にするロックミュージシャンって少なくないですし、日本が誇るロックの殿堂として世界的に知られている場所でもあるわけで。マーヴェリック主催イベントがここで行われ続けていることにも意義があると思うんです。

来夢:ああ、なるほど。そう考えると、このイベントで武道館のステージに立っていいのかって悩みますね。僕、格闘家として一度武道館に立ってて。

千秋:ははは! なんやそれ、どんなストーリーやねん(笑)。

──日本古来の武道を奨励する施設が武道館、という面もありますよね。

来夢:そう。武道館って僕の中ではそっちで、ライヴをする場所じゃないんですよ。ライヴ自体も数回しか観たことがなくて。だから、武道館というライヴ会場に特別な思い入れがあるかと言われたら、そうでもないんです。だけど今回、千秋が誘ってくれたということが大きくて、楽しそうだなと思って。

──そうなんですよね。今回のゲスト招致については千秋さんからお声掛けをされたそうではないですか。

千秋:前からそういう意識はあったし、この間のイベントで一緒にやって再認識したんだけど、この3バンドはライバルなんだろうなぁって思うんでね。声を掛けさせてもらいまして、両者とも出てくれることになりました。ほんとありがとうね。

来夢:いや、というかそれ以前にですね、今日、BARKSで鼎談とかさせてもらってるわりに、今のところ僕は、当日どんなことをやって何を歌うかも全くわかってなくて。申し訳ないんですけど(苦笑)。大丈夫ですかね。「12月27日って暇?」って千秋に訊かれたから「暇だよー」って答えただけなんですよ。武道館で何したらいいんですか? 千秋からは何も説明されてないんですよ。

千秋:ねぇ、言ってもいい? 俺もあんまりわかってない!

暁:えー(笑)。それは千秋がイベントスタッフ周りから話を聞いてないだけでしょ?

千秋:そんなことないって。これは批判とかじゃなくて、単に事務所がそういう雑な事務所なんですって(笑)。謎のバトンをTwitterで回せ、みたいなのもいきなり来たし。


暁:いいやんけ! それがHYDEさんにつながったやんけ!!

千秋:でも俺、そういうキャラちゃうやん。しかも、あれがまた大変やってん。あの段階ではHYDEさんが出るって発表になってなかったから、そのことには触れられへんし…(苦笑)。

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