【インタビュー】VALSHE、6thミニアルバム『ISM』に主義と主張「あなたは間違えない」

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■ここまで個人的なことを書いたことは
■今まで一度もないんですよ

──「シープランド」で癒されたかと思いきや、シャウトで始まる「アンプレイアブル」は攻撃的で、デジタルでロックな曲調もVALSHEさんのルーツのひとつなのかなと感じました。

VALSHE:サウンドに関しては近年のポップスのサウンド感がシンプルな傾向になっている中、音を詰め込むスタイルをずっと保っているのがサブカルチャーポップス、いわゆるアニメソングだと思っていて、この曲はそういう立ち位置にしたかったんです。今までもアニソン感がある曲はリリースしてきたので、おっしゃる通りだと思います。サウンドの裏テーマは“デスゲーム”なんですよ。それで歌詞にも“ステージ” “マルチエンド” “キャラクター”という言葉を散りばめているんですが、テーマは“敵”に対する主義/主張ですね。

──ライヴに直結する曲調でもありますね。

VALSHE:そうですね。ライヴの情景が浮かびやすい曲だと思います。

──高揚感のある曲の次はバラード「cue.」で、この落差もすごい。

VALSHE:はい(笑)。アルバムにはdorikoが書いたバラードを入れたいと最初から思っていたんです。ジャンルはケルトミュージック。前回のアルバム(『PRESENT』)でもケルトサウンドは取り入れていたんですが、もっと派手で重めなサウンドにケルト楽器を絡ませていたんです。ケルト音楽は変拍子が多いので日本のポップスとマッチングしづらいんですよね。今回はそこを試行錯誤して、12弦ギターを使ったんですが、透明感のあるミステリアスなサウンドが生まれたと思っています。

──アイリッシュなサウンドになりましたね。

VALSHE:そうですね。イメージする空気が伝わったらいいなと。

──沁みてくる歌詞ですが、テーマに据えたものは?

VALSHE:先ほどお話したようにバラードを入れたかったので、これまでの活動の中、あえて踏み込まなかったテーマを自分の主義として掘り下げられたら、大きな意味のある作品になるなと思ったんですね。「cue.」では命に対する自分の考え方や“家族”に対する主義を書いています。ここまで個人的なことを書いたことは、今まで一度もないんですよ。聴いてくれる人がどういうものを受け入れて、受け入れないのか、自分の中で棲み分けができた時に、初めて自分のために自分の曲を作ってもいいのかもしれないって。


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──『ISM』の中で最も私的な歌詞ですか?

VALSHE:私的でしかない内容です。歌詞が出来上がって俯瞰で読んだ時に感じたのは、個人的なことを書いたからこそ、多くの人が思うことや願うこと、悲しさというところで共感できる部分があるのかもしれないなって。最初は“書いてもいいよね”っていう気持ちだったんですが、蓋を開けてみたら、聴いてくださる多くの方に近い感情があるのかもしれないと思いました。

──“誰かのために生きることが脆さでも 自分のために生きることが弱さでも 受け入れながら 抱えながら 歩く事は強さと信じたい”という歌詞が刺さってきました。

VALSHE:ありがとうございます。嬉しいです。

──タイトルの「cue.」にはどんな意味が込められているんですか?

VALSHE:“キュー出し”などで使われる“キュー”と同じく、順番や出番などを意味します。“命”におけるここでの順番という意味でつけたタイトルです。

──なるほど。「Lingerie」は“ランジェリー”というタイトルからして驚きますが、曲調も歌詞も新鮮です。

VALSHE:ジャンルはK-POPを取り入れています。この曲の主義/主張は“信頼”。ディレクション、アレンジの方向性、歌詞、テイク選びまで全て任せて、VALSHEは歌うことに徹した曲ですね。今まで一度もやっていない方法です。「GIFT」や「シープランド」、「cue.」だったり、いろいろな曲と紐づいているんですが、信頼する人たちに任せて、VALSHEを料理してもらうイメージというか。手放しにしてみると新しいものが生まれるだろうなって。“作って! 乗っかるから”というスタンスで完成した歌詞を見せてもらってタイトルがランジェリーだと知って、“えっ!?”って(笑)。

──VALSHEさんとランジェリーは結びつかないですものね。

VALSHE:先行試聴会という形でワンコーラスだけファンの方にお聴かせしているんですが、めちゃくちゃ好評でした。

──突き抜けていてポップですから。

VALSHE:結果的に良かったですね。少しでも自分がタッチしていたら「ここはこうした方がいいんじゃない?」って口出ししていたでしょうし。ヴォーカルワークも自分は指示されたことを再現することに注力したんです。歌詞も英詞のところは“これ、大丈夫?”って思うような内容なんですよ。端的に言うと“あなたはVALSHEがこういう下着を身につけていると想像しているかもしれないけど、実際は違うかもしれないよね?”とか“VALSHEはカッコよく映っているかもしれないけど、見えないところでは全然違う顔を見せるかもしれないよ? VALSHE自身も、そうじゃないって言い切れる?”っていう。dorikoさんとサウンドディレクターが何度も打ち合わせして作ってくれたんですけど、自分はこういう歌詞は書けないなと思いました。

──譜割りも新しいアプローチだし、ヴィブラートをかけた歌い方もかわいいし、カッコいい。

VALSHE:確かに二極化した要素が入っていると思います。

──タイトル以外にドキッとした言葉はありますか?

VALSHE:“pantyhose”も“garter belt”も“bunny suit”も自分の中からは出てこないですね。“愛を込めて spank! ファンタスティック!!”も絶対に書かない(笑)。

──単純に聴いていて楽しいです。

VALSHE:そうですね。遊び心があるヴォイスエフェクトも散りばめられていて、ノリのいいサウンドだし、この曲もライヴのシチュエーションが想像できるんじゃないかと思います。

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