【インタビュー】VALSHE、6thミニアルバム『ISM』に主義と主張「あなたは間違えない」

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■11年目のVALSHEは作品を出す意義や
■意味をしっかりと感じている

──そしてカラフルな世界観の曲のあとは、聖なる世界にいざなわれる「doctus-7.8.6.9-」。

VALSHE:この曲はVALSHEが出演させていただいた舞台(『Wizards Storia』)のテーマソングなんです。イントロからエンディングまで徹頭徹尾、舞台のために書き下ろした曲で、『ISM』としてのサウンドテーマは“クラシック・ファンタジー”です。物語が魔法と剣をテーマにした戦争もので、ファンタジーとリアルが融合している内容なので、なぜ独唱から始まって、この歌詞なのかは舞台を見ないとわからないと思うんですが、自分自身が作品や物語に寄り添って作るなら“どこまででもやります”という主義、作品に120%応える形で作りたいという主張、としてこの曲を入れました。

──壮大で美しい曲だし、クワイアが素晴らしい。クリスマスシーズンにピッタリだし、舞台を見ていなくても浄化される曲です。

VALSHE:はい。なぜこういう曲なのか深い所までわからなくても“この曲、好きだな”と思ってもらえたらいいですね。混声の妙やオケのないヴォーカルだけで表現している面白さだったり。ファンタジックでクラシカルなサウンドを突き詰めたかったので、オケもほぼ全て生音なんですよ。生命感の強いサウンド、没入感のある曲になっていると思います。舞台の原作となった小説はオンラインでどなたでも読めるので、“この曲の物語はどんな内容なんだろう?”と興味を持っていただいたら、それはそれで深い部分も回収できるし、音楽は架け橋になれる強いものだと向き合って作りました。トラック数もテイク数も今までにないぐらい時間をかけたんですけど、“デジタルロックサウンドを主軸にしているアーティストのアルバムに、こんな曲入ってないよね”っていうのもVALSHEっぽいなと。

──「浪漫主義 (ロウマニズム)」は和風のテイストで『今生、絢爛につき。』の世界観に通じる曲です。

VALSHE:今回のアルバム内では唯一、デジタルDLカードという形でリリースした曲で、文化放送の『矢野・小南 絵物語 WA-GEI』のエンディングテーマとして作らせていただいたんです。この曲は和ファンクですね。作った当時は、今以上に多くの人がコロナ禍の影響を受けていて、そんな中、講談や落語という伝統文化をそれらを知らない人たちに届けたいというチャレンジ精神と気概に感銘を受けたことが歌詞を書く動機になりました。『WA-GEI』に登場するキャラクターや歌舞伎役者が大通りを大手を振って闊歩している絵が浮かぶような曲で、登場人物がイメージできる言葉を散りばめられたらいいなって。


▲6th MINI ALBUM『ISM』通常盤

──アルバムのラストは最もヘヴィな「INTRODUCTION」で締められますが、最後に“序奏”の意味を持つこのタイトルを持ってきたのは、次に繋がっていくという想いからなんでしょうか?

VALSHE:「INTRODUCTION」のテーマは“今”なんです。今に対する自分の主張や考え方を書いています。ベストアルバムをリリースして10周年がコロナ禍で、“これまでいろんなことをやってきましたね”って捉えられ方もされるけど、自分の気持ちとしては過去のことより、これから先を見据えているので「INTRODUCTION」は最初じゃなく最後なんだよって。だから、いちばん最後はゴリゴリに攻めたメタルにしようって。

──“この思い 果たす場所まで”という歌詞に込めた気持ちは?

VALSHE:この2年近くの日々の中、何とか気持ちの整理をして折り合いをつけてやってきて、ずっと同じ温度感で燻ってはいられないけど、“今、VALSHEどう思ってるの?”って問われたら、“いや、何も納得してないよ”って。そういう気持ちを包み隠さずストレートに書いています。11年目のVALSHEは作品を出す意義や意味をしっかりと感じているし、楽しいんですよ。でも、10年目の想いを忘れたわけではない。

──最後に、今後の展望を聞かせてください。

VALSHE:現時点では久しぶりの単独ライヴをいちばん楽しみにしています。まだ100%元通りの環境というわけにはいかないと思いますが、自分の想いを込めて作ったアルバムを掲げて、直接歌を聴いてもらう機会はコンセプトライヴを除くと2019年のツアー以来なんですよ。今は配信ライヴが普通になっていて、演者もお客さんも新しいスタイルに慣れていると思うんですが、“そうじゃないよね” “それじゃ満足できないんだ”という気持ちはみんな持っていると思うので、“ライヴってこうだったよね”って思い出せるようなステージにしたいですね。

──ここから先がまた楽しみですね。

VALSHE:そうですね。これまでは先の活動のことを考えて計画を立てていたんですが、『ISM』で「Lingerie」のような今までにない方法論で新しい曲が生まれたことも踏まえて、少なくともライヴを完走するまでは、急いで決めこんだりせずに身を任せるのもいいかなと思っています。次はシングルを作りたくなるかもしれないし、またミニアルバムを作るかもしれない。毎回、楽しんでやらないと意味がないと思うので、新鮮な気持ちで向き合っていたいですね。

取材・文◎山本弘子

■6thミニアルバム『ISM』

2021年12月22日(水)リリース


▲6th MINI ALBUM『ISM』初回限定盤

【初回限定盤 (CD+DVD)】JBCZ-9125 / BBZ-9125 ¥4,500(税込)
▼特典DVD
・「GIFT」Music Video
・Making of 「GIFT」


▲6th MINI ALBUM『ISM』通常盤

【通常盤 (CD+DVD)】BCZ-9126 ¥3,500(税込)
※白皙描き下ろしイラストジャケット
▼収録楽曲 ※全形態共通
1. ISM
 作曲:VALSHE 編曲:G’n- [instrumental]
2. GIFT
 作詞:VALSHE 作曲:バルと瞬さん★ 編曲:Shun Sato
3. シープランド
 作詞:VALSHE 作曲:向井健太(Dream Monster) 編曲:高木龍一(Dream Monster)
4. アンプレイアブル
 作詞・作曲:VALSHE 編曲:G’n-
5. cue.
 作詞:VALSHE 作曲・編曲:doriko
6. Lingerie
 作詞:doriko 作曲:平間光 編曲:山崎佳祐
7. doctus-7.8.6.9-
 作詞・作曲:VALSHE 編曲:松岡美弥子(未来古代楽団)
 ※『Wizards Storia』テーマソング
8. 浪漫主義
 作詞・作曲:VALSHE 編曲:G’n-
 ※文化放送「矢野・小南 絵物語WA-GEI」エンディングテーマ
9. INTRODUCTION
 作詞:VALSHE 作曲・編曲:山本伸弘

■<VALSHE LIVE 2022「ISM」>

2月06日(日) 大阪・umeda TRAD
open17:00 / start17:30
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
2月12日(土) 東京・duo MUSIC EXCHANGE
open17:00 / start17:30
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼チケット
全席指定 6,600円(税込)
※ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可
一般発売日:1月15日(土)10:00


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