【インタビュー】UNCHAIN、よりソウルフル・ヒューマン・エネルギッシュなカバーアルバム『Timeless Communications』

ツイート

■“Timeless Communications”というフレーズを会社名にしたかった
■会社ならばスーツでということで洋服の青山さんとコラボさせていただいたんです


――松原みきさんの「真夜中のドア」は1979年の曲ですが、昨年シティポップブームとなり、世界各国でもヒットしました。

谷川:いきなりヒットチャートに上がってきて、これはすごいなと思ったこともあり、やらせていただきました。UNCHAINにとってはルーツに近いタイプだったこともあり、UNCHAINの持ち味を発揮したアレンジになっています。ミックスの音像がドライになっているのがミソです。80年代に入るとリバーブが深くなって電子ドラムっぽくなるんですが、その直前の79年の感じを出せたのではないかと思います。ドライな感じも目指しつつ、最新のUNCHAINの色も出しつつ、作っていきました。

谷:名村さんと一緒にベースのフレーズを作ったんですが、名村節全開だったので楽しく演奏することができました。

――YOASOBIの「怪物」のカバーも新鮮でした。

谷川:UNCHAINが新しい世代の音楽をやったらこうなったという感じですね。これはかなり難しい曲でした。息継ぎができない上に、音の飛躍の仕方がすごくて、歌うのが難しいんですよ。

――どうやって克服したのですか?

谷川:頑張るしかないなと(笑)。

吉田:頑張ったら、できちゃいますから(笑)。


――ベースは闇の中を疾走するような演奏です。

谷川:ベースライン、かっこいいですよね。

谷:これも名村さんと一緒に作ったものですね。名村さんのフレーズをうまく継承させていただいている感じでした。八分で音階を刻んでいくんですが、うまくはまりましたね。

吉田:こういうベースラインはこれまでなかったので、新鮮でした。

谷川:デジタルとのハイブリッドになっている曲ですが、ベースのランニングっぽい展開が入ることで、我々の世代に時代感をグッと引き寄せているんですよ。そこでちょうどよいバランスになったんじゃないかと思います。木下航志くんのピアノがかっこいいです。セクションとセクションの間を流れるようなピアノが素晴らしいので、ぜひ聴いていただきたいです。

――サム・ヘンショーの「Broke」のカバーも見事です。

谷:この曲が出た時にすごくかっこいいな、UNCHAINでやりたいなと思って、候補に挙げた曲だったので、演奏できてうれしかったです。

谷川:原曲のヒップホップ感をニューソウルな感じで表現したですね。アレンジ的にバンドっぽくしています。


▲谷川正憲(Vo&G)

――ブルーノ・マーズの「That's What I Like」もリスペクトあふれるカバーです。

吉田:ドラムが一番難しかったのはこの曲ですね。

谷川:難しかったというか、自分たちで難しくしちゃったという感じでした(笑)。

吉田:今回、特にハードルが高かったのは歌なんじゃないですかね。

谷川:大変ではありましたが、やりがいがありました。歌は完コピさせてもらって、最後のフェイクも頑張ってやりました(笑)。

――パニック!アット・ザ・ディスコの「Into The Unknown 」も伸びやかボーカルが気持ち良く入ってきました。

谷川:松たか子さんバージョンが有名ですが、メロディに付いているコードをリハーモナイズしたことによって、UNCHAINらしいカバーになったんじゃないかと思います。メンバーが3人になったので、ギター1本で成立するアレンジを目指してバッキングギターを演奏しています。バッキングギターが後半になるとクイーンみたいになる一方、リードギターはビートルズっぽい雰囲気が漂っているので、おもしろい感じになりました。

――後半の4曲はセルフカバーですが、自然な流れで聴くことができます。

谷川:カバーアルバムは幅広い層の方に聴いてもらえるものだと思っているのですが、そこにセルフカバーを入れることで、UNCHAINの音楽をもっと理解してもらえるのではないかとの狙いもあって代表的な4曲を選びました。「Movin' My Soul」は初期の曲ということもあり、初期衝動が詰まった曲なんですが、4人から3人になった今、やることに意味があると感じました。


▲吉田昇吾(Dr)

――今の新たな初期衝動が詰まった曲になったということですね。

谷川:そうですね。tickという金沢のバンドのキーボードであるdonny君にゲストで参加してもらいました。tickとは昔からよく対バンしていて、大好きなキーボディストなんですよ。donny君がバッキングとして下から支えてくれていることによって、ギターロックから脱却しているところが新しいのではないかと思います。

――セルフカバーをすることによって、いろいろと感じることがありそうですね。

吉田:「make it glow」はいろいろとこみあげてくるものがありました。デビュー曲であり、UNCHAINの青春でもあったので。

谷川:UNCHAINといえば、この曲という人も結構いると思うんですよ。その人たちに、“えっ、「make it glow」、こんな風になっちゃったの?”と思わせないように頑張りました。


▲谷 浩彰 (Ba&Cho)

――エネルギーがあふれる演奏です。

吉田:昔とはまた違ったエネルギーがあると思います。

谷:他の曲は結構セルフカバーもしてきているんですが、「make it glow」はこれまでにやったのは、オリジナル以外ではアコースティック・バージョンだけだったんですよ。何度かやろうかという話もあったんですが、あの時を越えられないんじゃないかということになって、立ち消えになった経緯があります。でも今だからこそ「make it glow」をやれたんじゃないかと思います。この曲もdonnyがバッキングでキーボードを弾いてくれたことによって、新しいUNCHAINが届けられたんじゃないかな。今回、ロックバージョンで、リアレンジできて良かったです。

谷:「Show Me Your Height 」はUNCHAINの代表曲なんですが、コーラスがポイントの曲なので、多和田えみさんに歌っていただきました。先日、ブルーノート東京でのワンマンライブでご一緒させていただいた時に、とても気持ちが良くて、声の相性の良さを感じたこともあり、今回、レコーディングに参加していただきました。とてもかっこいいコーラスになったと思います。

――ソウルフルな歌とコーラスです。

谷川:UNCHAINの初期の頃には出したくても出せなかったニュアンスをやっと表現できるようになったと感じています。

――アルバムタイトルを『Timeless Communications』としたのは?

谷川:『Timeless Communications』は“時代を問わず音楽にふれていく”という意味なんですが、この“Timeless Communications”というフレーズをそのまま会社名にしたかったんです。前回までのカバーアルバムも『Love & Groove Delivery』ということで、宅配会社をイメージしていました。会社の新シリーズとして出てきたのがこのタイトルだったので、会社ならばスーツで、ということになり、洋服の青山さんにお願いしてコラボして、このようなアートワークができました。“Timeless Communications”という会社の3人というイメージですね。“時代を問わずいい音楽を提供していきます”という社訓がある会社に勤めているという設定です。

――じゃあ、三人とも会社の上層部ということですね。

谷川:どうですかね。谷くんは確実に上層部だと思いますが(笑)。

吉田:お腹の張り具合は部長みたいな(笑)。

谷川:背中もいい味を出してます(笑)。

――このカバーアルバムが完成して、Timeless Communicationsの一員としてどのような活動を展開していこうと考えていますか?

谷:カバーとセルフカバーをうまく融合して、全部がUNCHAINの音楽だと感じられる作品になりました。たくさんの人に楽しんでもらえる作品だと思っています。あとはライブですね。2年ぐらいできない状態だったので、早くツアーを回りたいです。

吉田:このカバーアルバムを入口にしてもらって、UNCHAINのオリジナル曲も聴いてほしいです。次のオリジナルアルバムを作るのが楽しみになりました。

谷川:今回のカバーアルバムはオリジナルアルバムを聴いてもらうための作品でもあるので、リスナーの方にもそこまで到達してもらいたいですね。カバーアルバムを作ることは自分の中でのインプットにもなったので、今後、出てくるオリジナル曲にも少なからず影響を与えるはずです。まだ何が出てくるかはわかりませんが、オリジナルアルバムにいい形でつなげていけたらと考えています。次の作品も期待していただきたいです。

取材・文:長谷川 誠

リリース情報

『Timeless Communications』
CRCP-40633
定価\3,300(税抜価格\3,000)
1. キラーチューン(東京事変)
2. あなた(宇多田ヒカル)
3. I'M NOT THE ONLY ONE(Sam Smith)
4. 真夜中のドア/Stay With Me(松原みき)
5. 怪物(YOASOBI)
6. Broke(Samm Henshaw)
7. That's What I Like(Bruno Mars)
8. Into The Unknown(Panic! At The Disco)
9. Show Me Your Height(UNCHAIN)
10. Movin' My Soul(UNCHAIN)
11. Underground Love(UNCHAIN)
12. make it glow(UNCHAIN)

ライブ・イベント情報

<UNCHAIN Presents -Drawing The Moment->
2月23日(水) 梅田シャングリラ
guest musician:donny(key,cho)、多和田えみ(cho)
チケット
前売(税込)\4,950-(全自由) 整理番号あり
※ご入場の際、別途ドリンク代(¥600)が必要になります。
※未就学児童入場不可
お一人様2枚まで
配信 \2,500 (アーカイブ有)
■配信チケット
1/17(月)18:00~3/1(火)21:00
https://eplus.jp/unchain/
お問い合わせ
YUMEBANCHI(大阪) 06-6341-3525 (平日12:00~18:00 )

『<Timeless Communications』リリース記念ミニライブ>
2022年3月5日(土) 13:00
タワーレコード渋谷店5F イベントスペース

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス