【インタビュー】鈴木瑛美子、「歌唱力だけではなく表現力を知ってもらいたかった」

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高校在学中にその歌唱力で世間を魅了し、アーティストとしてはもちろんミュージカルシーンで活躍を続ける鈴木瑛美子。彼女がメジャーデビューから約2年半の時を経て、とうとう1stフルアルバム『5 senses』をリリースする。

◆撮り下ろし画像

五感すべてで体感してほしいという思いが込められた同作は、シングル曲を含む全15曲入りのDisc 1に、初回生産限定盤には6曲のワールドミュージックに挑戦したDisc 2 “5 senses -World Trip-”、さらにはCDのみの通常盤に収録されるボーナストラック「What The Lord Has Done In Me」と、トータルで20曲超えの楽曲を堪能できる。デビュー前から“表現者になりたい”や“いろんなジャンルやいろんなタイプの楽曲を歌いたい”と公言し続けてきた彼女。その望みを叶えた1stフルアルバムを完成させた今、何を思うのだろうか。

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■作詞作曲者さんの想像していたものを
■私の歌で最大限に表現したいし、それ以上のものにしたい


──1stフルアルバム『5 senses』、ものすごいボリュームであることはもちろん、1曲1曲のインパクトも大きい作品でした。これだけのものを作るとなると、かなり時間をお掛けになったのでしょうか?

鈴木瑛美子:わたしが作った曲では2年くらい前のものもあるし、「My Dearest」や「春待ち霞唄」はそれくらいの時期に録り終えていたんです。ミュージカルの出演も落ち着いてきたころ、本格的にアルバムのレコーディングに入りました。デビュー曲のリリースは2019年でしたし、だいぶ前に録った曲や作った曲には若さを感じますね(笑)。

──デビューしてからの歴史が詰め込まれていると。

鈴木瑛美子:でもまだ1stアルバムなので“自己紹介的な作品”だと思っています。デビューする前からずっと“いろんなジャンルの曲を歌いたい”と言っていて、それをこのアルバムでようやく実現できたんです。このアルバムでは“いろんな楽曲を歌う鈴木瑛美子”を表現したかったんですよね。

──初回生産限定盤Disc 2の“5 senses-World Trip-”はまさにそこに特化していますよね。和楽器、ハワイアン、ラテン、インド音楽、沖縄民謡など、多国籍な楽曲が収録されています。

鈴木瑛美子:ほんっとに大変でしたね……。アルバム本編のDisc 1では曲ごとに自分の持っているスキルでどんな表現をするべきかを考えたんですけど、ワールドミュージックの場合はその地域の文化から生まれた音楽なので、その土地の空気感や伝統的な歌い方を崩すべきではないんです。インドの音楽には私たち日本人に全く馴染みのない独特のこぶしが入っていたり、ハワイアンシンガーの方々は丸みのある優しい歌い方なので、いつも歌っているような自分の歌い方とは全然違うものなんですよね。



──ハワイアンソング「MAU NO KU’U ALOHA」は、鈴木さんのお父様と親交の深い小錦さんもレコーディングに参加なさったとのことで。

鈴木瑛美子:はい、ハワイ語を正しく発音できるようにレコーディングの時にチェックしていただきました。その日は花柄のスカートを履いて、髪の毛もウェーブにして、ハワイで生まれ育った人になりきって歌いました。他の曲でもイメージを広げるために、例えば「シュラヨシュララ」では沖縄の海とシーサーが写っている写真、「Pallu」の時にはボリウッドのダンサ―の人たちの写真を目の前に置いて歌ったんです。Disc 2の楽曲ではまったく新しいことに挑戦できましたね。

──Disc 1もDisc 2とは趣向の異なる、新しいアプローチが実現していると思います。2022年1月にデジタルリリースされた、アンジェラ・アキさんによる提供曲「カナリアの歌」は、歌詞が物語の語り部の視点で綴られています。

鈴木瑛美子:アンジェラさんの仮歌のデモを聴いたとき、泣いちゃったんです。提供していただいたことがうれしかったのはもちろん、わたしが歌うことを考えて書いてくださった歌詞だし、すごく素敵な世界観で……。今まで私が歌ってきた曲は“あなた”や“わたし”、“君”という存在に対して、歌で話しかけているんですけど、「カナリアの歌」は登場人物を客観的に見ている。そういう歌詞の書き方は、自分にはまだない発想だったので勉強にもなりました。

──気づきの1曲になったと。

鈴木瑛美子:最初に聴いたときは自分の声がどうはまるのか想像できなかったんです。でも何度も聴いて口ずさんでいくなかで、“この歌詞を、アンジェラさんの言葉をどう表現したらいいんだろう? どうやったらわたしらしく表現できるかな? とじっくり考えていきました。



──アンジェラ・アキさんは鈴木さんの憧れの人なんですよね。

鈴木瑛美子:日本で尊敬する人を訊かれたら、いつも“アンジェラ・アキさん”と答えていたくらい大好きです。アンジェラさんは、歌詞の出だし3行で楽曲の世界に引き込んじゃうんです。難しい言葉を使わない、具体的かつわかりやすい表現だから、スッと心のなかに入ってくる。その言葉選びと、頭に残るメロディが大好きなんです。ああいうふうに曲を作りたい。すごく憧れですね。

──「カナリアの歌」も“カナリア”と“優しい人”の物語がシンプルな言葉で綴られているけれど、いろんな捉え方ができるんですよね。

鈴木瑛美子:そうそう、そうなんです! わたしは“優しい人”が家族、“カナリア”が自分で、それを第三者として見ている感覚で歌ったんですけど、“優しい人”も“カナリア”も自分自身のこととしても捉えられるんですよね!だからどんな人にも、どんな時代にも、どんな人が歌ってもずっと聴ける曲。曲の力がすごく強いんです。そんな素敵な曲を作るアンジェラさんに、私が歌った「カナリアの歌」の歌を聴いてもらって、“瑛美子ちゃんは表現者だね”と言っていただけて。

──“表現者になりたい”も昔から鈴木さんがおっしゃっていることですよね。

鈴木瑛美子:自分で曲を作らない場合は、作詞作曲者さんの想像していたものを私の歌で最大限に表現したいし、それ以上のものにしたいんです。それがシンガーとしてのわたしが目指していることで。それをずっと憧れていたアンジェラさんから、アンジェラさんの作った曲で言ってもらえたことは、自分の夢がひとつ叶ったということでもあるし、アンジェラさんへの想いにも応えられたということでもあるので、本当にうれしいんです。


──2月には鈴木さんが作詞作曲を担当した「Tell me」、「重愛罪」、「A New Story」がデジタルリリースされました。趣向は異なれども3曲ともラブソングという共通点を持っています。

鈴木瑛美子:3曲とも数年前に書いた曲なんです。この3曲に書いた気持ちはだいぶ落ち着いているので、当時のことを思い出しながら歌っていますね。……ほんと嫉妬が強くて面倒くさい子ですよね(笑)。

──あははは、好意と嫉妬は切っても切れない縁ですから。

鈴木瑛美子:そうですよね(笑)。ちょっと聴いたら“うわ、重いな!”と思うけど、あるあるだとも思うし、重くなるほどの愛が湧き上がっていた昔の自分はすごく可愛いなとも思うし、これほどの愛を持っていた自分は素敵だなと思います。恋愛してる人ってみんなかわいいですよね。

──「Tell me」と「重愛罪」は渡辺善太郎さんが編曲を担当しています。メジャーデビュー曲のひとつ「FLY MY WAY」や「未来」も含め、渡辺さんは鈴木さんの作る陰めいたメロディを極限まで引き立てる方だと思います。

鈴木瑛美子:やっぱりわたしの好きなメロディがブルージーだったり、マイナーなものなので、すぐそっちに走っちゃうんですよね(笑)。私が提出したデモはピアノかギターの弾き語りなのですが、それを善太郎さんが不思議な肉付けをしてくれて。善太郎さんの世界観とわたしの世界観が化学反応を起こして、すごくかっこいいアレンジになっていると思います。

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