【インタビュー前編】Psycho le Cému、新章スタート前夜に語る「常に新しいものを」

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20周年を祝した地元・姫路市文化センター大ホールでの記念ライヴがコロナ禍の影響で延期となり、紆余曲折の末、実質的には22周年にあたる2021年、ようやく凱旋を成し遂げたPsycho le Cému。コロナに翻弄されながらも活動を止めることなく、<全国ツアー2021「勇者物語~幻想曲に選ばれた勇者~」>を果敢に実施(※4月に3本の振替公演を残す)。今年3月にはモバイルファンクラブ限定ライヴも実施、多忙を極める中、彼らは23周年に向け新たな物語を紡ぎ始めていた。

◆Psycho le Cému 動画 / 画像

起点となるのは、来たる5月3日(火・祝)にLINE CUBE SHIBUYAで開催する<23rd.ANNIVERSARY Psycho le Cému New Concept Live RESISTANCE〜覚醒の狼煙〜>だ。これまでのカラフルでポップな印象とは大きく異なる、クールでシリアスなヴィジュアル表現に挑戦。バンドとして次なる扉を開けようとする、強い決意と覚悟を感じ取ることができる。今一度2021年の活動を振り返りながら、2022年のPsycho le Cémuの行く末を訊く前後編ロングインタビューをお届けしたい。23周年の結成記念日に彼らは、新たなるコンセプトをスタートさせる。

   ◆   ◆   ◆

■改めていいバンドだなって
■強さを感じたし、頼もしい

──まずは2021年の振り返りから始めていきたいんですが、悲喜こもごも、様々な出来事のあった濃密な1年でしたね?

seek:そうですね。やっと有観客ライヴをできたのが1年前の2021年2月だったと思うんですけど。


▲ニューコンセプトを予感させる最新画像

──配信ライヴを意欲的に行っていた皆さんでしたが、有観客ライヴは丸1年ぶりでした。

seek:やっとファンに会えたうれしさと、来てくれたのはありがたいけど“来られてない人のほうがずっと多いんやろうな”ということも実感したのと。配信をシリーズで続けてきていて、そこをゴールとして、“やっとここからは有観客でライヴができるんだ!”と思っていたのが、その後4月に緊急事態宣言がもう一回出て……。前の状態にまた戻ってしまったので。なかなか自分たちが思うようにいかないな、精神的にしんどかったなっていう、春先の気持ちは覚えてます。

DAISHI:一番ライヴできへんかった時よりは、去年は収容上限がキャパシティーの半分という制限の中でもツアーは回り始めて、姫路市文化センターでもできて。ちょっとずつ良くはなってたんやけど。

seek:姫路に関して言うと、文化センター大ホールが昨年いっぱいで閉館するという期限がもう決まってたから、結果的に、夏に地元で出来たのはメンバー的には大きかったですね。本来は姫路で昨年2020年末やる予定だったものを、22周年記念として2021年5月3日の渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)公演に切り替えて。「<理想郷旅行Z 〜二十年後の僕たちへ…〜>としてやりましょう」って言ってたのに、それもまたできなくなって。

──皆さんにとっては、デビュー当時のコンセプトと絡めた特別な演目。2021年4月下旬、目前に控えたLINE CUBE SHIBUYA公演へ向けての意気込みをWaiveとの対談インタビューで伺いましたよね。そこから事態が急展開するわけですが……。

DAISHI:もともと姫路でやるからこそ意義のあった演目を渋谷公会堂に持ってきたのは、僕らメンバーからしたら、かなり複雑な想いがあって。でも、気持ち的に切り替えようとしてやっと切り替わった時に、渋谷公会堂がまたコロナで飛んで。元サヤの姫路市文化センター大ホールになるっていうのは……。

seek:僕ら自身もそうやし、お客さんらもやっぱり振り回されたやろうなって。東京だから観に行ける! 関西だから観に行ける!という人が、“行ける” “あぁ ダメだ……” “行ける!” “あぁダメだ……”を何度も繰り返すことになってしまったから。ファンの人らもやっぱりダメージ大きかったやろうなと思います。

DAISHI:一つの場所に集めたかったよね。ま、結果、東京ではZepp(<理想郷旅行Z 〜ENCORE〜 in Zepp Tokyo>)でもやったんやけど。


──Lidaさんは8月の姫路公演までの流れを今どう振り返りますか?

Lida:有観客ライヴを去年2月に最初にできたというのは、その時期にしては、僕たちにとってもすごく大きな一歩だったかな?と思います。そこで久しぶりにお客さんと面と向かって会ったのは良かったんですけど……お互いにどう接していけばいいのか?っていう。生のライヴの良さを体感したことのある者同士が集まって、でも実際には制限がある中で、やっぱり難しい立ち位置ではあったし。大きな一歩を踏み出したとは思うんですけど、その後も選択と決断の連続で。何に関してもどちらかを選ばないといけないし、もともと予定していたことがズレて、またズレて……。でも、他のメンバーも言っていたように、やっぱり切り替えるしかなかったですからね。

──なるほど。

Lida:僕たちのバンドは見せ方がいろいろできるので、姿形を変えたり、曲もガラッと変えたりしても成立するんだな、そこは強みだな、と改めて認識できたところもあります。有観客の前に、配信というスタイルができた時も“僕たちなりの見せ方ができるんだな”と考えるようにもなっていたし。そういう状況になってマイナスばかりでもなかったなと思って。そのプラスを少しずつでも、0コンマ幾つでも積み上げていくしかないな、という感じですよね。現状、まだやっぱり制限ある中でのライヴですし。

──思うように活動できず大変だったとはいえ、Psycho le Cémuの持ち味を見つめ直して、ポジティヴに捉えられる機会でもあったんですね。

Lida:そうですね。もっと言うと、個人的には“音楽というものに対して、どう向き合っていけばいいのかな?”ということをすごく考える機会になりました。メッセージを発することのできる立場として、世界中が同じような境遇になっているこの状況で、何か発しないといけないし、でも軽はずみなことも言いたくないし、とか。そういう部分で個人的にすごく悩みに入っていた時期はあったんですけども。

DAISHI:「そんな曲しかできひん」と言っとったもんなぁ、コロナの時期は。

Lida:選曲会があったんですけど、仮ではあっても僕が歌詞を書いたら、やっぱりそういう内容とか言葉しか出てこなくて。それを前向きに捉えるようにして1曲生まれたというところもありました。悩みに悩み過ぎてる時期にも、自分1人じゃなくてメンバー5人いるし、他にもたくさんの人が関わってくれているので、アイデアも出たりもらえたりして、それで先に進めたところもあったし。そういう全てをひっくるめて、見つめ直す時期だったなと思いましたね。


▲DAISHI (Vo)

──そこで生まれた新曲「アカツキ」については後程改めて伺いたいと思っています。YURAサマは昨年の前半姫路までの流れを、今どう振り返りますか?

YURAサマ:何を思ってたか全然覚えてないんですけどね(一同笑)。姫路市文化センターが去年やもんね? Zepp Tokyoやったのも去年やもんね?

DAISHI:姫路では泣いてたやん!

YURAサマ:姫路はうれしかったですね。だから、結果として“姫路でやれて良かったな”という印象なんですよね。昨年前半に限らずかもしれないですけど、コロナ禍においていろいろなバンドさんの解散や脱退のニュースが多くて。何が理由かまでは僕もちゃんと調べきれてはいないですけど、“コロナが原因で、というのもやっぱり多いんだな”と何となく分かっていたので。不思議とPsycho le Cémuに関してはそんな話は1ミリもなかったですし、“どういうふうにやっていこう?”っていう、本当に前向きな話しかなかったです。そういう意味では、改めてですけど“いいバンドだな”って。誰からも辞めたいなんて話は全くなかったですし、強さを感じたし、頼もしいというか。Psycho le Cémuっていうバンドがずっとあるんだろうな、という気がしますね。

──ご時世的に“キツかったな”という出来事もあったのでは?と察するのですが、ダメージは残っていないと?

YURAサマ:僕はないですね~。あったのかもしれないですけど、覚えてないです(笑)。“姫路やれた”っていう、いい思い出が残ってるぐらいで。

──実際、姫路のライヴはいかがでしたか?

YURAサマ:良かったです。悔いが残ると言ったら、やっぱり地元の友達もたくさん呼びたかったし、親も呼びたかったし、地元でお世話になったドラムの先生方とかにも直接観てもらいたかったのは確かですけど、事情が事情だけに全員が会場に足を運べるわけじゃなかったので。地元に帰って“錦を飾る”気持ちでは挑んでいたから、そこはコロナに対しての悔しいなという想いはありました。

DAISHI:元々の売れてたチケットの枚数と、来場者数が全然違うもんね。チケットの売れ行きも良かったのに……。

──切ないですが、どのライヴへ足を運んでも多かれ少なかれ、そういう状況ですね。

seek:それがあったので逆に、新しく出来たアクリエひめじというホールに向けて、次にチャレンジしたい目標がまた一つできて良かったかなと思ってますけど。

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