【インタビュー】Dortmund Moon Sliders、東京の東の湾岸地帯を舞台にしたせつなくもみずみずしいシティポップ/ロックの世界

ツイート

ビートルズ、スミス、ストーン・ローゼズ、オアシス、アークティック・モンキーズ等々。メロディアスで躍動的なUKロックの系譜を好むリスナーは、絶対にチェックするべきバンド、Dortmund Moon Slidersの1stアルバム『Life Is Beautiful』が素晴らしい。全作詞作曲を手掛けるPETAS(Vo&G/DTM)のキャッチーなメロディセンス、仕事と音楽活動を両立させる大人世代の生活感に根差したリリック、それは東京の東の湾岸地帯を舞台にした、せつなくもみずみずしいシティポップ/ロックの世界。このノスタルジーと現在が交錯する魅力的な世界観はどこから生まれてきたのか? それぞれに仕事を持ちながら、DIY方式でバンドを運営する注目の4人、ついにBARKS初登場インタビューだ。(写真左より:MARU、PETAS、JIPON、TATSU)

■汐留から門前仲町あたりの風景が僕にとっての東京
■それが僕にとってのリアルだったんです


――このメンバーになって、何年経ちますか。

PETAS(Vo&G/DTM):2年ちょいぐらいですかね。コロナになって、みんながマスクをしだしたぐらいに、4人でスタジオに入るようになったので。

――というと、バンドを始めるタイミングとしてはかなり微妙ですよね。

PETAS:そうですね。もともとこのバンドは、2019年に始まってミュージックビデオを作ったりしていたんですけど、当時は曲数もなかったので、積極的にライブができなくて。そのあと、ドラマーが仕事の都合で抜けてTATSUくんが入ってくれて、これから積極的にやっていこうと思ったタイミングでコロナになって、ライブができなかったという感じです。スタジオにも全然入れなくて、最初はリモートで曲作りをしていました。

――この1stアルバム『Life Is Beautiful』は、ちょうどその頃から数えて、2年間の軌跡みたいな内容になっていますよね。1曲ずつ作ってリリースしていくうちに、自然に曲がたまったという感じですか。

PETAS:最初はそうですね。曲をとにかく作りためて、その後、アルバムとしてのパッケージングを考えていったという流れです。

――このアルバムは最高です。80’sから90'sのUKロックっぽいギターポップ感、ネオアコ感を中心に、ファンクやダンスミュージックのグルーヴも取り込んだみずみずしい音。タイムレスな感触が強いですけど、PETASさんって、どの年代ですか。

PETAS:2000年代のガレージとかがリアルタイムの世代ですね。

――そのへんは今も背負っていますか。ガレージ感はそんなに前面に出ていない気もしますけど。

PETAS:ちょうどiPodにいろんな音楽をじゃんじゃん入れられるようになった世代なので、年代はあまり関係なく聴いていたと思います。iPodにビートルズも入っているし、まだ新人だったアークティック・モンキーズも入っているし、みたいな感じ。


――ああー、なるほど。せっかくなので、みなさんにも聞きたいですね。それぞれのルーツと、このバンドに提供している音楽性について。ギターのMARUさんは?

MARU(G/Mandolin/B):楽器を始めたのはビートルズがきっかけなんですけど、その後はヘヴィメタルが好きになったんです。そこから4、5 年経ってオアシスとかに興味を持って聴き始めた頃にPETAS と出会って、という感じです。最近の音楽を聴いているとカッティング主体のオシャレなギターが多いのかなと思っているので、僕はそうではないもの、ギターリフやメロディがちゃんとあるフレーズを提供できるように考えてますね。

――JIPONさんは、もともとの音楽性と、このバンドのベーシストとして意識していることは?

JIPON(B/Synthesizer):そこまで自分の色を出そうというつもりはないんですけど。僕もPETASさんと同じく、もともとUKロックが好きなので、自然に出ているとは思います。

――TATSUさんは?

TATSU(Dr/Rhythm Machine):私は3人とはちょっと違うところがありまして、もともとファンクやアシッドジャズのような、16ビートの音楽をやっていたんです。なので、最初に声をかけてもらった時に、UKロックぽいし、エイトビートだし、合うのかな?と思ったんですけど、無理に合わせるというよりは、僕の得意なジャミロクワイ、インコグニート、アース・ウィンド&ファイヤーのような感じでやると逆に面白いかな?と思うので。ロックじゃない人がバンドに一人いるとどうなるかという、実験的な気持ちでやっています。


――バンドって面白いですね。それぞれに違う個性を持ったものが組み合わさって唯一無二のものになる。ねえPETASさん。

PETAS:ほんと、そうですね。僕とJIPON、MARUは前身バンドも一緒にやっていて、それはUKロックっぽいビートのバンドだったんですけど、時代の流れも変わってきて、僕の聴く音楽も変わってきて、ファンクやヒップホップも聴くようになったりする中で、TATSUくんが違うエッセンスを入れてくれるのはすごく大きくて。逆にギターは、今まで通りにギターポップやネオアコっぽい感じで、それがぶつかってミックスされて僕らの音として出ている、そこがすごく楽しいです。

――例えが古いですけど、ストーン・ローゼズがメロディアスなギターロックにダンスミュージックのグルーヴを取り込んだのと同じようなことかなと思います。このバンドにも、そういう組み合わせの面白さがある。

PETAS:そうだと思います。ローゼズは、ハウスとギターポップのミックスみたいな感じだったと思うんですけど、うちは何ですかね? ファンクやアシッドジャズのドラムがありつつ、ベーシストは全然違う色だし、ギターはギターポップをやろうとしたり、しなかったり(笑)。そこがオリジナルになってきているのかなと思います。

――もうひとつ、このバンドの特徴として、東京のロックというイメージがあると思うんですね。ジャケットにスカイツリーが写っていて、これは隅田川の下流あたりですよね。築地大橋かな。

PETAS:船の上から撮っているんですけど、たぶんそこらへんだと思います。

――歌詞にも、永代通りや三つ目通りが出てくるし、そうかと思えば首都高3号線に環七も出てくるし、東京の西と東のどっちに住んでるんだろう?とか思うんですけど(笑)。PETASさんが歌詞の中で見ている風景ってどういうものですか。

PETAS:それで言うと、僕はけっこう長いこと門前仲町に住んでたんですよ。今は違うんですけど。当時の職場が汐留あたりだったので、汐留から門前仲町あたりの風景が、僕にとっての東京だったんです。バンドの曲で、西東京側の歌はすごく多いじゃないですか、中央線とか、井の頭線とか。昨日も下北沢でライブをしましたし、そっち側の比重がどうしても多くなるんですけど、当時の僕のリアルはこっち側だったので。それがそのまま反映されているのかもしれないです。



――それ、珍しくてかっこいいですよ。渋谷系じゃなくて、門前仲町系。

PETAS:そこらへんの地名が出てくる歌は、あんまり聴いたことないですよね(笑)。「Night Walk」という曲のミュージックビデオを撮影する時にも、僕が企画と監督をやったんですけど、僕が見てきたリアルな景色を出そうと思ったので、そのあたりで撮影して、普段歩いていたところだけで構成しています。

――お洒落な都会のシティポップではなく、そこに住んでいるリアルとしてのシティ音楽。

PETAS:そうです。それが僕にとってのリアルだったんです。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報