【インタビュー】観月ありさ、「音楽活動は自分探しをする場所」

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■今年は音楽活動も意欲的にやりたい

──11年前のオリジナルアルバムでは“絆”をテーマにしていました。今回のニューアルバムの制作にあたって、どんな作品にしたいと思っていましたか。

観月ありさ:過去の自分のちょっと懐かしい感じと、今の新たな音楽や映像の作り方を取り入れて、自分の歴史とこれからの新しいものを模索しながら作ったアルバムですね。懐かしいなっていうテイストのメロディラインだったりする曲もあるけど、サウンドが今っぽかったりする。でも、どこかちょっと懐かしい、私たち世代が馴染みのある雰囲気もあったりして。古い良いものと、今の良いものを融合させたテーマで作ったアルバムですかね。

──アナログの音も入っているので、LPのA面B面のような構成にも感じました。A面は今の年齢でしか歌えない大人の恋愛ソング、B面は懐かしくも新しいネオシティポップになってて。

観月ありさ:そうですね。今の私が歌うにはちょっと若いかなという歌詞の曲もあるんだけど、そこをあえて、年齢を問わずに、若い感じを歌ってもいいのかなっていう感じがしたんですよね。いききっちゃえ!みたいな(笑)。ライブできっと盛り上がるなだろうなとか、この流れがいいなとか、お客さんの前で歌うことを意識して並べたり、選曲もしたという感じ。

──ライブを想定してるんですね。

観月ありさ:ライブがしたいんですよ。でも、有観客で声が出せるようにならないとできないなと思ってて。みんなの反応が見たいから。

──直接会えるのは久しぶりだからこそ、歓声はあげたいですよね。「ありさ!」とか「あり姉」とか、みんな叫びたいだろうし。

観月ありさ:私も聞きたいんですよね。ライブはお客さんと近くで話せるじゃないですか。私、MCでお客さんの声を拾って、そのままダラダラ話したりするから(笑)。お客さんがいてほしいっていうのが大前提である。どうしても配信ライブだと味気なくて。どうせやるならお客さんを入れて、ちゃんとやりたい。その時まで待とうと思ってます。


──焦らずに待ちたいと思います。先程キーワードで出てきた「懐かしさ」「新しさ」「若い歌詞」についてお伺いしたいと思いますが、「懐かしさ」を感じた曲というのは?

観月ありさ:「Someday」と「mint leaf」かな。昔っぽいというか、ニューミュージックが流行った頃のサウンドで、すごく懐かしい。私がデビューするちょっと前に流行ってたサウンドですね。私はデビューが平成なので、昭和レトロじゃなく、平成レトロみたいな感覚に立ち返っていいのかなって感じがして。今はもう、ある意味、いろんな音楽が出尽くした感があるやないですか。そこで何をやるかなって思った時に、最先端になりすぎても急にかっ飛びすぎる感じがして。昭和臭を漂わせるのも面白いかなと思ったんだけど(笑)、新しい感じがしないかと感じて。じゃあ、ちょうどひと区切りだし、自分がデビューした頃のサウンドに立ち戻るっていうのもいいのかなと思ったので、ちょっと懐かしいエッセンスのある曲を選曲してみました。自分のファンの方の年代が、私の曲を聴いた時に、ホッとするというか。「あ、やっぱりここだよね」って感じて欲しいなと思ったんですよね。すごく冒険するわけでもなく、すごく守りに入るわけでもなく。その落とし所として、みんなが安心できるアルバムになってるのかなと思うんですよね。きっと私くらいの年代の方が聴いた時に、なんか気になっちゃうとか、なんかキュンとしちゃうとか。そういう、ちょっと懐かしい感じとううか。

──「mint leaf」は90年代初頭に流行っていたニュージャックスイングのビートが入ってるブギーファンクになってて。何周かしてまた流行っているので新鮮に感じる人も多いと思います。

観月ありさ:今もまたブームがきてますよね。若い方達は新しいものだと思って、いい感じって聴いてくれればいいし、私たち世代は、「昔、クラブとかでかかってたよね。懐かしい」って思ってくれたら嬉しいし。自分たちが若かったときに聞いてたようなサウンドをあえて今やるのもいいかなって思ってましたね。

──では、「新しさ」を象徴するのは?

観月ありさ:全体的にそうなんですけど。「SUNAO」というスローバラードは、今まで私が歌ってきたスローバラードの中では異色な感じかなって思っていて。

──ジャジーな「Goodbye My Lonely」からの流れがすごくいいですよね。

観月ありさ:いいですよね! すっごく考えたんですよ。何回も曲順を入れ替えながら、ここでスローバラードを聴いてもらった方が飽きないよねってなって。最初は「Nobody else」が先だったんだよね。でも、4曲目に欲しいなって思って。でも、「SUNAO」は、今回のレコーディングで一番苦戦した曲でしたね。歌がね、難しかったです。いつものレコーディングは、つるつるつる、サラサラって終わっちゃうんだけど(笑)、これはね、音の取り方とか、言葉の発音の仕方、グルーブ感をつけていくのが大変だったんです。いつもの自分の歌い方だと間がもたないから、歌い方も、声のトーンもすごく考えたし、苦戦しましたね。その分、思い入れが強いスローバラードになったかな。


──とても大人っぽいですし、ファルセットも切なくて。「Umbrella」や「THIS LOVE」などのバラードとはビブラートの使い方も違っていて。

観月ありさ:そうなんですよね。普段のスローバラードとは変えて歌ったという感じでしたね。新しい感じを取り入れたいなと思って。歌唱法も、往年の私っぽい歌い方もしてるんですけど、経験値をちゃんと出したいなと思ってちょっと変えていて。今の時代に適応していく能力もちゃんと表現したいなと思ったんです。かなり歌い方も変えてみたので、聴いてくださる方たちが新鮮味を感じてくれたり、新しいな、面白いなと思ってくれたら嬉しいですね。

──これはやっぱり生で聴きたいです。

観月ありさ:生で歌いたいですね。生バンドで生演奏で歌ったらカッコいいなと思います。

──そして、「若い歌詞」といえば、Novelbrightによる「サジタリウス」ですよね。

観月ありさ:とてもいい曲だなと思ってます。若い作家のNovelbrightが、観月ありさをどういう視点で描くんだろうっていうことにすごく興味があって。なので、「アップテンポ」というだけで何もお題を言わず、すごくフリーな中で描いてもらったんです。確かに、歌詞の内容は若い感じなんですけど、今の私が過去の自分を振り返って、「あの頃、こうだったよね」って背中を押す歌になればいいなと思って。男の人の歌詞も今だから歌っても変にならないし、若い人たちと今の私がうまく融合した曲になってるんじゃないかなと思って。これ、アップテンポでお願いしたからアップテンポになっているけど、アレンジを変えて、スロウで歌っても綺麗な曲だと思うんですよね。メロディラインがとっても綺麗だから、いろんなアレンジを変えてもいい歌になりそうだなって思いながら歌ってます。



──Novelbrightにお願いしたのはどうしてだったんですか。

観月ありさ:私が若い方たちと仕事がしたいなと思って。Novelbrightさんの曲を聴いて、メロディラインがシンプルですごくいい曲を書くなって思ったんですね。Aメロ、Bメロがあって、サビっていう、私たち世代にもわかりやすい構成なんだけど、サウンド感は今の人が書いている今っぽさがあって。そこのバランスが絶妙にいいグループだなと思ったんですよ。私が歌っても、ロックロックした感じにならないし、融合されて面白い曲ができそうだなと思ってお願いしたんですよ。他にもいろんな方の曲を聞いてみたんですが、それぞれカッコ良いんですけど自分が歌うとちょっと行き過ぎかなとか、ちょっとロックすぎかなとか。自分が歌うことを想定して聞いていたので、それを考えると、Novelbrightさんの曲は私たち世代にも馴染みやすい曲が多いなと思って。最初、スローバラードを書いてもらおうかなとも思ったんですけど、やっぱりロックバンドだし、アップテンポの方が若さが出て、今までの私っぽくない曲ができるかなと思ってお願いして。期待していた通りの良い楽曲が仕上がったなって思ってます。

──ミュージックビデオでは、15 歳の観月さんとの共演を果たしてます。

観月ありさ:ストーリー性のあるミュージックビデオが作りたかったんですよ。今までのミュージックビデオは、「私、私……ずっと私がいる!」 みたいな映像が多かったから(笑)。今回はノスタルジックな感じもあるし、ストーリーに載せて映像を観るっていうのが素敵だなって思って。ちょっと映画っぽくして、私が俯瞰でいて、若い頃の自分を今、思い出しているみたいな感じの物語にしたいなと思って。若い時の私と共演できる新しい技術があるよって聞いて。それはもうやるでしょ!って。

──いや、一般人としては、二つ返事にはならないですよ。

観月ありさ:そう言われたらそうだよね(笑)。10代の自分と並びたい人はいないと思うんだけど(笑)、単純に面白いな、やりたいなと思って。30年前の自分が動くのが画期的だったし、本当に面白かったですね。当時、私が着ていたような衣装をちゃんとどこかから取り寄せてくれて。「私、これ、着てた」!っていう衣装をモデルさんに着てもらって。顔だけAIで変わっちゃうけど、ちゃんと並んで撮影してるんですよね。懐かしかったな。当時のファッションもそうだしそれが動くというまた不思議で、いいミュージックビデオになりました。

──アルバムの冒頭にも30年前の観月さんの挨拶が入ってます。

観月ありさ:あれもよく見つけてきたよねって思ってます(笑)。30年の自分の歴史もちゃんと残しながら、引っ張りつつ、今に生かしていくっていう。今まで歩んできた歴史も大事にしなきゃいけないからね。そして、データが残ってるのがすごいですよね。普通だったら自分の声や映像、残ってない。こういうお仕事をさせてもらっているから、若い時の映像や声が残ってるし。それは使わない手はないですねって。



──そして、アルバムは「さて、次なる展開は」で終わります。今後の音楽活動はどう考えてますか?

観月ありさ:すごく考えてるんですよ。アルバムの曲をまだライブでも歌ってないのに、1つ作り終えると、はい、次!ってなっちゃって。次の新曲どうしようっていう方向に心はもういってますね。

──音楽活動も積極的にやっていきますか。

観月ありさ:もちろん! 今年は意欲的にやりたいですよ。お芝居は30年やって、自分の中ではひと段落したんですよ。主演ドラマ記録も30周年で全うしましたので、これを機に音楽活動を精力的にやりたいなと思っていて。どうしても、ドラマが被ってくると、片手間になっちゃうし、体力的にもしんどくなっちゃうので、ひと段落ついたところで、また音楽にシフトして行けたら良いなと思っていて。精力的にやりますよ!

──楽しみにしてます。いつかシャンソンも聴きたいなと思うアルバムだったので。

観月ありさ:そうなんですよ。シャンソンやろうかっていう案も出たんですけど、まだちょっと早いかなと思ってね。先日も西田敏行さんと熱く語って。「ありさちゃん、シャンソンとかいいよ。俺、プロデュースする」って言ってくれて。シャンソンいいなって思っているので、もうちょっと経験を積んで、いつかやってみたいなと思ってますね。お楽しみに!

取材・文◎永堀アツオ
撮影◎野村雄治

衣装協力
MSGM(アオイ)
問い合わせ先:03-3239-0341

グロッセ(グロッセ・ジャパン)
問い合わせ先:グロッセ・ジャパン 03-6741-7156

ランバン コレクション(モーダ・クレア)
問い合わせ先:03-3875-7050

『Ali30』

2022年6月15日リリース
[CD+Blu-ray] AVCT-10207/B ¥4,400(税込)
[CD ONLY] AVCT-10208 ¥3,300(税込)

-CD-
01. prologue
02. Always Alright
03. Goodbye My Lonely
04. SUNAO
05. Nobody else
06. ありきたりなキセキ
07. mint leaf
08. Psychedelic
09. Umbrella
10. THIS LOVE
11. Someday
12. サジタリウス
13. epilogue
【Bonus Track】
14. mint leaf (Seiho Remix)
15. TOO SHY SHY BOY! (TK SONG MAFIA MIX)

-Blu-ray-
01. サジタリウス -Music Video-
02. サジタリウス -Music Video Behind The Scenes-
【Bonus Track】
03. TOO SHY SHY BOY! (TK SONG MAFIA MIX) -Music Video-
04. TOO SHY SHY BOY! (TK SONG MAFIA MIX) -Music Video Behind The Scenes-

・各CDショップ・ショッピングサイト特典
オリジナルフォトカード3枚セット

・Amazonオリジナル特典
メガジャケ
※ご購入いただいた形態のジャケットと同様の物となります。

・RISING PRODUCTION SHOP / mu-mo shop オリジナル特典
オリジナルコースター

RISING PRODUCTION SHOP / mu-mo shopでは、「リリース記念 Ali30オンライン乾杯party」(全1日程/ 抽選100名様) を開催。
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