【プロミュージシャンのスペシャル楽器が見たい】Gacharic Spin TOMO-ZO、ガムテでガチガチに固めたPRS blue crab blue

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HR/HM、ダンスミュージック、ポップスなど、様々な要素を融合させながら進化を続けているGacharic Spin。凄腕のプレイヤー同士が華麗なサウンドを交わし合い、奇跡的なバランスで楽曲を輝かせている様は本当にかっこいい。個性派揃いのこのバンドの中で、一際カラフルな存在感を放っているのがTOMO-ZO(Guitar)だ。明るい笑顔とのギャップが著しいダイナミックなプレイは、実際に目の当たりにする度に仰天させられる。愛用の機材を紹介する今回のインタビューを通じて、真剣な追求と遊び心を両立させている彼女の姿を感じてもらえると思う。

■ライブでは私が低音でガッツリした感じで弾くのに対して
■はなちゃんはもう少し高音域な印象になっています


――子供の頃から音楽が好きだったんですよね?

TOMO-ZO:はい。歌うことが小さい頃から好きで、音楽に興味がありました。周りの友だちがピアノを始めたら「私も習ってみたい」ってなったりしていましたから。バンドやギターに出会ったのは、小学校5年生の時です。

――PUFFYやWhiteberryとかを聴いていたって、前におっしゃっていましたよね?

TOMO-ZO:そうなんです。同世代の女の子たちがかっこよく演奏しているWhiteberryに衝撃を受けて、友達と「私たちもバンドやってみない?」ってなったんです。

――パートは、ギターを希望したんですか?

TOMO-ZO:歌が好きだったので、本当はボーカルをやりたかったんです。でも、もう1人ボーカルをやりたい子がいて、そこは折れました(笑)。

――(笑)。最初のギターは、小5のクリスマスにプレゼントしてもらったんですよね?

TOMO-ZO:はい。父が昔やっていたバンド仲間のギターで、フェルナンデスのストラトタイプです。緑と黒のグラデーションみたいなカラーでしたね。「次はこういうことができるようになりたい」っていう気持ちがどんどん湧いてきて、練習がすごく楽しかったです。ピアノにはない尖った感じがあって、そこにも新鮮さがありました。私の中に「ロック」というものが芽生えた瞬間だったと思います。

――ファンのみなさんの間ではTOMO-ZOさんがニコリン星から来た宇宙人だというのはよく知られていますが、宇宙人の観点からも地球のギターという楽器は魅力的ですか?

TOMO-ZO:素晴らしいです。こんなに素敵でかっこよくて、いろんなことを表現できるギターを生み出してくれた地球人のみなさん、ありがとうございます!


――ニコリン星には、ギターみたいな感じの物体はないんでしょうか?

TOMO-ZO:ないんですよ。だから私が輸入代理店としてニコリン星にギターを広めたいなと思っています。

――なるほど(笑)。ギターを始めてからは、JUDY AND MARYを熱心に練習したんですよね?

TOMO-ZO:はい。最初はどういうのが難しいのかわからないから、そこから始めちゃったんです。TAKUYAさんのギターがかっこよかったですからね。知らないからこそ難しい曲に取り組めたんだと思います。知識があったら最初にジュディマリのギターをコピーしようとは思わなかったかもしれないです。

――中学に入ってからは、ギター教室に通ったんでしたっけ?

TOMO-ZO:そうです。地元のレコード店でやっていたレッスンに通って、そこで初めてアドリブに挑戦したりとかしました。あの頃、本当にずっとギターを弾いていましたね。

――モーニング娘。のオーディションを受けたのも中学の頃ですよね?

TOMO-ZO:はい。「特技はギターです」みたいな感じで映像を送ったんですけど、書類選考で落ちました(笑)。

――(笑)。ギターにどんどん夢中になり、地元の長野の中学を卒業した後、東京の音楽系の高校に進学?

TOMO-ZO:そうでしたね。周りにそこまで弾ける人がいなかったので、「いけるかも」って思っちゃったんです。あと、みんなで1つのものを作るバンドの魅力も知って、将来バンドでやっていきたいというのもあって、東京に行くことに決めました。高校に入ってからは、洋楽もいろいろ聴くようになって世界が広がりました。授業でたくさん新しいことを知って音楽理論も学べたので、東京に行ってよかったです。


――最初のバンドは、高校在学中に加入したEU・PHORIA(ユーフォーリア)ですね?

TOMO-ZO:はい。高1の後半でオーディションを受けて、オレオがメンバーだったEU・PHORIAに加入しました。それが今のGacharic Spinに繋がっていったんですよね。EU・PHORIAではレコーディング、MV撮影とか、いろいろな初めての経験をさせてもらいました。ライブハウスをたくさん回ったのも私にとってEU・PHORIAが最初でしたし、「バンド」というものをちゃんと知ったのは、そこからでしたね。

――KOGAさんとの出会いもEU・PHORIAで活動していた時期ですよね?

TOMO-ZO:はい。EU・PHORIAでデビューして、先輩バンドのオープニングアクトとして出た時に、THE PINK☆PANDAも一緒にツアーを回っていたんです。



――EU・PHORIAに加入した直後に買ったのが、今回の取材で写真を撮らせていただいたArt Techのストラトタイプですか?

TOMO-ZO:はい。あのギターとの付き合いはすごく長くて、これからも大事にしたい相棒です。Gacharic Spinで弾く機会は少ないんですけど、大きいワンマンで使うことはあって、レコーディングでは「MindSet」で使いました。カッティング系の曲がまたできた時に弾きたいです。

――高校に入学した直後にエピフォンのSGタイプを買ったというのを、前にお聞きした記憶があるんですけど。

TOMO-ZO:買いました。小5の時にプレゼントしてもらったフェルナンデスのストラトタイプをずっと弾いていたんですけど、「高校に入学したから新しいギターを買おう」って思って、新宿の楽器屋さんに行きました。SGは一目ぼれに近い感じでしたね。「なんだ、この尖った感じは?」ってなったので。

――何色のSGを買ったんですか?

TOMO-ZO:真っ黒です。


▲一目ぼれで買ったエピフォン SGタイプ

――アンジェリーナ1/3さんが成人のお祝いに貰ったギブソンのSGに近いですね。アンジーさんが今後、ステージでSGを弾く機会があったら、TOMO-ZOさんもエピフォンのSGを弾いたらインパクトがあるかも。

TOMO-ZO:それ、面白いですね(笑)。

――EU・PHORIAへの加入は高校在学中ですから、当時のTOMO-ZOさんは今のアンジーさんみたいにいろいろ吸収していたんでしょうね。EU・PHORIAは2009年に解散しましたが、Gacharic Spinへの加入に至るまでの経緯はどのような感じだったんでしょうか?

TOMO-ZO:オーディションがあって、初めてKOGAさんとはなちゃんと音を合わせた時の衝撃がすご過ぎたんです。私の中にあったいろんな迷いが一気に消えて、「何が何でもこのバンドでやりたい!」って思いました。

――「この人たち、何かが他と違うぞ」っていうのがあったんですね?

TOMO-ZO:はい。音楽に女性とか男性とか関係ないとは思うんですけれど、「女の子が出す音じゃない」っていうのがあったんです。とにかく「かっこいい!」ってなって、しびれました。


――オーディションに合格してGacharic Spinに加入したわけですが、最初の練習がギター回しだったんですよね?

TOMO-ZO:そうなんです(笑)。「ギターの練習は後でいいから」って言われて。何かがおかしいですよね?

――おかしいですけど……Gacharic Spinらしいなと思います。

TOMO-ZO:「パフォーマンスもギターを弾くのと同じくらい大事だから」って言われたんです。EU・PHORIAの頃も自分なりにステージングを頑張っていたんですけど、Gacharic Spinはレベルが違いました。

――「Art Techのギターはバンドのイメージに合わない」という理由で、Gacharic Spinでは他のギターを使うようになったんですよね?

TOMO-ZO:はい。Art Techは木目調の渋い見た目だったので、Gacharic Spinの最初の頃はフェンダーの真っ白のストラトキャスターを借りて弾いていました。でも、ストラトのボディは私にはちょっと大きい感じがしていたんです。

――それで、Paul Reed Smithを弾くように?

TOMO-ZO:そうなんです。「PRSを使ってみない?」って言っていただいて弾くようになりました。最初のPRSはSE。miraも弾いていました。その後、レコーディングで「これを使ってみませんか?」って言っていただいて、Custom 24と出会いました。PRSは自分の身体にフィットしていますし、すごく弾きやすいです。

――「私にぴったりなギターはこれだ」っていう感覚がありました?

TOMO-ZO:ありましたね。初めて弾いた時から弾きやすかったので。音も理想的でした。

――「ストラトとレスポールの間」みたいな印象を、様々なギタリストがおっしゃっていますよね。

TOMO-ZO:たしかにそういう感じですね。クリーンはすごく太くて、歪みはがっつり出てくれるギターなんです。


▲PRS Custom 24 blue crab blue


▲PRS Custom 24 orange

――今のメインはPRSのCustom 24 blue crab blue。あと、Custom 24 orangeも弾いていますよね?

TOMO-ZO:はい。最初の頃、Custom 24はレコーディング用に考えていたんですけど、弾きやすさと音の良さを感じて使わずにはいられなくなり、ステージでも使うようになりました。ストラップが外れないようにガムテープを貼っていますけど。

――「ステージで弾く=ガムテープ」ですよね? ギターを回すことも、ギターソロとかと並ぶGacharic Spinの重要パフォーマンスですから。

TOMO-ZO:そうなんです。ガムテープを貼ることに最初はちょっと迷ったんですけど、ついにガムテープを貼ってしまいました。


――あんなに美しいギターにガムテープを貼るって、なかなかないと思います。

TOMO-ZO:最近、TikTokとかでPRSを弾いている動画をアップすると、「これ、Custom 24なの?」ってざわついている時があります(笑)。ガムテープでしっかりとストラップを固定して、大切に回しています。

――TOMO-ZOさんはAKB48の「GIVE ME FIVE!」のためにメンバーにギターを教えて、西武ドームのイベントで高橋みなみさんの代わりにギターを弾いたことがありますけど、あの時もPRSでしたよね?

TOMO-ZO:PRSでした。ピンクのSEを弾きました。

――AKB48のメンバーと一緒にプレイしたって、ものすごい経験ですよ。

TOMO-ZO:前田敦子さんがお仕事で来られない時、私がリハで代わりにセンターのポジションでギターを弾いたこともあります(笑)。ギターを教えるっていうのは、すごく勉強になりました。自分のパフォーマンスを見直すきっかけにもなりましたね。

――高橋みなみさんにギターを教えたんですよね?

TOMO-ZO:はい。すごく一生懸命取り組んでくれて、教え甲斐がありました。ものすごいスケジュールの中、ギターにも一生懸命で、ソロまで弾けるようになりましたからね。あの姿勢は、私にとっても刺激になりました。

――<NAONのYAON>も、毎回が素晴らしい勉強の場ですよね?

TOMO-ZO:はい。素晴らしいアーティストのみなさんとあのような形で一緒に演奏させていただく機会は、他ではなかなかないですから。私にとって年に1回の楽しみになっています。Gacharic Spinに入ってから、ありがたい経験をたくさんできています。

――様々な経験を積む中で、使うギターも変化していったわけですが、サウンドの好みとかも含めて、どういう変遷を辿ってきたと感じていますか?

TOMO-ZO:EU・PHORIAの楽曲はストレートなロックっていう感じだったので、使っていたアンプもマーシャルで、他の機材もわりとスタンダードなものが多かったんです。でも、Gacharic Spinに入ってからは、ものすごい個性に囲まれている中で目立っていかなきゃいけなくなったんです。速弾きをすることも増えて、ENGLのアンプを使うようになりました。全体的にテクニカルな方向になったということですね。


――今はHR/HM的なギタリストとしてのイメージが強いですけど、そういうプレイを本格的にするようになったのはGacharic Spinに入ってからですよね?

TOMO-ZO:そうなんです。もともとはHR/HMを通ってこなくて、高校でやっとハードロックを聴くようになったので。メタルを聴き始めたのは、Gacharic Spinに入ってからだったと思います。

――サウンドの変化に関しては、2019年からGacharic Spinが第5期の編成になって、はなさんがギターボーカルになったのも大きいのではないでしょうか?

TOMO-ZO:はい。それは大きかったです。「ライバルが増えた」みたいな(笑)。楽曲を作る上でも最初から「それぞれのギターをどんな感じにしようかな?」って考えるようになりました。ソロに関しても「2人で弾きたい」っていうのが増えたので、曲の作り方自体も大きく変わりましたね。あと、ライブでは私が低音でガッツリした感じで弾くのに対して、はなちゃんはもう少し高音域のところにいる印象になっています。

――はなさんはどんどん上達していて、ツインソロとかも増えていますよね?

TOMO-ZO:そうなんですよ。はなちゃん、最初の頃は遠慮していたんですけど、最近は自らソロを入れてくるようになっているので頼もしいです。はなちゃんは強敵ですよ(笑)。

――(笑)。はなさんは今、ギターを回さないですよね? 2018年にTOMO-ZOさんが入院して、はなさんが代わりにギターを弾いた時は回していましたけど。

TOMO-ZO:そうなんですよ。アンジーがステージでギターを弾くようになったらオレオにもショルダーキーボードを弾いてもらって、全員で回したいです(笑)。

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