【インタビュー】cluppo(小鳩ミク)、「自分が楽しんで何かをやることが皆さんの楽しみにも繋がるはず」

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cluppoの新情報はいつも突然届けられる。今回は「With you」と題された新曲が7月7日に登場するというのだ。

2021年のエイプリルフールに突如現れ、以降も8月10日(鳩の日)、3月9日(ミクの日)と、小鳩ミクに所縁のある日付にシングルやEPの発表を重ねてきた彼女だが、今回はそうした洒落とは関係なく七夕の日にリリースが設定されている。

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こうなってくると逆にその日付に深い意味があるんじゃないかと勘繰ってしまいそうにもなるのだが、6月下旬のある日、取材現場に現れた小鳩は「特に意味はないんですっぽ」と笑う。TVアニメ『咲う アルスノトリア すんっ!』のエンディングテーマでもあるというこの楽曲にまつわることを中心としながら、今回もたっぷりと話を聞かせてもらった。

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■新しい引き出しのひとつになったかなって思いますっぽ

──1st EP「hatohull」の発表から4ヵ月。BAND-MAIDの新たな動きもいろいろと伝わってきている中で、cluppoの新曲がこんなにも早く聴けるとは思ってもみませんでした。

cluppo:このタイミングになったのは偶然なんですっぽ。今回の曲はTVアニメのエンディングテーマなんですけど、その作品が7月6日から放送開始に決定したこともあって、結果的に7月7日リリースということになったんですっぽ。だから七夕の日にリリースということ自体に深い意味はないんですっぽ(笑)。とはいえアニメが魔法のお話だったりもするので「願いごとが叶ったらいいな」みたいな部分で重なればいいかなって。そういう意味ではすごくいい発売日になったと思いますっぽ。

──今の発言からも、この「With you」がアニメありきの曲だということがよくわかります。先方からのオファーから生まれたもの、ということになるわけですね?

cluppo:そうですっぽね。最初、「実はcluppoにアニメのタイアップのお話をいただけてるんだけど」というふうに言われた時は驚きましたし、正直、「BAND-MAIDじゃなくてcluppoですか?」って思ったんですっぽ。でもすごく嬉しかったし「是非やりたいです!」ってお答えして。このアニメは『咲う アルスノトリア』という携帯ゲームから派生したものなので、まずはそのゲームをやってみて欲しいと先方から言われて、自分でもそのゲームをやりながら歌詞について考えていったんですっぽ。ゲーム自体がとてもしっかりとしたストーリー性のあるもので、物語の部分にすごく力を入れている作品なんだろうなって思いましたし、きっと面白いアニメになるだろうなって想像しながら制作を進めていきましたっぽ。

──cluppoというか、小鳩さん自身としてもアニメのタイアップというのは念願のひとつだったんでしょうか?

cluppo:もちろんそうですっぽ。でも、そもそも想像してなかったですっぽね。cluppoとしては元々始まりがエイプリルフールだったというのもあるし(笑)、いろんなことができるプロジェクトだとは自分でも考えていましたけど、まさかこんなお話をいただけることになるとは思ってもみなかったので。だからびっくりと嬉しさが同時にありましたっぽね。お話をいただいてから実際にそのゲームを始めてみて、その内容だとか雰囲気、登場人物のキャラクターを知っていくうちに自分でも「確かにこれはBAND-MAIDではなくcluppoだな」と。むしろcluppoでしかできない感じが出せるんじゃないかなと思いましたっぽね。ゲームは結構真剣にやりましたっぽ。しっかりやっていかないとストーリーが進まないし、進めていかないと物語もキャラクターも理解しきれないので。

──ゲーム音痴の人にとっては大変なオファーということになるのかも。

cluppo:確かに(笑)。でも私はゲーム自体が好きでお家でも結構やるほうなんで、何の問題もなかったですっぽ。

──なるほど。ストーリーをつかんでいく中で、この作品自体にはどんなイメージを持ちましたか? 確か、魔法学校が舞台なんですよね?

cluppo:そうですっぽ。魔法学校に通う女の子たちが、立派な魔法使いになるためにお勉強をするというお話で。まずその女の子たち1人ひとりのキャラクターがすごく可愛いなと思いましたし、それぞれのキャラの特性が際立っていてストーリー自体もしっかりとしているので、自分でも楽しめましたっぽ。

──こういったタイアップの時というのは、先方の側から曲調とか歌詞の内容について具体的なリクエストがある場合も多いようですけど、今回の場合はどうでしたか?

cluppo:このお話をいただいた直後に、Zoomで打ち合わせの機会があって、TVアニメ側の方とお話ししましたっぽ。どういう雰囲気でやっていこうと考えているだとか、そういうお話はしっかり伺いましたっぽ。こういう内容にして欲しい、歌い方の雰囲気はこんなふうであって欲しいっていう具体的な要望もいただきましたっぽね。もちろんそこから変わっていった部分もいっぱいあるんですけど、初期段階でそこまで細かく打ち合わせをするっていうケースはBAND-MAIDでも過去にはなかったので、その段階ですでに「わあ、すごく力が入っているアニメなんだな」というのが伝わってきましたっぽ。だけどこちらとしては、そこで萎縮してしまうような感じでは全然なくて、むしろ新鮮に感じましたし、今までとは違う感じになりそうだなっていう期待感も出てきましたっぽね。

──僕は物語の内容を全く知らぬままアニメの可愛らしいキャラクターを先に目にしてしまったので、きっとこの曲自体もポップにハジケる感じのものなんだろうと想像していたんです。それこそ「魔法をかけちゃうぞ」的な。ところが全然そういう曲ではなくて。

cluppo:そうですっぽね。cluppoの今までの曲、それこそ前回のEPにもいろんなタイプの曲がありましたけど、そこから想像すると多分皆さんびっくりしますっぽね。多分、ぱっと聴いただけでは私だってわからない人もいると思いますっぽ。歌い方も全然違うので、自分でもびっくりしてるくらいですっぽ(笑)。今回は今までやったことのない歌い方で録らせてもらったので。レコーディング自体、すごく勉強になりましたし、同時にとても疲れましたっぽ(笑)。

──やったことのないことに挑む時って、確かに消耗が大きいですよね。

cluppo:そうなんですっぽ。制作自体はEP収録楽曲と同じぐらいの時期に進めていたんですけど、この曲でさらにカロリーの高いレコーディングに挑むことになりましたっぽ。


──確かに声自体の聴こえ方もこれまでとだいぶ違いますけど、それはあくまで曲調に応えた結果だったんでしょうか?

cluppo:そういう部分もありましたし、そもそもアニメ側の担当の方とお話をした時に、ちょっと今までにない雰囲気で歌って欲しいというお話があったんですっぽ。具体的な参考例も出てきたので、それに寄せてみたところもありますっぽ。とにかく求められたのが「ちょっと語りっぽい、柔らかい感じの歌い方」ということ。だからもうほぼ息で歌う感じになりましたっぽ。息をいつもの3倍も4倍も吐き出しながら歌うので、そのぶんやっぱり肺活量とかいろんな力を求められるところがあったので。BAND-MAIDの場合はどうしても強く歌うっていう方向になりますし、SAIKIに寄せていく感じになるんですっぽ。ハモを重ねる時なんかは特にそうで、やっていくうちにどんどん強くなっていっちゃうんですっぽ。今回はそれとは逆に「なるべく弱く」というのが求められていたので、そこがすごく難しくて。EPに入っていた「ふわふわ」もかなり力を抜いた感じで歌っていましたけど、キーが高めだったのである程度は張らないと成立しないところがあるんですっぽね。だけどこの曲では、張ることが求められない。いつも一緒に歌録りをしてくださってる方と今回も録ってるんですけど「ミク、ちょっと強いよ!」「はあ、ちょっと待ってくださいっぽ」みたいなやりとりが結構ありましたっぽ。

──力を抜いて弱く歌うことに、むしろカロリーが必要とされる。面白い話ですね。

cluppo:たぶん声を張る場合のほうが消費カロリー的には大きいのかもしれないんですけど、こういうふうに力を抜いた歌い方をしようとするとホントに消耗するんですっぽ。慣れてないことなので、そっちのほうが私には疲れましたっぽね(笑)。

──しかしこの歌い方自体が、新たな武器になるかもしれませんね。

cluppo:そうですっぽね。今回こういうやり方を経験したので、今後またcluppoの曲を作る機会がある時には、ちょっと幅が広がった状態で臨めるんじゃないかなって思いますっぽ。これまでの曲でこういう歌い方をしたら雰囲気が全然変わっちゃいますし。実際問題、この歌い方だとオケの音量をだいぶ下げないと歌が負けちゃうので、ギター主体のバンドサウンドじゃないからこそああいう歌い方ができるっていう部分もあるんですっぽ。自分でも新しい声を見つけたというか、新しい引き出しのひとつになったかなって思いますっぽ。

──いわば、吐息系の歌い方ですよね。

cluppo:確かに。脱力吐息系というか(笑)。

──そこが難しいわけですよね。脱力しつつ安定した歌い方をするというのが。

cluppo:そうなんですっぽ! わかっていただけて嬉しいですっぽ(笑)。

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