【コラム】<フジロック'22>出演アーティストの見どころ〜最終目編〜

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<FUJI ROCK FESTIVAL'22>まであと3週間。待望の「いつものフジロック」に向けて、持ち物を準備したり当日の過ごし方のシミュレーションをして心を躍らせている人も多い。今年は海外アーティストを含むラインナップが実現するため、世界の音楽を一挙に体感できる世界レベルのフェスとしての醍醐味が戻ってくる。多彩な国内アーティストとともに、出演者の情報は入念にリサーチして臨んで欲しいところだ。本稿では、初回前回に続き、最終日である7月31日(日)の出演者を紹介したい。

ヘッドライナーをつとめるホールジーは、フジロック初登場。ザ・チェインスモーカーズ「Closer」やジー・イージーとの「Him & I」、そしてBTS「Boy With Luv」などをきっかけに、少しでも彼女の存在が気になっている人は、アメリカ本国ではアクティビスト、俳優、実業家としても常に注目されるポップ・アイコンのステージをチェックしておいたほうがいい。これまでビョーク、シーア、ロードといった世界的なディーヴァが立ってきたGREEN STAGEに、輝かしい名前がまた刻まれる。


▲ホールジー

このステージの直前に登場するのは、トム・ミッシュだ。スタイリッシュかつ甘美なそのサウンドと歌が、SNS投稿から広まったというのも新世代のアーティストらしい。洗練されたセンスを表現するギターの技術の高さも天才と言われる所以で、大ファンだというジョン・メイヤーを彷彿とさせる。フジロック最終日、夜の闇に包まれた19時から始まるライブの陶酔感は半端ないだろう。さらにこの日は、アクチュアルな世界の音楽シーンをキャッチしたブッキングとして、ジャパニーズ・ブレックファストもGREEN STAGEに登場する。2021年6月にリリースした3rdアルバム『Jubilee』では、第64回グラミー賞で主要4部門を含む2部門にノミネートされた。



日本からも、5月に開催されたヒップホップ・フェス<POP YOURS>で1日目のトリを務めるなどシーンを代表するPUNPEEが登場。ロックなセットで2017年のWHITE STAGEを超満員にさせた光景は語り草になっているが、着実にステップアップした現在の立ち位置を表すようにGREEN STAGE出演をきめた。対して、フジロックならではの豪華なロックン・ロール・ショーを繰り広げる今年の「ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA」は、UA、中納良恵、トータス松本をフィーチャリングに迎える。この日のGREEN STAGEは、go!go!vanillasのロックンロールが口火を切る。



最終日のWHITE STAGEは、時代を象徴する若手が揃った感がある。トリを務めるムラ・マサは、2022年9月に発売される3枚目のアルバム『demon time』にリル・ウージー・ヴァート、スロウタイ、ピンクパンサレス、パ・サリュ、そしてTohjiなども参加しており、すでに2022年の重要作になること間違いなし。20歳で出演した<FUJI ROCK FESTIVAL'16>の深夜のRED MARQUEEも早耳の音楽ファンと盛り上がったので、さらに成長した姿を見せてくれるだろう。スーパーオーガニズムも、デビュー間もない2018年に登場したRED MARQUEEを満員にした。こちらも2ndアルバム『World Wide Pop』のリリースを7月15日に控えており、星野源、CHAI、ピ・ジャ・マ、そしてオロノ(Vo)にとって長年のアイドルだというペイヴメントのスティーヴン・マルクマスも参加した国際色豊かな作品だ。そして日本から、ずっと真夜中でいいのに。も、自身の活動のスケールアップとともに、2019年のRED MARQUEEから今回のWHITE STAGEへと飛躍。4月のさいたまスーパーアリーナ単独2days公演もアーティスティックでこだわりぬいたステージだっただけに、当日の光景が楽しみだ。メンバーにとって夢だったというフジロックに初登場するKroiも観たい。グルーヴィーなミクスチャーサウンドがとても躍れそうなバンド。そんななか、異彩を放つのが鈴木雅之だろう。近年はアニソンでも脚光を浴びており、往年の代表曲とともに沸かせてくれそうだ。






RED MARQUEEには、11年ぶりにモグワイがフジロックに帰ってくる。まったく衰え知らずで、昨年リリースされた最新作もUKチャート1位も記録しているので、会場内で唯一の屋内ステージであるRED MARQUEEは強烈な空間になりそう。台湾のスリーピース・バンド、エレファントジムは、叙情的かつ肉感的なインストゥルメンタル・サウンドで欧米でも名前を広めている。また、ロンドン在住の小袋成彬は現在、約3年半ぶりの日本でのツアー中で、フジロックは実に4年ぶり。邦楽シーンで活躍するマカロニえんぴつ、石崎ひゅーいもRED MARQUEEに登場する。去年のフジロック「ROOKIE A GOGO」を経て今年のフジロック出演権を勝ち取ったトラックメイカー/シンガーソングライターであるYota Moriによるソロプロジェクト、Acidclankは、すでに洗練されたアシッドポップを聴かせる注目株。最終日のRED MARQUEEの熱狂は、朝まで続く。TAKKYU ISHINOを筆頭に、Fake Creators (LITE, DÉ DÉ MOUSE)、そして久々の出演となるFUMIYA TANAKAが、今までやったことがないようなロングDJセット対決を繰り広げるというのだから、3年ぶりに復活した深夜のRED MARQUEEで踊り明かすしかない。







FIELD OF HEAVENには、才気ほとばしる中村佳穂、角野隼斗が登場する。角野隼斗は、“Cateen”(かてぃん)名義で活動するYouTubeチャンネルで、その才能に出会った人も多いだろう、新時代のピアニスト。加えて、七尾旅人、奇妙礼太郎、さらにトリをつとめるハナレグミという素晴らしい歌に次々と浸れるラインナップなので、1日中HEAVENから離れられない人もいるかもしれない。そしてダークホースになりそうなのが、この日のHEAVENで唯一の国外アーティストであるアルトゥン・ギュン。トルコ系の男女ふたりをフロントに据え、バックをオランダ人音楽家が支える最新型アナドル・ロックバンドだ。







この日のGypsy Avalonのアトミック・カフェのテーマは「反戦、平和、ウクライナ」。1984年の<The Atomic Cafe Festival>でパフォーマンスした尾崎豊の子供でミュージシャンの尾崎裕哉がライブパフォーマンスする。また、ロシアによるウクライナ侵攻において原発の問題が取り沙汰されている今、原子力資料情報室のメンバーを招き、戦争と核の問題についてトークも実施。また、Candle JUNEプロデュースによるPYRAMID GARDENは、ツアーバス利用者専用キャンプサイト内のステージながら、優河 with 魔法バンド、SILENT POETSといった通が唸るアクトが用意されており、日本最長のゴンドラ「ドラゴンドラ」で行くフジで最も高いところにあるステージDAY DREAMINGにもBASS&DJのジャムユニット「KenKen&Gaku Endo」が登場する。加えて、アットーホームながら贅沢なライブが楽しめる「苗場食堂」ステージには、Cody・Lee(李)、BREIMEN、小原綾斗とフランチャイズオーナー、NIKO NIKO TAN TANといった国内の若手が続々と出演する。


3年ぶりの「いつものフジロック」が待ち遠しくてたまらないと同時に、今回の総勢162組のアーティストが織りなすラインナップは、もちろん2022年のフジロックでしか観られない。一体、どんなドラマや感動や気づきが待っているのだろうか、ぜひ現地の苗場で確かめて欲しい。さらに、ライブステージのみならず、さまざまなカルチャーやライフスタイルを提示するフジロックならではのアウトドア・シアター「富士映劇」の上映作品についても、本日発表された。今年は、入場ゲート入ってすぐのフード&ショップエリア「YELLOW CLIFF」を会場とし、7月28日(木)の前夜祭に「ひまわり HDレストア版」、7月29日(金)に「ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち」、「アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン」、7月30日(土)に「男はつらいよ 寅次郎の青春」(シリーズ第45作)、「ダイナソーJr./フリークシーン」、7月31日(日)に「音楽」、「オアシス:ネブワース1996」を楽しむことができる。

文:堺 涼子


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