【インタビュー】The choppers revolution、鳴瀬喜博×IKUO×村田隆行からなる豪華ベースユニットの10周年記念アルバム完成「ファンク!ファンク!ファンク!」

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■チョパレボのアルバムに収録するムード歌謡
■となったらハンパなものは絶対に作りたくない

──IKUOさんは「チョパレボ・ショッピング Part3」と「So Bad」を作曲されました。

IKUO:「チョパレボ・ショッピング」は1stアルバム収録の“Part1”、2ndアルバム収録の“Part2”に続く第三弾、“Part3”です。3人の共通認識として、3rdアルバムにも必ず「チョパレボ・ショッピング」を収録しようというのがあったんです。

鳴瀬:しかし、よくネタがあるよな。

IKUO:いや、毎回テンポが同じだし、作り方も簡単なんですよ、「チョパレボ・ショッピング」は(笑)。バッキングのコードを作って、メロディを作る。その後に3つに切って3人に振り分けるんですけど、バッキングとメロディーなので、3つに分けると、ひとつ空になるじゃないですか。そこにメロディーのハモリを入れるんです。だから、まず曲を作って3つのベースパートにアレンジして、セクションによってそれぞれの役割が変わるというセオリーは、“Part1”も“Part2”も“Part3”も一緒なんです。

村田:手を抜いているわけじゃないですよね(笑)?

IKUO:いやいや、そうじゃない(笑)。そういうセオリーに沿って、初めて「チョパレボ・ショッピング」だから。ただ、今回は楽曲のキャラクターを少し変更しました。最初は通販番組のBGMみたいな普通の感じだったけど、成長しまして(笑)。今までどおりホンワカした感じを活かしつつ、イントロは若干マイナー調を採り入れ、7拍子も入れていますから、オトナな仕上がりです(笑)。

鳴瀬:いいなぁ、成長できて(一同笑)。


IKUO:「So Bad」も1stアルバムと2ndアルバムの流れを汲んだ曲で。1stアルバム収録の「Pure Smile」は僕が得意な高速スラップを使っていて、フュージョンではあるけどロック寄りな曲だったんです。さらに2ndアルバム収録の「HHB」は……。

鳴瀬:「HHB」ってなんの略だったっけ?

IKUO:“速く 弾く ベース”です。

鳴瀬:それ頭、悪すぎるだろう(笑)!

IKUO:あはは!

村田:鳴瀬さんはいつもライブで、“変態でエッチなベース”と紹介してます(笑)。

IKUO:今回もそういうタイプの曲がほしいと思って作ったのが「So Bad」です。つまり、「チョパレボ・ショッピング」も「So Bad」も10年の歴史を踏襲した曲で、その伝統を貫かないといけないという義務感が僕の中にある。そういうことをやっているのは僕だけなんですが(笑)。ただ、「ファンクだ!ディスコだ!」と言ってるとチョパレボの本質を見失いそうで危険だなと思います(笑)。

村田:いやいやいやっ(笑)!

IKUO:あはは。個人的にはYouTubeとかTwitterでテクニック自慢の若い子達の動画を見るのが好きなんですよ。「So Bad」はそういう子達にも聴いてもらいたいですね。



▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA

村田:今回のアルバムにはもうひとつ重要な曲があって、それが「Cat's Power 〜Pileup Effect〜」です。

──全ドラマー必聴の曲ですね。

村田:そうなんです。今回レコーディングに参加してもらった坂東慧(Dr/T-SQUARE)君と川口千里(Dr)ちゃんは、ふたりとも菅沼孝三さんのお弟子さんで。コロナ禍の中で僕らが大阪遠征したとき、“ツインドラムとトリプルベースでやろう”という企画が持ち上がって、ふたりにお願いしたんです。それがとにかく凄まじかった。

IKUO:すごかったね。

村田:それもあって、「今回のアルバムにどうにかふたりのドラムを入れたい」ってなったんですよね。「Cat's Power 〜Pileup Effect〜」は大枠を僕が作ったんですけど、真ん中のアンサンブルとかドラム部分は全て坂東君が一緒に作ってくれました。この曲には裏話もあって、1年前くらいから坂東君と曲の話をしていたんですけど、その間に菅沼さんが亡くなられたんです。坂東君はもともと、ステージですごいプレイをしても無表情で飄々とした感じなんですね。だけど、チョパレボの2回目のツインドラムのライブときに、坂東君も千里ちゃんも前回よりも凄まじいプレイだったんです。で、ライブ後に「感動しました」とメールしたら、「実は感極まって涙が込み上げてくる瞬間があったんです」という返事を坂東君がくれまして。そういった思いも込められているのが「Cat's Power 〜Pileup Effect〜」です。ふたりのえげつないドラムアンサンブルを聴いてほしいですね。



▲<チョパレボ 10th Anniversary 3rd Album Release Tour 2022>8.18@Billboard Live OSAKA

──『FAN×K』はベーシスト以外のリスナーも楽しめますし、より幅広い層へアピールすることができます。という意味でもその最たる例は、アルバムラストの「追いかけて関東」、これに尽きますかね。

鳴瀬:メインがきたぞ!メインが(笑)!

IKUO:メインって(笑)。

──本格的なムード歌謡で、かなりビックリしました。

村田:ですよね(笑)。

──ちなみに、グループ名と作詞作曲者名が、上岡まこと&ザ・チョッパーアイレスというクレジットなんですが、そもそもどういう経緯で生まれた曲でしょうか。

村田:まず、今回のアルバムは“ファンク”というテーマのもと、基本的にはアメリカのファンクをやっているわけですけど。やっぱり自分達は日本人であり、日本人にとってファンクに相当するソウルミュージックこそ、演歌やムード歌謡だと思うんです。さらに言えば、ベーシストにチョッパー奏法が認知され始めた当時、演歌のバックでもンベッ!っていうチョッパーフレーズが入ってきたりしていたんです。であれば、今回のアルバムの最後はその方向で締めたいなと。あと、チョパレボには演歌とかムード歌謡との馴染み深さがもうひとつあって。チョパレボ始動当時、ナルチョ師匠がお気に入りだった五木ひろしさんの「夜明けのブルース 」をライブ後にいつも流していたんです、なぜか(笑)。

鳴瀬:すごく気に入っちゃった曲でさ。スタッフにCDを買ってきてもらって、ライブ終演後のSEとして必ず大音量で流して、みんなで“♪ここは松山〜”って合唱するという(笑)。そういう曲をTakaは自分で作ろうと思ったんだよな?

村田:そうです。っていうのも、コロナで結構配信ライブをやるようになったんですけど、既存曲を配信で流すには著作権上の問題があったりするじゃないですか。「だったら、オリジナルを作ればいいか」ということで、曲を僕が作り、歌詞は僕とMzes Recordsの社長とふたりで書きました。

──ということは作詞作曲クレジットとグループ名の上岡まことさんとは?

村田:僕です(笑)。

──ですよね(笑)。シャレで作った曲かもしれませんが、ボーカルも含めて完成度がむちゃくちゃ高くないですか?

IKUO:そうなんですよ。やっぱりチョパレボのアルバムに収録する、しかもムード歌謡、となったらハンパなものは絶対に作りたくなかったので。



──鳴瀬さんとIKUOさんは、この曲についてはどう思っていたんですか?

鳴瀬:もともと、五木ひろしの曲をライブ終わりに流すことの発案者は俺だから、Takaから話を聞いておもしろいと思ったし、「追いかけて関東」は純粋にいい曲だよね。こういう曲がアルバムに入っていても全然いい。

IKUO:正直なところ僕は最初、アルバム収録には反対したんですよ。“チョパレボでやらなくてよくない? I.T.Rでやればいいじゃん”という感覚だったんです。だけど、村田君が本気そうだったし、出来上がった曲を聴いてノックアウトされました(笑)。これは本格的だなと。

鳴瀬:“本気でHONKY”だよな(笑)。

IKUO:そう、“ほんきー”(笑)。

村田:いい言葉だなぁ(笑)。ただ、この曲も基本はファンクのベースラインなんですよ。まず、鳴瀬師匠に8弦ベースで弾いてもらった“ンベッ ドゥッ ドゥーン”というフレーズが真っ先に浮かんだんですけど、「これ、弾きやすいキーでいいな!」と師匠にも言ってもらえて嬉しかったです(笑)。

鳴瀬:F#だっけ? 弾きやすいよな。

村田:それにIKUOさんは以前、「チョパレボでは全然ボトムを弾かないんだよね、俺」とグチっていたので(笑)、今回はアルバム全体を通してIKUOさんにボトムを弾いてほしいと思っていたんです。「追いかけて関東」も1番でIKUOさんと鳴瀬師匠のユニゾン、2番ではIKUOさんならではのエッセンスを入れてもらいました。結果、なんともいえないエグさが出ましたね(笑)。

IKUO:ベースラインはレベル42のマーク・キングっぽさをミックスしてやろうと。ずっとダブルプルで弾いていますからね(笑)。

村田:僕に出せないアイデアですよね。そういうのがうれしいんです。

──「追いかけて関東」はミュージックビデオも公開となりましたが、これがおもしろい。

村田:話題どころしかないミュージックビデオなので、ぜひ観てほしいですね(笑)。

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