【インタビュー】Anivel「2023年も止まっていられないですね。止まったら負け。常に上を目指していたい」

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俳優としても活躍する澁木稜。彼の音楽プロジェクトAnivelが、2022年に快進撃を見せた。バンドマンとして活動していた彼は、バンド解散以降の2019年3月に俳優としてのキャリアをスタートさせ、同年秋にAnivelを発足。しばらくは役者業に力を入れながら、2022年8月にAnivelとして初のデジタルシングル「フィナーレ」をリリースした。11月には6曲入り1stミニアルバム『Humanite』を発表。同作はバンド時代の楽曲や、これまでライブで人気の高かった楽曲、書き下ろしの新曲を収録し、キャリアのハイライト的な内容に仕上がった。Anivelとして2022年の下半期を駆け抜けた彼は、今どんな未来を見据えているのだろうか。じっくりと話を聞いた。

■“これまでの人生”や“その時その時の澁木稜の人間性”
■そういう意味を込めて『Humanite』というタイトルにしました


――澁木さんは俳優として知られていますが、もともとはバンドマンなんですよね。バンドではMASH A&R主催オーディション出演経験もあって。

Anivel:そうなんです。最終選考まで残ったんですけど、グランプリ該当者なしだったんですよ。(※2017年開催の<MASH FIGHT! Vol.6 FINAL MATCH>)

――ああ、あの年だったんですね。

Anivel:19歳でデビューして、二十歳から真剣にプロを目指して活動していたんです。<MASH FIGHT!>はバンドにとって最後のチャンスだと思っていたので、メンバー全員必死に立ち向かっていったんですけど、“該当者なし”という誰かに負けたわけでもない宙ぶらりんの状況で、とにかく悔しくて仕方がなかったです。そこでメンバー全員意気消沈してしまって、バンドもそのオーディションからちょっとしてから解散して。僕も無になってしまったんです。

――バンドは2018年3月に解散。同年秋にはソロでステージに立っていて、2019年3月から舞台のお仕事を始めたとのことですが、この1年間は澁木さんにとってかなり変化の多い年だったのではないでしょうか。

Anivel:中2の時のクリスマスに初めてUVERworldのライブに行って感銘を受けて、それからすぐにギターと作詞作曲を始めて……ほんとバンドとともに過ごしてきたんです。だから解散から半年ぐらい全然やる気が出なくてまったく活動してなくて。それがやっと落ち着いてきてライブをするようになりました。でもサポートメンバーだからスケジュールを組むのが大変で、どうもこうもうまくいかなくて苦労していた時期に俳優のお仕事が決まったんです。

――それにはどんなきっかけがあったんですか?

Anivel:前に所属していた事務所が芸能系に強かったんですよね。前々から“役者をやってみないか”とは言われていたんですけど、音楽を重点的にやりたかったので断っていたんです。でも事務所から“事務所の小さい舞台でもいいから、ステージに立ったほうがいいんじゃない?”と言っていただいて、出させてもらったらすごく楽しかったんです。


――それが2019年3月に出演した舞台でしょうか。

Anivel:そうです。とはいえ音楽を主軸に動いていきたかったから、役者を継続するつもりはなくて。でもその後、急に役者のオファーが来たんです。音楽活動もくすぶっていたというか……もう芸能に関わる仕事は諦めようかなと思ったりもしていて。だからこれを断ったらずっとこのまま環境も変わらないだろうな、これも何かの縁だろうと思ってその仕事を受けたんです。そしたら結構大きな舞台だったんですよね。

――2019年8月のミュージカル<『スタミュ』-3rdシーズン->の出演が決定。以降様々な舞台に出演なさっています。

Anivel:ほんと偶然、オファーいただいた作品とキャラクターがすごく自分にマッチしていたので、運が良かったんだと思います。最初は初めてだらけの舞台の現場にアタフタしていたんですけど、経験のなかで知識が増えるに連れてすごく楽しくなってくるし、その経験や知識が音楽やライブに生きてくるなと実感していったんですよね。特に作詞に大きな影響を及ぼしていて。

――そうですか、作詞に影響が。

Anivel:やっぱり役者の仕事は脚本を読んだり台詞を話したり、言葉と向き合う瞬間が多いんです。演技とはいえ人と対面で話をするので、相手の感情の機微を察知しないとせりふ回しがうまくいかなかったりもするし、セリフのやり取りの中で生まれる言葉や行間に敏感になりました。あとは活動の幅が広がったことによっていろいろな知り合いができて、様々な知見を得られて、楽曲にも僕の成長が表れるようになったと思っています。

――Anivelは2019年9月に始動し、その翌月には初ライブを開催。11月にソロプロジェクトになりました。

Anivel:ミュージカル<『スタミュ』-3rdシーズン->を終えてから、やっぱり音楽活動がやりたいなと思ったんです。最初はギタリストと2人組で活動していたんですけど、急遽その人がユニットを継続できなくなってしまって。でも動き出したばかりだし、自分で決めた思い入れのある名前をなくすのももったいないし、屋号があったほうがチームとしても動きやすいし、グッズのデザインを考えるうえでもラクかなって(笑)。俳優活動と名義が分けられるとふたつの違う色が出せるので、Anivelという名前は残して良かったです。

――それから俳優活動の合間を縫ってライブ活動や、Eggsに音源をアップなさっていましたが、2022年8月から音楽活動を本格化させるということですね。なぜこのタイミングだったのでしょう?

Anivel:今の事務所に入って俳優活動と音楽活動をバランスよく両立できる環境が整ったので、音楽ができるという強みを活かすためにも頑張りたいと思ったんです。それで俳優仕事が落ち着いた夏から、スタッフさんの協力のもと一気に制作に取り掛かりました。だから2022年の下半期はひたすら音楽漬けの毎日でした。充実しすぎて、8月以降はあまり記憶がないくらい(笑)。

――第1弾リリースの「フィナーレ」は、2018年10月にEggsへ投稿している楽曲ですよね。

Anivel:そうです。ちょうどそれくらいの頃に書いた曲ですね。先ほど話したとおり、その頃は今後どうしていくのかもやもやしていたし、それに加えて僕の祖母が元気とはいえ90歳を過ぎていたり、有名人やアーティストの方の訃報も多い時期だったので、自分の中で死生観に感化されていた時期でもあって。それらを全部詰め込んだ曲です。

――確かに。強い思いが伝わってくる楽曲です。

Anivel:生きているといろいろあるけど、人生が終わるときに嫌なこともひっくるめて“いい人生だったな”と思えるよう、全力で生きていきたいと思ってこのタイトルをつけました。「フィナーレ」に込めた気持ちは今でも大切にしていて、それが聴いてくれる人に伝わっている実感もあります。デジタルリリースするにあたってアレンジを変えてブラッシュアップして、今だからこそ出せる「フィナーレ」になりました。



――「フィナーレ」のMVはオールセルフプロデュースだそうですね。

Anivel:そうなんですよ。ほんと大変でした(笑)。ものづくりが好きなのと、自分のなかにイメージがあったので絵コンテから自分で描いていって。小さい頃からものづくりが好きで好奇心旺盛というか、知らないのが嫌でなんでもやってみたくなっちゃうんです。いろいろなことできた方がいろんな人と話せるし楽しい。その蓄積がやっとこの年齢になって発揮されるようになってきたというか……たくさん作ってきた点が揃って線になってきた感触はあるんですよね。


――1stミニアルバム『Humanite』も、澁木さんのこれまでの人生の点と点がつながる、ハイライト的内容なのではないかと思いました。「Naked dance」も「フィナーレ」と同時期にライブで披露している楽曲で、「夏の夜空」はバンド時代の楽曲ですし。

Anivel:これまでの自分が作ってきた楽曲と、いろんな経験を得た最近の自分が作った楽曲を収録しているので、“自分のこれまでの人生”や“その時その時の澁木稜の人間性”という意味でも『Humanite』というタイトルにしたんです。自分の信念が詰まった、この先も歌い続けたい曲ばかりですね。「夏の夜空」はバンドの解散間際に作った曲だったので、ちゃんと届けるための手筈を踏めなかったという気持ちがあって。だからこの曲を知ってほしくてアレンジを少し変えて今回デジタルリリースしました。「夏の夜空」のデジタルシングルのジャケットは女の子の横顔なんですけど、これはバンド時代のジャケットとリンクしてるんです。

――本当だ。バンド時代の『夏の夜空』のジャケットは女の子が横を向いて立っていて、Anivelとしてリリースしたときのジャケットはその女の子の顔がアップになっている。

Anive:成長した姿や、自分自身も含めて時が経ったイメージで描いたジャケットなんですよね。わかる人にはわかるエッセンスを入れてみました。「夏の夜空」はあの当時流行っていたロックのテイストとは違う曲だったけど、今の時代に合ったロックになったのかなという気もしています。歌い続けるのは大事だなと、最近すごく思いますね。

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