【ライブレポート】WATWING「もっともっとでかい存在になって、みんなを抱きしめるので、ついてきてください」

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2019年6月に結成された6人組ダンス&ボーカルグループ・WATWINGが、<WATWING TOUR 2022>ファイナルとして、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でライブを行った。2023年1月5日の開催なのに、なぜツアータイトルには“2022”とあるのか。そのわけには、彼らの8か月にわたる闘いの物語が隠れているのだが、その話は追って説明しようと思う。

大阪・東京公演共にソールドアウトとなり、この日もWindy(WATWINGファンの愛称)たちが会場に長い列をなしていた。以前の取材で、メンバーの八村倫太郎は、「Zeppは僕らにとって高い壁」と言っていたが、“完売”の文字は彼らがその壁を飛び越えた証だ。

開演を待ちわびるWindyの期待で膨らむ場内に、重低音のビートが轟き始めると、紗幕へ雄々しく立つ6人のシルエットが映し出された。さあ、ライブのはじまりだ。



パワフルでありながら、内に秘めた闘志も感じられる厳かさも備えた6人のパフォーマンスと歌唱に心励まされる「Runway」で幕を開けた本公演。続く、HIP HOPテイストの自己紹介ソング「WATW “ing”」で笑顔を浮かべてがらりと表情を変え、さらに軽やかなビートが心地よい「HELLO WORLD」では、八村が「ハッピー・ニューイヤー!」とWindyたちへ爽やかな挨拶を投げかけた。近寄りがたさすら漂う凛とした佇まいから徐々に距離を近づけると、4曲目「Honey, You!」では“絶対僕に愛されちゃう運命”と歌いかける。多彩な表情を見せる6人に、ハートをぎゅっとつかまれるオープニングとなった。












4曲をノンストップで披露した6人は「あけましておめでとうございます!」と声をそろえて挨拶し、最初のMCへ。髙橋颯は屈託のない笑顔を見せながら「直接会えてうれしい」と喜び、桑山隆太は「最高の思い出を作りましょう」と語りかけた。古幡亮は「僕のダンスで落としに行きます」とダンス勇者らしいメッセージを送った。すると、いつもはしっかり者の八村が「…あぁ、(言うべきこと)ふっとんだ!」と慌てる一幕も。こうしたハプニングもライブならではの楽しみだ。福澤希空は、「昨日の大阪公演以上に、(ウサギのように)ぴょんぴょんしたい」と独自ワールド全開のメッセージでファンを喜ばせた後、そんな不思議な空気にも動じない元気印の鈴木曉は、ゆっくり過ごすお正月明けのタイミングということで「みんなでいっぱい動いて5kg痩せましょう!」と、負けず劣らず独特の表現でライブを全力で楽しむことを誓った。



「まだまだ盛り上がっていこう!」と八村が号令をかけ、次なるセクションへ。福澤の甘い歌声や桑山の伸びやかなトーン、情感豊かに歌い上げる八村など6人のボーカリストとしての魅力が伝わる3曲を、またまたノンストップでパフォーマンスして魅せた。2度目のMCでは、新年らしいエピソードがテーマになり、古幡が先陣を切った。「普通に話しても面白くないので、俳句にしました!」と、ここまではよかったのだが…。「迷っちゃう 磯辺おもちと きなこもち」というユニークな一句を自信満々に詠むと、それを聞いた福澤は「“磯辺おもち”ってなんですか?」と、斜め上方向からの質問で切り込み笑いを誘った。

みんなで笑い合った後、八村は引き締まった表情になり、2023年1月に<WATWING TOUR 2022>を開催したわけを語り始めた。本当なら2022年4月に開催予定だったがコロナ禍などで延期になり、「再び開催できるかすごく不安でした。成功できるか分からなかった」と、率直な気持ちを吐露した。しかしながら、6人のツアーへの思いは強かった。そのために動き出したのが「THE ROAD TO Zepp」というプロジェクトだった。

次のセクションでは、Zepp公演の成功に向けたプロジェクトから生まれた宝物のようなナンバーでライブを彩った。「Windyと一緒に満員で迎えられたことが本当に嬉しい」と笑顔になった八村が、「だから、この空間をゴージャスにしたい」と歌いはじめたのは、八村と鈴木が自ら手掛けた新曲「Gorgeous」だった。鈴木の持ち味であるハイトーンの美しさと、八村の魅力である落ち着いた低音が見事に響き合うこの曲は、ボーカリストとしての魅力を互いによく知るからこそ生み出せたのかもしれない。



歌で魂を揺さぶった後は、古幡と福澤がそろいのハットとソフトジャケットというスタイリッシュな衣装を翻し、切れ味のよいダンスで魅了した。メンバーによるユニット曲のラストは、髙橋と桑山による「今を咲く花」だ。スポットライトに浮かび上がった桑山がキーボードを弾き始めると、髙橋がそれに合わせて歌い始めたではないか。表情豊かに楽曲の世界を描きだす歌唱と堂々とした演奏に、大きな拍手が贈られたのは言うまでもない。全員がメインボーカルであり、メインダンサーであるばかりか、コレオグラフや楽器演奏、作曲までもこなせるWATWING。才能=タレントという本来の意味でのタレント集団であることを、改めて見せつけられた気がした。









「Shooting Star」からは、粋な白いスーツに身を包んでパフォーマンス。デビュー曲「Only One Life」の、“茨の道じゃなきゃ足りない”“回り道も悪くないさ”と歌う6人の硬い意志にも多くの人が励まされたことだろう。「残すところあと少し。皆をオトしにいくから!」とWindyたちをロックオンし、新曲「The Practice of Love」から怒涛の終盤へ。パワフルな「BREAK OUT」で「みんな、一緒に踊ろう」と叫び、続く多幸感溢れる「SHELLY」では6人のエネルギッシュなパフォーマンスに客席も大きくペンライトを揺らして応えていた。



「ラストの曲です。翼を広げて飛びましょう!」と呼びかけてスタートした「WINGS」は、SALU×SUNNY BOYというヒットメーカーがWATWINGに贈った、仲間との大切な時間をテーマにしたナンバー。「全員で思い出を作りたい。みんなでジャンプしましょう!」と、会場が一体となってジャンプしたのと同時に、キャノン砲が打ち上げられライブは最高潮に達した。“ここにいるだけで最高なんだ”という歌詞を、誰もが噛みしめた瞬間だったに違いない。



アンコールでは、オリジナルアパレルブランド「WAIT A MINUTE」2nd collectionのパーカーやスウェットといったカジュアルなスタイルで登場。6人の表情からは、ライブ本編を走り切った安堵も見てとれた。そんな開放感に背中を押されるように歌い出した新曲「Waves」では、「何も考えずに騒ぎたい!」と無邪気にはしゃぐように見えた6人。ハイスピードなアゲアゲのパーティーチューンで、会場の熱気は再び沸点へと達した。

「2023年はめちゃめちゃライブをしまくる」と明言した後、「今を応援する曲をラストに持ってきました」とパフォーマンスをはじめたのは「ING」だった。オーガニックでチルな雰囲気を携えたサウンドに乗せ、止まらずに前に行くと歌うメッセージは、6人の想いそのものなのだろう。

最後のMCでは、それぞれが感じていることをまっすぐに伝えていた。リーダーの古幡は「最高な人たちばかりに囲まれている」と年長者らしく全ての人への感謝を述べた。続く鈴木は、「Windyの存在が本当に大きい」と語り始めたが、思いが溢れて涙を浮かべる場面も。それほど、このツアー完遂は彼らにとって大きな出来事だったのだ。一方、桑山は「まだまだ足りない。皆にもっとすごい景色を見せたい」と未来を見据え、髙橋は「みんなに恩返しがしたいけど、どうしたらいい?」と愛嬌たっぷりに謝意を伝えた。福澤は、「ぴょんぴょん飛んでいこうぜ」とチャーミングに呼びかけ、八村がきっちり締める…はずだった。「埋められるか分からなかったZepp。不安だったZepp」と話し始めた八村は、それまでのことが想い出されたのか、涙で言葉に詰まってしまった。それでも気丈に再び語りはじめ、「それも今日でお別れです。Zeppはゴールではなく、スタートだと思っている。もっともっとでかい存在になって、みんなを抱きしめるので、ついてきてください」と結んだ。最後、手をつなぎカーテンコールに応えた6人の姿は、実に晴れやかで輝かしいものだった。



MCで「ライブをしまくる」と宣言した通り、2月には<HELLO! SMILE PARADISE 2023 SPRING>と銘打って、ソロアーティスト・NOA、10人組ボーイズグループ・BUDDiiSとの2マンライブ開催が決まった。これは、八村が出演したドラマ「君の花になる」での共演がきっかけで実現したもの。こんなふうに、WATWINGは切磋琢磨しながら自然派生的に仲間を増やしていくのだろう。8か月遅れの<WATWING TOUR 2022>は、そんな力強い未来が感じられる、熱気に溢れていた。歯を食いしばりながら支え合ってきた6人の結束力と、個々が持つ煌めく個性に磨きをかけ、WATWINGはさらに高く飛翔する! Zepp DiverCityで彼らが魅せたショウは、そんな予感を大いに胸に抱かせてくれたのだった。

文:橘川有子
撮影:木村篤史

  ◆  ◆  ◆

■セットリスト

M1.Runway
M2.WATW “ing”
M3.HELLO WORLD
M4.Honey,You!
M5.With you
M6.Turn it up
M7.Sensation
M8.Gorgeous/ASAHI&RINTARO ※新曲
M9.Dance Performance/RYO&NOA ※新曲
M10.feel like...this/RYO&NOA&FU&ASAHI ※新曲
M11.今を咲く花/FU&RYUTA ※新曲
M12.Shooting Star
M13.Only One Life
M14.The Practice of Love ※新曲
M15.BREAK OUT
M16.SHELLY
M17.WAIT A MINUTE!
M18.WINGS

En1.Waves ※新曲
En2.Spark!!
En3.ING

WATWING 2nd Single「The Practice of Love」

2023年1月11日リリース
<CD収録曲>
「The Practice of Love」、「WINGS」、「Waves」 全3曲収録
●初回生産限定盤A(CD+DVD)
DVD内容:WATWING 「The Practice of Love」Recording Documentary
TFCC-89745~89746
●初回生産限定盤B(CD+DVD)
DVD内容:WATWING 「The Practice of Love」Special Interview
TFCC-89747~89748
初回生産限定盤のみ紙ジャケット仕様
●通常盤
CDのみ
TFCC-89749

イベント情報

(第一部)
HELLO! SMILE PARADISE 2023 SPRING 〜WATWING × NOA 〜
日程:2023年2月22日(水)
会場:KT Zepp Yokohama
開場:13:45
開演:14:45

(第二部)
HELLO! SMILE PARADISE 2023 SPRING 〜WATWING × BUDDiiS 〜
日程:2023年2月22日(水)
会場:KT Zepp Yokohama
開場:19:00
開演:20:00
詳しくはオフィシャルHPをご覧ください。


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