【インタビュー第一弾】渋谷すばる、映画『ひみつのなっちゃん。』主題歌を語る「苦手だからこそみんなに伝えたい」

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■ハイライトで流れるわけやから
■めっちゃ重要やん!って思って

──「ないしょダンス」を初めて聴いたとき、『ひみつのなっちゃん。』のために書き下ろされた楽曲だと思えなかったほど、“渋谷すばる”を感じましたからね。すごく胸が痛くなるくらいリアルな“渋谷すばる”でしたから。きっと、そう思った人が多かったと思います。ワードとして出てくる景色も、すごく重なるものがあったと感じたので。

渋谷:そうかもしれないですね。実際の自分の人生との接地面がすごく多かったから、映画のストーリーと自分の人生が、本当に色濃くリンクしたんだと思うんですよね。“縮こまったミラーボールから確かに聞こえたんだ 飛び出して来いよ いつでも待ってるぜ”って、聞こえたんです、僕も。本当に違和感なく、自分の中にすんなり入って来た感覚だったんです。本当に自分のことのように感じるくらい共感出来たというか。実話を元にしてるというのは、曲を作ったときは知らなかったけど、自然とそういうところで共鳴したのかもしれないなって。人ってね、自分の人生なのに、どうしても周りの人の目が気になってしまうと思うんですよ。でもね、実際に飛び出してみたら、意外と一番気にしてるのは自分自身で、周りの人は両手を挙げてみんながみんな受け入れてくれるわけではないけど、そこまで突っ撥ねもしないし、自分が気にしてただけ、みたいな感じだったりするんですよね。

──どうしてもそこの一歩が踏み出せなかったりしますからね。勇気が持てないというか。

渋谷:そう。でもね、ほんの少しだけ勇気を持って、自分の気持ちを大切にして、そこに正直になれたら、その一歩が踏み出せるはずだから。その一歩を踏み出せることが大切なことだから。…って偉そうなこと言ってるけど、自分もめっちゃ苦手なんですよ、そういうの。いろいろと考え過ぎて、いろんなことが気になって、いろんな人のことが気になって、いろんな人の気持ちを考えたら、やっぱり躊躇してしまう。だからどうしても一歩が踏み出せなくなってしまう。でも、やってみたらいいやん!って思う。飛び出すことの大切さというか。自分も苦手だからこそ、みんなに伝えたいんやと思う。自分も、そうやって言ってくれたり、背中を押してくれたり、力になってくれる人がおらへんかったら、自分一人では勇気が持てなかったと思うから。だから俺は、そういう歌を歌ってるのかもしれへんなって思う。今回のいろんな対談とかも、自分一人では出来なかったことやと思う。田中監督とか滝藤賢一さんとかが「是非」って言ってくださって、お話してくださる機会をいただいたことで、自分だけでは見えなかった景色や感情が見えたというか。自分を支えてくれているスタッフもそう。自分は喋ることがほんまに苦手やから、自分から率先してこういう場所には出ないんやけど、いろんなことを必死で考えてくれて、渋谷すばるのためにほんまに頑張って動いてくれてるのを見たら、“あ、俺が頑張らないとあかんやん!”って思わせてくれるというか。自分としても、歌を歌っているのも、曲を書くのも、自分の好きなことではあるけど、やっぱりそれでみんなを幸せにしたいって思っているから。主題歌という形で今回『ひみつのなっちゃん。』に関わらせてもらったことで、監督やこの映画を観てくれた人達が幸せな気持ちになってくれることのお手伝いが出来るなら、こんなに幸せなことはないなって改めて思ったんですよね。監督や滝藤さんが、「ないしょダンス」をすごく気に入ってくれたっていうことを直接ご本人とお話しさせてもらったときに聞けたことで、本当に素敵なことやなって思えたんです。


──田中監督は、歳を取った自分に自信をなくして、ステージに立って踊れなくなってしまったバージンさんの気持ちを、この物語の中でゆっくりと描いていらっしゃって。バージンさんがドラァグクイーンになったキッカケでもあったなっちゃんが亡くなってしまったことで、いろんな人と触れて、バージンさんが何を感じて、最後またドラァグクイーンとしてステージに立って踊れるのか…という、大きな課題をラストに持ってきてましたよね。

渋谷:そう。数日間を描いた物語なのに、本当に大切なことがたくさん詰め込まれているなって感じたというか。ラストで、バージンさんは踊るのか、踊らないのか、すごく気になるところやねんな。俺もめっちゃ気になってん。

──バージンを演じられた滝藤さんご自身も、「そこはすごく気になった」っておっしゃってましたもんね。

渋谷:そう。監督は台本にそこをハッキリと描いていなかったからね。きっと観る人に委ねたかったんだろうなって思う。

──実際にそうだったみたいですね。滝藤さんもずっと気になっていたけど、「ないしょダンス」がエンディングで流れたとき、「あ、これでいいんだ!って思った」っておっしゃっていて。その意味がすごく分かった気がしたんです。

渋谷:うん。なんかね、すごいことやなって思ってん、主題歌って。改めてそう感じた。読後感っていうの? 最後に流れるから、めちゃくちゃ頭に残んねん。ましてやラストで、バージンさんがどういう気持ちになったのか?っていうハイライトシーンで流れるわけやからね。めっちゃ重要やん!って思ってん。だから正直、監督とか滝藤さんに“違うんだよなぁ、こういうんじゃないんだよなぁ”って思われてたらどうしよう!って思ってドキドキしたからね(笑)。

──あははは。滝藤さんは映画が完成してからお聴きになられたそうですね。「「ないしょダンス」を聴いてから演じてたら、もっと違う熱量も入れてたかも」っておっしゃってて、「ないしょダンス」が田中監督にとっても滝藤さんにとっても『ひみつのなっちゃん。』にとっても、とても深く染み込んでいるんだなと感じました。

渋谷:本当に嬉しいことですよね。『ひみつのなっちゃん。』を観て下さったみなさんが、一歩を踏み出す勇気を持ってくれて、楽しかったって思って、元気になってくれたら嬉しいです。ただただ楽しく観れる映画でもあるけど、2回目、3回目って観ると、きっといろいろと感じる部分が変わってくると思うから。本当に優しくてあったかくて、面白い映画だと思います。本当に改めて関われて良かったなって思ってます。


▲(c)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

──渋谷さん、この映画のパンフレットにコメントを書かれてましたよね。全部は書けないですけど、メッセージの最後に、「『ひみつのなっちゃん。』を観て、楽しかったなー、良い一日やったなーってなったら、最高に幸せな出来事やなって思います。って渋谷すばるが言ってた事は、『ないしょ』でお願いします」って、“ひみつ”と“ないしょ”をかけていて、そこは、ラストシーンのとても重要なシーンにもかかっていて。

渋谷:あ、まぁ(笑)。

──説明するなよ!って思ってますよね(笑)。違うんです。そこに対して田中監督が、渋谷さんと対談をした後にTwitterで「渋谷すばるさんと、『ひみつのなっちゃん。』×「ないしょダンス」のお話をしました。それ以外も。ご縁があったら、なんかあったらよろしくお願いいたします」って書かれていらしたんです。“ご縁があったら、なんかあったら”って…。

渋谷:「ないしょダンス」の歌詞やん! 監督、なんかめっちゃ嬉しい!

──クリエイター同士のリスペクトを感じたんです。

渋谷:めちゃくちゃ嬉しいです。本当に。

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