【対談インタビュー】奈緒(アルルカン)× ミヤ(MUCC)、「ライヴが楽しい!ってなれたらそれが一番」

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アルルカンが2023年に10周年を迎えることを記念して、2月11日に恵比寿LIQUIDROOMで<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>を開催する。本ライブには、アルルカンが先輩として尊敬しているMUCCが登場。アルルカンが10周年、MUCCが25周年というタイミングで、対バンライブを行う。

BARKSではこのライブに寄せて、対談を実施。お互いの印象からそれぞれのバンドスタイルなどについて語ってもらった。第一弾の暁(アルルカン)と逹瑯(MUCC)対談に続き、今回はギタリスト同士である奈緒(アルルカン)とミヤ(MUCC)の対談をお届けする。

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■これまでにミヤさんから教わったことが今の自分の軸になってると思います(奈緒)

──このたび、アルルカン主催の<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>にMUCCが出演することとなりましたが、なんでもこのオファーについては主に奈緒さんが話をつなげる役割をされていたそうですね。奈緒さんはこのところ逹瑯さんのソロプロジェクトに参加されていらっしゃいましたし、ミヤさんともかねてから懇意にされていたようですから、そうした縁がこの2マンイベントにも繋がったとも言えそうです。

奈緒:最初、ミヤさんに「どっかのタイミングで一緒にライヴ出来ないですかね?」っていうお話をさせてもらったのは、実を言うとけっこう前のことだったんですよ。一応、その時点でMUCC側からはOKをもらってはいたんですけど、なかなかお互いのスケジュールが合わなかったりして、今回ようやく念願叶った感じなんです。

ミヤ:俺が奈緒から話を聞いたの、最初はコロナ前だった気がする。そうだったよね?

奈緒:はい。おそらく4年くらい前です(笑)。

──まさに満を持しての2マンが<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>なのですね。ちなみに、奈緒さんとミヤさんの関係は単なる先輩と後輩を超えたいわゆる師弟関係に近いものになるような気がするのですけれど、かれこれ5〜6年前あたりからアルルカンの取材の場で音の話になった際、奈緒さんはミヤさんのことをうかがわせるように「お世話になっている先輩からのアドバイスもあって〜」的な発言をされてきている印象があります。奈緒さんのミヤさんに対するリスペクトは、ギタリスト同士であるという部分だけでなく、ともにサウンドクリエイターであるという面でも相当に強いのではありませんか。

奈緒:今、アルルカンの作品に関しては自分でエンジニアリングもやっているんですけど、それを始めるに当たっての基礎知識や音に対するいろいろな考え方、そしてバンドというものに対する向き合い方も含めて、ミヤさんから影響を受けた部分はとても多いです。これまでにミヤさんから教わったことが今の自分の軸になってると思いますし、バンドマンとかクリエイターっていう以上に人として凄く尊敬してる存在ですね。

──確か、2020年2月にシングル「怒り」が出た時の取材で奈緒さんは「今回初めてミックスを自分でした」と発言されていた記憶があるのですけれど、そんな風にあらたな挑戦をすることになった時もミヤさんの存在が大きかったということになりますか。

奈緒:もともとは、エンジニアリングを自分でやりたいとまでは思ってなかったですからね。だけど、ミヤさんが自分でやるようになったという話を聞いて興味を持つようになったっていうのはあります。あと、ちょうどその頃はアルルカンもエンジニアを変えてgirugameshのЯYOさんにやってもらってた時期で、僕としては「ЯYOさんの音にしてもらいたい」と思って頼んだものの、実際にやってみたらЯYOさんからは「俺の音にするというよりかは奈緒くんの出したい音を作っていくレコーディングをこれからやっていこうよ」という意見があって。それをやっていくうちに「奈緒くん、絶対自分でやった方がいいよ」ってЯYOさんに言われたんです。それで、いろんな人にも話を聞きつつミヤさんにも相談したら、ミヤさん自身の経験も踏まえて「もし自分でやるんだったら、こうするといいよ」とか「こういうやり方もあるよ」って教えてもらえたんですね。だから、直接の切っ掛けはそこだったと思います。

──なるほど、そのような流れでしたか。

奈緒:まさか、自分でレコーディング機材を買う日がやって来るとは予想してなかったですね。最近はギター周りの機材よりそっちのほうをたくさん買っちゃってます。

ミヤ:俺より買ってんじゃねーの?っていうか、このあいだなんてすっげー高い機材まで買ってたよね。もはやミュージシャンが買うレベルのモンじゃねーだろ!っていうのを買いやがったんですよ。クルマ買えるくらいの値段のヤツを。だから、俺「それちょっと貸して」って言いました(笑)。

奈緒:あはは(笑)。いや、ミヤさんがエンジニアリングだけじゃなくてマスタリングまでやるようになったっていう話を聞いた時に、ЯYOさんも「いずれは自分でマスタリングまでやれるようになった方がいいよ」って言ってたなということをあらためて思い出したんですよ。それで、俺も「どうせだったらそこまでやるか!」と思い立ち、ひとつその機材を買えばけっこう近いところまで行けるだろうというのがわかってたんで、高い買い物ですけど思い切っちゃいましたね。最悪、(自分たちの音に)合わなかったら買ったのと同額で売れる機材なんで無駄にはならないはずです。

ミヤ:投資だな、投資。

奈緒:もしかしたら、20年後とかには買値より高く売れる可能性もあります(笑)

──ところで。ここからは少し、両者の出会いについてのお話をさせていただけますでしょうか。今思うと、ミヤさんと奈緒さんが最初に会話をされたのは何時のことでした?

ミヤ:初めて対バンしたのは渋公でやった<Over The Edge '14>の時だっけ?あと、その次の年に代々木体育館でやった<Tokyo Chaos 2015>でも一緒だった気がするけど、若手のバンドにアルルカンっていうのがいるっていうんで、まずはバンド名にちょっと引っかかったかな。それで、変わった面白い名前だなぁって思いながらPA席で観てたら、メタルっぽいんだけどなんか歌謡曲要素の強い曲があって、それが凄い耳に残って「好きかも」となったから楽屋でメンバーを探して話した(笑)


──<Over The Edge '14>は<Tokyo Chaos 2015>の楽屋というと、出演バンド数もそれぞれ多かったですし、時間も昼から夜までと長丁場で、なおかつ無礼講な忘年会化していた記憶がありますけれども(笑)。

ミヤ:そうそう。あの頃の大晦日は毎年あのイベントの楽屋でみんなでバーベキューやったり、鍋やったりしてたんでね。そこで奈緒とも話したんですよ。

奈緒:タイバンじゃなかったですけど、アルルカンとDEZERTが渋谷のクアトロで2マン(2016年4月13日開催<ダブルラリアット>)やった時にも楽屋で話をさせてもらったことありましたよね?

ミヤ:あぁ! あったあった!!

奈緒:あれは、うちらが次にZepp Divercityのワンマン(2016年10月開催の<47都道府県 ONEMAN TOUR FINAL-境界線->)を控えてますみたいな時期だったんですよ。その頃くらいからほんとによく気にかけてもらえるようになって、その後にはミヤさんがやってたイベントの<COMMUNE Vol.2>(2016年11月25日と26日にZepp Tokyoにて開催)にも呼んでいただいたんです。MUCCからアルルカンに対して直接「出て」って初めて言ってもらったのは、それでした。

──懐かしい。<COMMUNE Vol.2>はMUCC、Plastic Treeが両日に出演していたほか、アルルカン、DEZERT、NOCTURNAL BLOODLUST、メトロノームが出演したイベントでしたね。

奈緒:あのイベントに呼んでもらえたの、ほんとに嬉しかったんですよ。だから、このあいた年末に武道館であった<V系って知ってる?>のムック Respect Sessionの時、僕はあの時の気持ちをまた思い出そうと思って<COMMUNE Vol.2>の時のグッズのTシャツを着て出たんです。

ミヤ:そういえば着てたねぇ。

──いやはや、奈緒さんの律義さがうかがえる素敵なエピソードです。

奈緒:しかも、あの時って本来であればlynch.も<COMMUNE Vol.2>に出るはずだったじゃないですか。僕、そもそもアルルカンを組むことになった切っ掛けって実はlynch.だったんですね。当時は名前も知らなかったんですけど、たまたま名古屋のライヴハウスで生で観て「こういうバンドやりたい!」って思ったところがアルルカンのスタートだったから、ミヤさんに呼んでもらったイベントでlynch.と同じ土俵に立つライヴが出来るなんて!って感激してたんです。

ミヤ:でも、あの日lynch.はいなかったんだよね。

──急遽やむにやまれぬ事情で出演不能となったものの、開催当日にはlynch.の面々がMUCCのメンバーに現場まで会いに来たと逹瑯さんがMCで言っていましたっけ。

奈緒:あの日、MUCCはアンコールでPlastic Treeの竜太朗さんとアキラさんを呼び込んだセッションをやって、そこではlynch.の「MIRRORS」を演奏してたんですよね。逹瑯さんが「またこういうイベントをウチのリーダーはやってくれると思うから、その時はあらためてlynch.も呼ぼうぜ!」みたいなことを言ってて。それを2階席で観ながら、俺ボロ泣きしちゃったんですよ。なんてあったかい心を持った素晴らしい先輩バンドなんだ!って感動したんです。


──<COMMUNE Vol.2>では、初日にもMUCCのみでlynch.の「MIRRORS」を演奏されていましたからね。両日ともあれは実に感慨深い場面でした。

奈緒:自分の中では、あそこでさらにMUCCに対してのリスペクトがより高まりましたね。こういう大きな包容力を持ったバンドになりたい、っていう憧れが強くなったんですよ。僕にとってのバンドの理想像はMUCCだし、自分でバンドをやればやるほどMUCCの持つ魅力に惹かれていくことになってきてるんです。

ミヤ:そうだったんだ(笑)。まぁでも、俺と奈緒はバンドの中での立ち位置がけっこう近いところあるよね。それは話をしていてよく感じるし、相談に乗るとそのあとはどんどん自分でいろんなことをやってくし。なんか、気が付いたらもうかなり長い付き合いになってたんだなっていうことを今の話を聞いててちょっと思いました。あとそうだ、アルルカンのメンバーだと前に祥平ともSlipknotのコピーバンドで絡んだことあるわ。

──2016年11月28日に新宿ロフトで開催された<MIDNIGHT PARTY ZOO 2016~Ken Birthday Special~>に“スリップノット杉並 from COMMUNE”として出演された時のことでしょうか。

ミヤ:そうそう、ヴォーカルがノクブラの尋、ギターがCazuqui、ドラムはAllenでね。俺からすると、アルルカンもノクブラもDEZERTもAllenも大体そのへんは同世代の後輩たちっていう感覚ではあるけど、とにかくアルルカンに関してはあのラウドやメタルの要素もあるんだけど歌謡曲の雰囲気もある感じの曲が個人的に好きだな、っていうのがまずは第一印象でした。

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