【インタビュー】deadman、リテイクアルバムにバンドの20年と現在地「生きている。生身だっていう感じがあります」

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■気持ちを乗せたいなと思っていたので
■自然に歌っている感じだと思います

──「銀のパラソル」の躍動感は、今のバンド編成でのグルーヴ感がハマる曲ですね。

aie:当時もライヴでやりたかったけど、やりたいことに技量が追いついていなかったというか。スキルの面でも乗りこなせたのが、今なのかな。いい感じにできたと思いますね。

──曲のニュアンスを醸し出している印象的なフレーズはシンセですか? 

aie:いや、ギターなんですよ。ギターでシンセサイザーっぽい音が出せる機材がありまして、それを入れるのが好きなんです。

──1980年代ニューウェーヴの香りがします。

aie:その場で、こんな音があったらいいかなと思いながら弾いていったんですけど、たしかにオケは1980年代とか、当時の安全地帯とかの感じを出せたらいいなと思ってましたね。


▲aie(G)

──眞呼さんのボーカルも、リテイクも新曲も含めて印象が変わったように思います。

眞呼:以前は若かったので、ガサツ感とか訳がわからないどうしようもない気持ちが表れていたと思うんです。年月も重ねてきて今、表現の幅が広がったというか、それができるようになったというのはあると思いますね。気持ちの面でも当時と異なる部分があるので。きれいに歌うとかではなくて、気持ちを乗せたいなと思っていたので、こうやって歌ってもいいなとか。そういう部分で感覚が変わっている状態。だから、自然に歌っているという感じだと思いますね。

──アレンジについては、メンバー4人で練り直したという?

aie:全員揃ってスタジオに入ってですね。特に「lunch box」は、それこそ<V系って知ってる?>のオーガナイザーを務めたSORAくん(DEZERT)から、武道館のステージでやってほしいってリクエストがあったんです。武道館当日の各バンドの持ち時間は短いから「オリジナルは1曲で」と言われていたので、“これがdeadmanです、という1曲は「lunch box」じゃねえんだけどな”と思いながら(笑)。じゃあ、「lunch box」の演奏を受け入れるとして、自分たちがやりたいアレンジにしようというのが始まりだったんですね。もっとアグレッシヴに、若干ラウド感を増してという作り方ですかね。それもスタジオで、ああしようこうしようとやっていって。

眞呼:そのことを私がすっかり忘れていて。武道館リハが前日にあったんですけど、“アレンジしたの、あれなんでしたっけ?”ってなりましたけど(笑)。

aie:まだそのリハの時点では完成してなかったですからね(笑)。でも何をやっても正解っちゃ正解なので。武道館でやって、今のアレンジに固まっていった感じですかね。他の曲は、当時の音源をずっと聴いていた人たちにも違和感はないようにしたかったので、そこも含めて今の自分たちの音で再構築するというか。ただ当時とはメンバーもふたり違うし。いいものができたなと思いますね。

──kazuさんと晁直さんのリズム隊のふたりが、曲にとっていい刺激になっている感覚ですね。晁直さんはラウドシーンでも活動しているので、ならではのアレンジがいい意味で曲をコントロールしているなと。

aie:ドラムアレンジとかに関しても、「好きなことをやってもいいよ」としか言ってないので、お任せでしたね。今回のレコーディングのスケジュールがタイトだったから、僕ら、ドラムレコーディングにも立ち会えていないんです。パソコンとか使って曲を作るバンドではないので、なんなら仮のギターとかもない状態なんですよ。そんな中で晁直がひとりでまず録って、それを送ってもらったんです。晁直は、「もしかしたら、どこかサイズを間違えてるかもしれません」と言ってましたけど、「それはそれで、こっちがそっちに合わせるからいいよ」みたいな。


▲眞呼(Vo)

──この2023年に、オールドスクールなスタイルで。

aie:晁直には悪いことしたなと思ってるんですけどね。でも頑張って録ってくれましたね。

眞呼:私はその日空いていたので、「レコーディングスタジオ、行くよ」って話はしたんですけど、ただ、私が行ったところで別に何も言うこともないしなと。

aie:はははは!

眞呼:なので、直前で「やめておくわ」って、任せちゃいました。

aie:でも晁直さん、間違えることなくできてましたから、すごい。

──任せられているという信頼度もすごいですね。

aie:間違えたら間違えたで、「なんとかするから大丈夫っすよ」っていう感じなんですよ。レコーディングというのは、今の若い子は知らないかもしれないですけど、録ったもん勝ちというのがあって。

──ははは! 録りの順番の話ですね。

aie:大体ドラムを最初に録って、次にベース録ってと進んでいくんですけど、そこでベースのコード進行が違うんじゃないか?と思っても、もう録り終わったんだからしょうがないっていう。そういうことが多かったんですよ。

眞呼:当時はね。

aie:「ベースがコードを間違えているので、音量小さくしてもらっていいですか」とかがミックスのときにあったり(笑)。当時のdeadman、ベースの音が小さいんですよね。


▲リテイク・ニューアルバム『dead reminiscence』

──そんなこともあったんですね(笑)。改めて他の曲についても聞きたいのですが、「family」などもかなり新鮮な仕上がりです。

aie:今までの「family」はシングルの位置にもいないし…激しい曲だけど変な位置にいる曲だなと思っていたんです。だけどこのリズム隊が入ることで、バシッと位置が見えたなというか。アルバムの中でこの曲が好きだったという人がわりと多いと思うんですけど、「family」は本当に良くなったなと思いますね。

──曲が凝縮され、より濃くなった感触がありますね。

aie:これはリズム隊がそうさせてくれたというか。晁直に合ってるのかなと思いますね、晁直にハマったというか。

眞呼:そうですね。

──ドラムビートの感じからセッションで作り上げた感じですか?

aie:そうですね。まずテンポをどれくらいにしようかなとか、そういうところからはじめて。当時より遅くなるのだけはやめようと。で、昔のはわりと適当だったので、全員で集まって、「こんな感じじゃない? じゃあレコーディングしちゃおう」というノリだったので。kazu君からは、そこに対するクエスチョンがありましたね。「ここのアレンジって何が正解なんですか?」とか。そういう細かいところを今回、改めて見直して。当時の若さゆえのミスとかも今回はきれいにしているので、リズム隊の理屈が通ってるというか。だから正解になったのかなとは思いますね。

──当時は当時で、その時のノリが重視されていたんでしょうね。

aie:今も変わらないっちゃ変わらないんですけどね。カッコよけりゃいいじゃんっていう感じで。

眞呼:でも演奏する人が変わると曲も変わりますよね。

aie:うん、変わりますね。

眞呼:晁直さんのそこのシンバル、気持ちいいねっていうのとかありましたし。

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