【インタビュー後編】アメノイロ。、新作『風吹く窓辺が見守る朝に』にメンバー個々の覚醒「限界突破の1枚です」

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■いや、僕らテクい演奏もできますよ
■ミニアルバムをちゃんと聴いて!って


──レコーディングでは、リードギターをサポートギタリストのソーマさんにお願いしていますが、ギターアレンジではどんなやり取りをしました?

寺見:雰囲気の共有を最初にしました。“こんな感じで、動くフレーズにしてほしい”とか“ここはウネウネいってほしい”とか“ここは綺麗に合わせてほしい”とか伝えて。それ以降は自由に作ってもらった感じです。何パターンか作ってきてくれたので、そのいいとこ取りで、曲のイメージに合ったフレーズをどんどん使っていく感じです。さっきもお話しましたが、以前はリードギターまで8割ぐらいは僕が作っていたんですけどね。

──結果的に、聴かせる歌やメロディでありながら、演奏やアンサンブルの面でハードルがだいぶ高くなりましたね。

寺見:はい。それぞれのパートが前に出てくる箇所があると思います。

安田:リードギターがない状態のデモをもらってベースをレコーディングしたんですね。だから、アンサンブルも最終形に固定されてなくて、ベースはけっこう自由にできるかなって。今回はそういう曲が多くて、やっていておもしろかったですね。リードベースじゃないけど、いかようにも膨らませられるし、やりようは何パターンでもあるっていう。


▲寺見幸輝(Vo, G)

寺見:ベースソロもあるしな。“リードギターと勘違いしてる?”ってぐらいの(笑)。

安田:ベースソロっていうほどの尺じゃないけどね(笑)。

──7曲目「回想録」ですよね。

安田:そうです。リードギターが入ると思っていたんですけど、スタジオでアレンジしているときに、“ここにリードギターは入らない”ってことだったんで、好きなように弾いてみたら、“いいね“って感じだったので。だったらお言葉に甘えてって感じでソロを弾いたんですよ。レコーディング前にギリギリで決まったアレンジでもあります。

本多:メンバー各々がやりたいことをやったおかげで、ライブが難しくなるなってのは感じています(笑)。

寺見:アレンジをそれぞれに任せることで、自分の引き出しでフレーズを作ることになるから、ライブもやりやすくなるかなと思っていたんですよ。ところがみんな、それぞれの限界を超えるようなフレーズを考えちゃったんで、限界突破の1枚です。

本多:今までは寺見の作ったデモ音源から、そのまま変えずに叩いていたんです。だけど、今回は自分が展開を考えた曲もあったりするんです。今はアルバムを聴いてくれた方々の感想を、以前よりもっと聞きたくなっています。

寺見:お客さんもだけど、友達のバンドマンにも聴いてもらいたくない? “実は僕ら、こんなこともできました”っていう。


▲安田拓生(B)

──KANA-BOONの谷口 鮪さんにも聴いてもらいたいですね。

寺見:ぜひ聴いていただきたいです(笑)。

安田:僕らの周りのバンドには、けっこうテクいことをやっているバンドも多いんです。それと同じ感じでやっているというわけではないんですけど、今までアメノイロ。の演奏はけっこうシンプルにしていたので、周りから“コイツら、たいして演奏できないんじゃない?”って思われてたかもしれない。ところが、“いや、僕らテクい演奏もできますよ。今回のミニアルバムをちゃんと聴いて!”っていう(笑)。

──要約すると、“ナメんじゃねえぞ”ということでしょうか(笑)?

安田:そんなに尖ってないですけどね(笑)。

──アメノイロ。というバンドに求めれれる歌や心情はこのアルバムにはあります。でも踏み込んで聴いてみると、ここには今のアメノイロ。の振り幅とプレイヤーとしてダイナミクスがしっかり存在している。アルバムタイトルは、どんな思いで付けたんですか?

寺見:「ダイアリー」がリード曲なんですけど、そのラストの歌詞をそのまま抜き取っています。「ダイアリー」を書いたとき、“この文章がこのアルバムに一番近いイメージだし、見せたい景色はこの感じだな”って。だから、『風吹く窓辺が見守る朝に』。ジャケットもそれに近い感じで作ってもらっています。

──発想が詩人ですよね、経済学部だったのに。

寺見:国語は苦手だったんですよ。算数のほうが得意でした…数学じゃなくて算数っていう(笑)。でも詩集は、たまに勉強という意識で読んだりはします。それが役に立っているかどうかは…。でも身近な情景を浮かばせるのが自分は好きなのかな。


▲本多隆志(Dr)

──アメノイロ。に初めて触れる音楽ファンに向けて、どんな言葉を添えてこのアルバムを伝えたいですか?

寺見:だらしない自分とか辛い過去とか全部を肯定できるアルバムなので、タイトルのとおり、朝を迎えることが楽しみに、ラクになればいいなと思っています。ぜひ聴いてほしいです。

──ライブに向けて、アルバムの曲も手を付けていますか?

寺見:4月上旬の現段階ではちょいちょいですね。

本多:今までと違う雰囲気の曲をライブで演奏できるので、そこもすごく楽しみにしています。

寺見:コロナ禍の大変な時期から解放されて、お客さんは騒ぎたいみたいな気持ちがあると思うんですよ。でも僕らは声出しを煽るようなバンドではないので。煽る路線のバンドとの違いをどうつけるか、どこで勝つかってのは、今後の課題だと思っています。起承転結があるところは、どのバンドよりも綺麗に曲を聴かせて、エンディングはビシッとやるというか。どこまでそれで闘っていけるか、考え中です。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎東 純史

■ミニアルバム『風吹く窓辺が見守る朝に』

2023年5月17日(水)リリース
CRRC-1024 / ¥1,980(税込)
1. 愛してた
2. あのね
3. 真昼の空白
4. カーテンコール
5. ダイアリー
6. トレインとレイン
7. 回想録



■<mini album『風吹く窓辺が見守る朝に』Release Tour「日々の陽だまりツアー」>

▼2023年
6月01日(木) 渋谷 Spotify O-Crest
6月02日(金) 大阪 MUSE
6月17日(土) 静岡 UMBER
6月25日(日) 仙台 FLYING SON
6月30日(金) 岡山 CRAZYMAMA 2ndRoom
7月02日(日) 愛知 RAD SEVEN
7月07日(金) 埼玉 Hearts
7月15日(土) 神戸 太陽と虎
7月16日(日) 広島 ALMIGHTY
7月17日(祝) 福岡 Queblick
8月04日(金) 下北沢 Shangri-La



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