【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞SPARK!!SOUND!!SHOW!!、爆音炸裂「何もがまんするな！」

スサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!を迎える観客の大歓声に驚いた俺は序盤から早々に、その認識を改めなければいけなかったのだが、この日、タナカユーキ（Vo, G）が何度か使った言葉を借りるなら、それはまるで“いかづち”に打たれるような体験だった。

◆ライブ写真

そのライブは、音楽は必要ないとされたコロナ禍における理不尽に対する恨みつらみを、タナカユーキがまるで呪詛のように言葉にしたフリースタイルのラップからスタート。そして、「いよいよ本日、＜SATANIC CARNIVAL 2023＞。6月17日をもって、我々スサシもその諸々を解禁、解放したいと思います！」というタナカユーキの宣言とともにバンドはいきなり爆音を炸裂させる。「SCAR」「STEAL!!」とたたみかけたところで、「久々に見たいな。サークルピット！」とタナカユーキがリクエストすると、EVIL STAGEに特大のサークルピットが出現した！



「何もがまんするな！」とタナカユーキが叫ぶ。客席から歓声が上がり、一度始まったモッシュ・ダイブは、もう止まらない。特大のモヒカンと悪役レスラーのような強烈なメイクでライブに臨んだイチロー（Dr, Cho, 169）以外の3人がマイクを掴んだヒップホップ・ナンバー「感電！」では、その3人が客席にダイブする。

そんなやりたい放題のパフォーマンスも含め、彼らのライブのやり方が変わったわけではない。それにも関わらず、筆者がびっくりさせられたのは、この日の彼らには、これまで筆者がスサシの持ち味だと考えていた人を食ったようなところがイチローのいでたちを除いて、これっぽっちもなかったどころか、逆に腹を括った者にしか出せない凄みさえ感じられたからだ。コロナ禍を経たからなのか、会場が幕張メッセであることも含め、いろいろなものが戻ってきた＜SATANIC CARNIVAL＞だからなのか。




ともあれ、ラップ・パートも含むメロディック・パンク・ナンバー「YELLOW」でギター、ベースをかき鳴らすタクマ（Syn, G, Cho）とチヨ（B, Cho）、そしてイチローがドラムを連打する渾身の演奏に気持ちを持っていかれた。

「モッシュ・ダイブでぐちゃぐちゃしているのを見るのもそうなんだけど、誰のことも咎めなくていい空間が気持ちいい。19年の＜SATANIC CARNIVAL＞がフェスにいっぱい出るきっかけになりました。リスペクトがやみません！」（タナカユーキ）


グルーブで聴かせるR&B調のポップ・ナンバー「むずかしいてれぱしい」、ENTHからダト・ダト・カイキ・カイキを迎えたラップ・ロック・ナンバー「あいどんのう feat.ダト」とライブの流れに変化をつけた後半戦は、「ブーン！ブン！ブン！」とバイクのアクセルを吹かすアクションを観客に楽しませた「†黒天使†」でさらに盛り上げる。図太いグルーブに貫かれた、その「†黒天使†」のダイナミックな演奏は、この日の大きな聴きどころだったと言ってもいい。


4人全員がマイクを掴んで、同期で鳴らしたシンセとビートに合わせ、シャウトした「TOKYO MURDER」もカオティックになりすぎないところがよかったのだ。ラストはそこからなだれこむように繋げたハードコア・ナンバー「SKIMMING ME!!」。＜SATANIC CARNIVAL＞に楔を打ち込むようにぶっ放した爆音の演奏に今一度、現在のスサシがオーラのように放つ凄みを感じずにいられなかった。


取材・文◎山口智男
撮影◎瀧本“JON”...行秀


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