【インタビュー】Die(DIR EN GREY)、「“やっぱこれだよね”っていう感じがあった」

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7月からWOWOWでDIR EN GREYの特集が独占放送・配信されることに寄せて、BARKSでは全3回のインタビューを実施した。ラストを飾るのは、Die。

◆ライブ写真

2022年6月にリリースしたアルバム『PHALARIS』を冠したツアー<TOUR22 PHALARIS -Vol.I->、<TOUR23 PHALARIS -Vol.II->を実施し、11月からはその完成形となるであろう<TOUR23 PHALARIS FINAL -The scent of a peaceful death->の開催も予定されているDIR EN GREY。

WOWOWでは7月にメンバーの個別インタビュー、8月は<TOUR23 PHALARIS -Vol.II->Zepp Haneda (TOKYO)公演のライブ映像、9月には撮りおろしインタビュー&ドキュメンタリー特番が予定。<TOUR23 PHALARIS FINAL -The scent of a peaceful death->へ向けてチェックしておきたい内容となっている。

その前に、<TOUR23 PHALARIS -Vol.II->Zepp Haneda (TOKYO)公演を終えたばかりのDieのインタビューをぜひ読んでいただきたい。

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◾️『PHALARIS』はハードルが高い

──DIR EN GREYは2022年に結成25周年を迎え、四半世紀以上のキャリアを重ねてきています。活動していて、長いキャリアゆえの重みなどを感じることもありますか?

Die:あんまりないかな。単純に結成から25年経ったからといって、自分たちがこのバンドシーンの中でもベテランの域にいった気もしていないし。それはなんでかと言ったら、自分たちが10代の頃に影響を受けたバンドの人たちが、今も一線で活動しているというのもあって。その距離感というのは、何年経っても変わらない。

──ずっと憧れであり、追い続ける対象でもあるという?

Die:そう。まだ上の人たちがいるからというのもあって、キャリアゆえの重みを感じてないってのもあるかもしれないですね。

──Dieさんの気持ちはずっとキッズのままというのも大きいんでしょうか?

Die:まあ、そうやね(笑)。逆に、ベテランとか、貫禄が出たなとか、そういう言葉は俺らにはいらないなっていう(笑)。

──重鎮とかも?

Die:そうそう。そんなこと言われるんだったら、ずーっとヘタクソって言われてたほうがええわって(笑)。

写真◎尾形 隆夫

──25年以上も活動していると、オーディエンスの年齢層もそれだけ高くなっていくのが普通ですよね。もちろん結成初期からの熱心なオーディエンスも多いんですけど、若い世代のヤツらもいっぱいいるんです。

Die:そうやね、うん。それはありがたいよね。昔からライブに来ているファンも、俺らと同じように歳を重ねていって。結婚や出産などでライブから離れていく子もいて。でも早い子は、子育ても一段落したのか、またライブに戻って来たりしてね。そういうストーリーがね、ファンレターなどを読んでいて感じられて。しばらく観に来なくなったなと思っていたら、「子育ても落ち着いてきました」とかファンレターで報告してくれるファンもいる(笑)。ああ、そうか、俺らはその間もずっとバンドをやっていたんだなっていうね。

──いい話ですね。その方の人生と並走するバンド=DIR EN GREYであると。

Die:まあ、そういう感じだよね。

──25年間、そのときどきに作ってきた楽曲が、その方にとって人生と共にあるDIR EN GREYの名曲だったりしますから。

Die:この曲を聴くと、あの頃を思い出すとか。結成の頃から20数年間、ずっと追い続けてきてくれている子もいたりするから。そういう子たちのためだけというわけでもないけど、バンドを簡単にストップさせられない。自分の個人的な思いだけで、できないとか、やめるとか、そういう決断はできない。周りが重すぎるというか(笑)。単純に事務所もそうだし、スタッフもそうだし、自分たちが崩れたらどうなるのっていう思いはありますよ。

──キャリアゆえの重さを、そういうことで感じるんですか(苦笑)。

Die:でも、それを俺はいいプレッシャーとして感じながらやっているかな。べつにそれを大変だって感じでもなくて。そうだよな〜、というね。いろんなことを俺らのエネルギーとして感じながらやっているかな。

──話はツアーのことになりますが、『PHALARIS』を作って、2022年6月から<PHALARIS -Vol.I->をスタートさせました。始まる直前に、個人的に抱いていたテーマはありましたか?

Die:自分たちが作ったものをまずプレイするってことで、レコーディング前もバンドで合わせてないわけだから。ツアーが始まる前の1週間やそこらで、ライブバンドが形になるのかって言ったら、それだけでは完成しなくて。やっぱりツアーでライブ本数を重ねていくことで、どんどん曲の深いところまでいけるという感じがあって。<PHALARIS -Vol.II->のときもそうやけど、ラクに弾ける曲がない(笑)。

──それは新作リリース後のツアーでは、毎度のことですよね?

Die:セットリストでちょっと昔の曲が来てくれると、安心してしまうぐらい(笑)。新曲は、曲の構成しかり、全てを集中させて向き合わないと。だからツアーの最初のうちは、初めて披露する新曲にしか自分の意識はいってなかった。まずそこをしっかりしないと、という。

──<PHALARIS -Vol.I->は、オーディエンスは歓声も出すことを禁じられ、ライブ会場もホールが中心でした。コロナ禍前とは違った雰囲気をメンバーたちも感じていたと思うんですが、実際に手応えはいかがでした?

Die:どうだったかな。今の<PHALARIS -Vol.II->のことで頭がいっぱいで、<PHALARIS -Vol.I->はどうなんだか思い出せない。その間にも25周年ツアーの<25th Anniversary TOUR22 FROM DEPRESSION TO ________>もやっているからね。そっちのイメージのほうが強いかな。

──それだけ印象に残っているんですか?

Die:<25th Anniversary TOUR22 FROM DEPRESSION TO ________>は2005〜2006年とか、2000年代の曲が多かった。個人的なプレイスタイルで言うと、あのあたりの曲というのはすごく自由度が高くて、本来であれば、単純に熱くなれる曲だったりするんやけど。でも<PHALARIS -Vol.I->を経ての25周年ツアーで、ちょっと元に戻ってみたら、音数だったり音圧だったりがちょっと物足りなさを感じて(笑)。スピードもそんなに速くなかったりしたから。今のほうが劇的に速くて重い。それが身体に染み付いているからか、当時の疾走感ある曲をライブでやっても、なんか物足りへんなって(笑)。「あれ!? 俺はこういう曲が好きやったのにな」みたいな。それだけ現在のDIR EN GREYの曲や音が、俺には染み付いていて。昔の曲はちょっと違和感があったかもしれない。

──原点ではないにせよ、数年前のDIR EN GREYを噛みしめるようにやっていたように感じていましたけど、そんな感覚ではなかったんですね?

Die:うん、ちょっと自分の中で開きが大きかったかな。自分をあの時代に意図的に持っていかないとダメっていうか。

──でもライブ中に感じていた違和感こそ、自分たちの成長度合でしょうね。

Die:成長なのか、どうなのか。

──10数年前のままでは満足できない自分がいたわけですから。

Die:まあ、そうですね。当時は作曲の制作過程も今とは違っているし。あの当時はバンドでスタジオに入って、みんなで音を出しながら作曲をやっていったから。だから25周年ツアーでやったような曲ができていったし。でも今は、メンバーそれぞれがデスクトップに向かいながら、リモートでやっているから。できないことでもできてしまうというかね。だから曲のスピードも、凄いところまで振り切っちゃっていたりする。それをライブでやろうとするから、かなり大変になるというね。でもそれが染み付いているから、ちょっと余裕があったりすると「あれっ!?」みたいな感覚になったりする(笑)。

──音楽的な変態として、だいぶ一流に成長した感じですかね(笑)。

Die:どうでしょう(笑)。25周年ツアーが終わってから<PHALARIS -Vol.II->が始まるまでに、ちょっと時間があって。どれぐらいかな、3〜4カ月ぐらい?

──100日以上ありましたね。

Die:あったよね。それで『PHALARIS』に戻るとき、「さあ、やろう」って思うまでに時間がけっこうかかった(笑)。またあそこに戻っていくのかっていう……。フレーズを細かくイチから思い出してやらなあかんなっていうと、「……個人練習はまた明日からにしよう」っていう感じだった(笑)。

──意気込みはあっても、大変なのは分かってるからスタートする踏ん切りが付かないという状態ですか?

Die:そう、スタートするのがね。もうちょっと何か後押しがないと行けないってぐらい、『PHALARIS』はハードルが高い。

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