【ライヴレポート】HYDE、ツアー開幕「3年ぶりに借りを返させてもらうぜ!」

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声出し解禁を筆頭に、コロナ禍における数々の規制を撤廃した念願のワンマンライヴツアー<HYDE LIVE 2023>がスタートした。追加公演含む7都市全20公演にわたる全国ツアーであり、レポートするのは初日6月17日のZepp Haneda (TOKYO)公演だ。※ネタバレを含む詳細レポートです。

◆HYDE 画像 / 動画

16:66(17時6分)に向けて、ステージを覆う幕に投影された時刻がカウントアップしていく。2階席のみスマートフォン/タブレットによる撮影が許可されていたため、オーディエンスは一斉にその体勢を取った。ついに16:66を迎えて幕が開くと、どよめきの中で「LET IT OUT」がスタート。HYDEは神輿に担がれフードを纏い玉座に身を沈めているが、それでもカリスマのオーラが隠しようもなく溢れ出している。初のツインギター体制となったサウンドはヘヴィさを増していて、音圧は身体を震わせる凄まじさ。“I‘m gonna rise and set you free”というフレーズは、3年超の苦境を乗り越えて自由を手にした、このツアーを象徴しているように思えた。神輿から降りて、HYDEがこう呼び掛ける。

「この時を待っていたぜ! Are you ready Tokyo?」──HYDE

そして2曲目の「AFTER LIGHT」へ。フードを脱いでも、顔の半分はまだ仮面で覆われたままだ。規制下では聴くことのできなかった観客のコーラスや歓声が響き渡り、まるで欠けていたピースを埋めていくように、曲が本来理想としていたあるべき形を完成させていく。間髪入れずに始まった、6月16日に配信リリースされたばかりの新曲「TAKING THEM DOWN」では、「ジャンプ、ジャンプ!」と扇動。ただ単に盛り上げるだけでも、ラウドな曲で暴れさせるだけでもない。妖艶で柔らかな声色で陶酔させたかと思えば、次の瞬間には拡声器を手に獰猛なラップをまくしたて、多重人格のような歌唱表現そのもので観る者の魂を奪い去っていく。


「この光景、待ってたよ。あ~うれしい! 今日は遠慮なく行かせていただきますからね」とHYDEは予告すると、「3年ぶりに借りを返させてもらうぜ!」とシャウト。気怠く「DEFEAT」を歌い始めながら、じらすようにゆっくりと仮面を外し、ここでようやく顔が露わになると歓喜の悲鳴が響く。狂気的な高笑いを交えながら現実と虚構の間を行き来するように、HYDEならではのエンターテインメント空間を立ち上げていった。

髪を激しく振り乱し、スピーカーによじ登ったり艶めかしく寝そべったりと、始終目まぐるしく動き回りながら熱量高く歌うHYDE。序盤からテンション高く、もしメーターで可視化したなら、エネルギー放出量が最大値を示し続けるようなパフォーマンスを繰り広げる。ラウドなナンバーを畳み掛け、「WHO’S GONNA SAVE US」の不穏なサイレンが完全には消え切らないうちに奏でられたのは、格調高く幻想的なピアノインストゥルメンタル。その調べは最後、宇宙にこだまするような残響を伴いながら「THE ABYSS」のイントロへと繋がっていき、HYDEはマイクスタンドの前に直立、世にも麗しくドラマティックなバラードを歌い始めた。静謐さの中にもどこかメタルのエッセンスを感じさせるギターの刻みやグルーヴィなドラミングが躍動し、HYDEもそれに呼応するように激情を迸らせる。直前まで絶叫し大暴れしていたことが嘘のように、身じろぎせずにステージを見つめるオーディエンス。神秘的な照明演出は、瞬きをするのも惜しいほど美しかった。

熱狂するフロアを見渡しながら、「なんか懐かしいね。“こんなこともあったよね”って感じだよね、すごいね。よくこんなことしてましたね」と、コロナ禍以前のライヴハウスの光景を思い起こしながら、歓声や自身の名を呼ぶファンの声に耳を傾けるHYDE。「すごい、元気いっぱいじゃない? 今日からツアーが始まって、晴れてるし“夏来た!”って感じ。めっちゃ楽しみになってきた」と幸先の良い初日の手応えにうれしそうな様子を見せた。

「2019年の<ANTI FINAL>から3年半、長かった! こんなことが待っていたなんて、想像もしなかった……ウイルスも怖かったけど、人と人がいがみ合うのも怖かった。その時にライヴハウスが感染源みたいなこと言われちゃって。でも俺たちはいっぱいライヴやってきた。それはお前たちが協力してくれて、成功を一つ一つ積み上げて来たから、俺たちはライヴを続けられたんだよな。よくついて来てくれたよ。この場所は俺たちが取り戻したんだぜ!」──HYDE

と叫ぶと、「MAD QUALIA」へ。立ち込めるスモークの中、思い切り髪を振り乱して音に身を委ね、曲の世界観に没入していくHYDE。「Yas、行ってやれ!」とのHYDEからの指令を受けて奏でられたギターソロの後、「3、2、1ではっちゃけるぞ!」とシャウトしたHYDEは自ら客席にダイヴ。客席とステージとが溶け合っていくような、懐かしいカオスがそこには出現していた。ファンによる掛け声が戻って来た「DEVIL SIDE」、ジャンプを何度も求めながら時に囁くように、時に凄むように歌った「INTERPLAY」。緩急のギャップを華麗にコントロールする圧倒的な表現力で歌い終えると、HYDEはステージを去っていった。


間髪入れずシンセのフレーズが鳴り始め、興奮冷めやらぬフロアを一旦置き去りにしたHYDEは1分後、なんと2階のバルコニーに出現。身を乗り出して眼下のファンに「座ったほうがいいと思うよ? Sit down,Tokyo! 3、2、1でジャンプするよ」と語り掛ける。カウントからいよいよ「ANOTHER MOMENT」のバンド演奏が始まると、HYDEは2階席を貫く通路へと突進し、練り歩いて歌唱。なんとフロアに寝そべったまま歌ったのである。至近距離でその姿を目撃したファンはもちろん、1階席のファンも揃って2階を見上げ、会場全体が興奮の渦に呑み込まれていた。

その後、HYDEが速やかにステージへ戻ると、Slipknotのカヴァー曲「DUALITY」を披露。金属バットでドラム缶を強打する凶暴なパフォーマンスで目を奪った。コロナ禍に突入してから生まれた楽曲「6 or 9」では、「みんなとの掛け合いの曲。これまでできなかったけど、今日できんじゃねーの?」と語り掛け、コール&レスポンスの丁寧な指導と練習タイムを楽しんだ後、本番へ。コロナ禍では歓声の代わりのコミュニケーション手段としていたタオル回しも引き続き取り行なったため、客席には壮観な眺めが広がっていく。新たに加わった猛々しいオーディエンスのコーラスに支えられながら、HYDEはどこか呪術的な響きを持つメロディーラインを妖しく歌い、幻惑した。

アルペジオを爪弾き始めたPABLOに近付いたHYDEがゆっくりと歌い始めたのは、中島美嘉への提供曲をセルフカバーした「GLAMOROUS SKY」のメロディー。やがて怒涛のパンクアレンジに豹変していき、爽やかな歌声がラウドなアンサンブルと解け合っていく。「DUALITY」からここまでをピックアップしただけでも、HYDEというアーティストの表現の幅は驚異的に広い、と改めて感じられた。


ツインギター体制となったことでHYDEがギターを持たず、歌唱に専念したVAMPSの「AHEAD」は、この上なくピュアで真っ直ぐな歌声に聴き惚れた。「ほんと、帰って来た感じするよ。やべー、アガるー!」と砕けた口調で人間らしく想いを吐露した後、未発表の新曲「I GOT 666 (仮)」を披露。「けっこうヘヴィな感じに仕上がってしまいました(笑)」と披露する直前にコメントした通り、シャウトやグロウルを多用したHYDE史上屈指のラウドナンバーで、ツアーを引っ張っていく重要な曲になるに違いない。「MIDNIGHT CELEBRATION II」ではバスドラムによじ登って座り込んだり、シンバルを背負って床に激しく叩き付けたりと、常軌を逸したパフォーマンスでハラハラとさせながら絶唱。激しさと荒々しさで度肝を抜くが、歌唱は精緻かつ表現豊かでどこを切り取っても完璧、そのプロフェッショナルさに感服した。初日からこれほどの熱量のライヴを繰り広げるとは、この後ツアーは一体どうなってしまうのか?と末恐ろしくなった。

先ごろ公開したBARKSインタビューで、ツアーの内容について「これまでのエンターテインメント的な部分の総集編というか、僕が“良かった”と思うものは全部入れていきたい」とHYDEは語っていた。その言葉通り、ソロだけでなくVAMPSのライヴを彷彿とさせる演出も盛り込んだ上でヴァージョンアップした、HYDEというアーティストの集大成的なステージを堪能することができた。それは、コロナ禍の規制で“できないこと”を嘆くよりも、“できること”を探し続け、立ち止まることなく活動してきたHYDEだからこそ実現できたエンターテインメントショウであり、芸術表現だった。たとえば、配信ライヴの見せ方を工夫する中で、“登場するのは舞台袖から”という常識を見つめ直したことは、オープニングのヴァリエーションを生み、ライヴをより新鮮で驚きに満ちたものにしている。たとえば二階席で寝そべって歌う大胆な試みは、観客を信頼する覚悟と強さがなければ実現しない。演出もHYDE自身のパフォーマンスもすべて、枠に捉われない自由さに満ちた圧巻のステージだった。この後各地を巡ってライヴを重ね、ファイナルを迎えるころにはどのような進化を遂げているのだろうか? 可能性は無限に広がっている。

取材・文◎大前多恵

■<HYDE LIVE 2023>

▼東京公演
6月17日(土) Zepp Haneda(TOKYO) ※SOLD OUT
6月18日(日) Zepp Haneda(TOKYO) BEAUTY & THE BEAST
6月20日(火) Zepp Haneda(TOKYO) ※SOLD OUT
6月21日(水) Zepp Haneda(TOKYO) ※SOLD OUT
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼神奈川公演
6月24日(土) KT Zepp Yokohama ※SOLD OUT
6月25日(日) KT Zepp Yokohama ※SOLD OUT
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼福岡公演
7月01日(土) Zepp Fukuoka ※SOLD OUT
7月02日(日) Zepp Fukuoka ※SOLD OUT
(問)キョードー西日本 0570-09-2424
▼大阪公演
7月05日(水) Zepp Osaka Bayside
7月06日(木) Zepp Osaka Bayside
7月08日(土) Zepp Osaka Bayside ※SOLD OUT
7月09日(日) Zepp Osaka Bayside
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
▼愛知公演
7月19日(水) Zepp Nagoya
7月20日(木) Zepp Nagoya
7月22日(土) Zepp Nagoya ※SOLD OUT
7月23日(日) Zepp Nagoya ※SOLD OUT
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
▼宮城公演
8月05日(土) Sendai PIT ※SOLD OUT
8月06日(日) Sendai PIT ※SOLD OUT
(問)キョードー東北 022-217-7788

▼開場 / 開演時間
平日:open18:00 / start19:06
土日:open16:00 / start17:06
※開場 / 開演時間は予定です。変更となる場合があります。

▼チケット ※D代別
・1Fスタンディング:¥7,330(税込)
・2F指定席(撮影可能):¥11,000(税込)
一般発売:2023年5月13日(土) 10:00〜
※Sendai PITは1Fスタンディングのみ
※未就学児童入場不可
※再入場不可
※1Fスタンディングは整理番号順の入場
※本ツアーでは2F指定席のみスマートフォン/タブレットでの写真・動画撮影が可能です。撮影にあたり、事前にHYDE LIVE 2023特設サイト内「その他諸注意とご案内」の記載内容をご確認ください。
※公演の中止及び延期の場合以外は、払い戻しの対応はいたしかねます。予めご了承の上、チケットをご購入ください。


■<HYDEPARK 2023>

6月19日(月) 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
7月07日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
7月21日(金) 愛知・Zepp Nagoya
開園12:00 / 閉園19:00
▼イベント内容
・VRゴーグルを使用した各エリア初日のライヴ映像上映
・衣装展示
・オリジナルグッズ、限定ポスター販売
・HYDE物産展
・記念写真撮影スポット
・「チェキレター」販売 など
▼チケット
・入場チケット ¥4,500(税込 / 整理番号付 / ドリンク代別)
・レイトショー ¥1,980(税込 / 整理番号付 / ドリンク代別)
販売:6月8日(木) 20:00〜
Rakuten Ticketにて先着販売:https://r-t.jp/hydepark2023
※VR視聴は20分程度。
※入場には年齢を問わず1人1枚のチケットが必要です。
※各会場ごとに上映映像は異なりますが、その日の上映内容は全て同じです。
※チケット購入時にVR視聴時刻を選択してください。選択したVR視聴時刻以外のVR視聴はできません。
※VR視聴時刻による入場時刻の指定はありません。VR視聴に間に合うように来場してください。
※レイトショーはVR視聴のみ楽しめるチケットです。他の催しは終了しており、利用できません。
※発達段階の視機能への影響を考慮し、13歳以下の方はVR視聴を利用できません。
※再入場不可


■<HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT>

9月09日(土) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
9月10日(日) 千葉・幕張メッセ 幕張イベントホール
open15:30 / start17:06
▼チケット
●VVIP席チケット●
¥55,000(税込)
・NFT内容:「Rakuten NFT」オリジナルHYDE撮り下ろしNFT全3種と、公演日付入りライブ参加記念NFT1個
・VVIP席特典内容: 「HYDE LIVE 2023特設サイト( https://hydelive2023.hyde.com )」にて詳細を発表予定
※オリジナルHYDE撮り下ろしNFTは、公演日によって図柄が異なります。
※公演後、チケット購入時のメールアドレス宛にNFT取得用クーポンコードを送付。
●VIP席チケット●
¥33,000(税込)
・NFT内容:「Rakuten NFT」オリジナルHYDE撮り下ろしNFT全3種と、公演日付入りライブ参加記念NFT1個
・VIP席特典内容: 「HYDE LIVE 2023特設サイト( https://hydelive2023.hyde.com )」にて詳細を発表予定
※オリジナルHYDE撮り下ろしNFTは、公演日によって図柄が異なります。
※公演後、チケット購入時のメールアドレス宛にNFT取得用クーポンコードを送付。
●アリーナスタンディングブロック指定チケット/スタンド指定席チケット●
各¥8,430(税込) ※公演チケット代¥6,660(税抜)+オリジナルNFT
・NFT内容:「Rakuten NFT」オリジナルHYDE撮り下ろしNFT全3種よりランダムで選ばれた2個のNFTと、公演日付入りライブ参加記念NFT1個
※オリジナルHYDE撮り下ろしNFTは、公演日によって図柄が異なります。
※公演後、チケット購入時のメールアドレス宛にNFT取得用クーポンコードを送付。
【楽天チケット最速先行抽選】
受付期間:6月27日(火)12:00~7月9日(日)23:59
https://ticket.rakuten.co.jp/features/hyde-live-2023-makuhari/index.html/

■シングル「TAKING THEM DOWN」

2023年6月16日(金)配信開始
リンク:https://hyde.lnk.to/ttdPR
※『P真・北斗無双 第4章』タイアップ曲



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