【インタビュー】アジカン、15年越し『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』に成長と“らしさ”「やっと清書できたわ!みたいな」

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ストレートでダイレクト、そして痛快、爽快! パワーと高揚に満ち溢れたアルバムだ。『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』には、ひとつのバンドとしてむき出しになったアジカンのシルエットが映し出されている。どこかユーモラスで、笑顔があり、しかし真摯でもあり、また、味わいのある情感も含んだ作品だ。さらに近年の4人がとてもいい状態で音楽に向き合えているムードも伝わってくる。

もともと2008年に発表された『サーフ ブンガク カマクラ』は、湘南地区を走る路面電車の江ノ島電鉄の10の駅にちなんだ楽曲を収めたアルバムだった。当時のアジカンは人気、実力、そして音楽性と、すべてが上昇&拡大する過程にあったが、ハードな日々の合間に生み落とされたその楽曲たちはまるで清涼剤のようなパワーポップ集で、彼らに関わる人たちの心の風通しをすべからく良くしてくれたものだった。それから15年。今度はそれに5つの新曲を加え、江ノ電の15の駅をコンプリートした『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』がリリースとなったわけだ。しかも旧曲は再録音することで、ここにアジカンの今の息吹を封じ込めたのである。

それだけに本作には15年という時間の幅とともに、バンドの変化や成長もあちこちで感じることができる。かたや、もちろん一貫している部分や相変わらずなところもあり、最高のロック・バンドであるアジカンを存分に楽しめる一作になっているはずだ。

インタビューに応えてくれた4人は、アルバムへの印象と同じく、笑顔で、楽しそうで、しかもユーモラスで、充実しているように見えた。この記事で、大人のバンドになった4人の素敵な姿が確かめてもらえると思う。

  ◆  ◆  ◆

■ずっと「出す出す」と言ってきたんで、やっと出せるという感じ

──今回の『サーフ ブンガク カマクラ (完全版)』(以下『サーフ』)はとても爽快で聴き心地がいいアルバムとなっていて、ほんとに楽しんで聴いております。

後藤正文(Vo&G):ありがとうございます!

喜多建介(G&Vo):うんうん。良かったです。

──で、その本題の前に聞きたいんですが、アジカンは5月に出た、のんの新曲「Beautiful Stars」でコラボをしていますよね? あれもパワーポップですごくいい曲ですけど、これはたまたまですか?

後藤:そうですね。あれは彼女に、どんな曲がいいんですか?って聞いたら、パワーポップだって言うんですよ。それで作りました。



喜多:もともとゴッチに楽曲提供の話が来たんですけど、ゴッチはアジカンでやったらどうかと思ったみたいで。メンバーLINEで<これ、アジカンでやったら面白いと思うんだけど、みんなどう?>みたいに来て。みんな、<ああ、面白そうだね>ってなって。

後藤:そうそう。ヒマな奴検索をしたら、2名が引っかかったんです。まずベーシストとギタリストね。

山田貴洋(B&Vo):それで、すぐ捕まっちゃって(笑)。

後藤:ドラムの奴は、料理で忙しいバンドなので。それだけヒマなら、いいんじゃないかと。

伊地知潔(Dr):……忙しいですね(笑)。

──(笑)伊地知くんには料理研究家としてのお仕事もありますからね。

後藤:のんさんに太刀打ちするためには、アジカンでやるのが一番いいかなって。見た目的にもメッセージ的にも力強いものになるんじゃないか、みたいな。

喜多:ちょうどこの『サーフ』のレコーディングをしている頃で、「そのままのモードでいいから」みたいな。音作りとかも、そのままでね。

後藤:そう。ほんとに『サーフ』の日にスケジュールをねじ込んでもらったんですよ。

喜多:『サーフ』のために取ってるスタジオを使ってね。のんさんの曲も好評で、うれしいです。

──なるほどね。だからこちらとしても、この新作と合わせて聴いてもつながってる気がしたんです。なにしろ素晴らしい曲だし。

後藤:のんさんがキラキラとした表情で唄ってくださっていて、うれしいかぎりです。ほんとに。

──MVでは4人が演技力を発揮していて、そちらも素晴らしいなと。

喜多:はい(笑)、楽しかったです。


──では今回のアジカンのリリースについてです。『サーフ』シリーズの続編を作っているという話はもう2年ぐらい前に……「エンパシー」のリリースの頃(2021年8月)にはすでに聞いていまして。

後藤:いや、まさにそうですよ。だって『プラネットフォークス』(2022年3月)より先に出そうと思ってましたからね。『サーフ』の新曲については。

──で、ゴッチのnoteを確認したところ、2021年のうちに『サーフ』収録予定の2曲のレコーディングを終えているとのことでした。そこで思ったのは、さらにその前のアルバム『ホームタウン』(2018年12月)からの流れが関係しているのではと思ったんです。あれはパワーポップ回帰の作品でしたよね。

後藤:うん、延長線ではあると思いますね。かつ、それをアップデートというか、引き続き「どういうサウンドにしたらいいか」を検証してきましたから。ギター・ロックで今やれる最善の音像ってどんなものだろう?みたいな。それは常にやり続けないといけないと思っています。で、パワーポップだけをやりたいという気持ちもあったから、『プラネットフォークス』を出すのをもうちょっと先にしたいと思ってたんですよ。あのアルバムは『ソルファ』(2004年)と同じで、「(アルバムの方向性は)どこに行ってもいいよね」みたいな感じで作ってたんで、正直「もうちょっと時間欲しいな」と思ってた。それが「(次に出すのはオリジナル)アルバムよ」みたいな話になってね。それで(『プラネットフォークス』の制作を)頑張ったって感じでしたね。

山田:(笑)「ダメだよ、こっちは」って。

喜多:そう。山ちゃんに諭されて。

──それはそうですよね。あの段階で、純粋なオリジナルアルバムは3年間出してなかったわけですから。

後藤:でも結果的に(リリース順が)入れ替わったおかげで、再録もリラックスしたムードで、いいスケジュールで録れたし。これで良かったかな。

喜多:そう、ずっと「出す出す」と言ってきたんでね。やっと出せるという感じです。



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