【インタビュー】BAND-MAID、アメリカ/メキシコ・ツアーを終え夢の横アリへ「またさらに強くなった」

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去る8月、かの巨大フェス<LOLLAPALOOZA>への出演を含むアメリカ/メキシコ・ツアーを実施したBAND-MAID。渡米の機会自体も今年に入ってから実に3回目となり、今や彼女たちは“世界規模で活動する国内アーティスト”の代表となりつつある。

そして今現在はふたたび日本各地を巡演中で、11月26日、横浜アリーナでのツアーファイナル公演に向けて着々と前進を続けているわけだが、その動きはまさに、広く世界に挑みながら、日本というホームに自分たちの存在をより深く根付かせようとしているかのようだ。

そして8月も終わりに近づいていたある日、筆者は5人と向き合って話を聞く機会を得た。聞きたいことは山ほどあるが、日本に不在だった時期に登場した最新シングル「Shambles」に関することからこの先のことに至るまで、時間が許す限りたっぷりと話を聞かせてもらうことにしよう。


   ◆   ◆   ◆

■この曲を聴いて「よし、やってやろう!」みたいな気持ちになって欲しいなって

──8月の大半は日本を留守にしていたわけですが、ベストアルバム発売直後に新曲が登場したのには驚かされました。本当に突然で、まさに油断も隙もないという感じで。

SAIKI:BAND-MAIDらしい展開だなって思います。見え方として綺麗というか。ベスト盤が出て、リマスターされたこれまでの曲を聴いていただいた直後に半年ぶりの新曲登場ということになったわけで、「どうだ、こんなに違うんだぞ!」みたいな感じの流れになったと思います。

小鳩ミク:これまでの10年の軌跡をたどった後にその次の私たちを見せられたというのは、すごくいい流れだったなと思いますっぽ。

──この「Shambles」という楽曲はNetflixで配信中のアニメ『ケンガンアシュラ 』Season2のエンディング主題歌。僕はアニメには詳しくないんですが「拳ですべてを勝ち取る」という感じの、だいぶ激しい闘いの物語のようですね?

小鳩ミク:そうですっぽね。ホントに漢らしいというか。

SAIKI:ていうか……暑苦しい?(笑)

小鳩ミク:いい意味の暑苦しさはありますっぽね(笑)。こういった「猛々しくてすごく熱い!」みたいな作品に関わることを、これまでBAND-MAIDはやってこなかったので、そういう意味でもすごく新しい試みのひとつになったんじゃないかと思っていますっぽ。

KANAMI:このお話をいただいた時、曲自体についての先方からの要望は特になくて、ゼロから作る感じだったんですけど、ちょうど時期的に私自身、原作の漫画を読む時間が充分になかったんですね。ただ、兄に「この漫画知ってる?」って聞いてみたら、ちょうど「ああ、知ってるし好きだよ」ということだったので、大まかにストーリーを教えてもらって。最初はそうやって概要を汲み取ったうえで作り始めたんです。

(c)2023 サンドロビッチ・ヤバ子,だろめおん,小学館/拳願会2

──それを踏まえると、必然的に激しい曲になってきますよね?

KANAMI:そうですね。今回の場合はエンディングで使用されるということだったので、もしかしたら綺麗な余韻に繋がる感じのほうがいいのかな、とも思ったんですけど、あれこれ考えてみた末に「やっぱりこの曲はリフものだな!」と思いまして。リフで心を掴めるものにしたいなと考えて作りました。こういう激しい側面はここ最近あまり見せていませんでしたけど、YouTubeでの公開後の反応もすごく早かったので「ああ、みんなこういう曲を待っててくれたんだね!」と思いました。

SAIKI:タイアップの話をいただいて原作の漫画の絵を見た時に「これはすごいぞ!」と思ったんですね。というのも、女性漫画だけ読んでいたら、ずっと目にしなかった可能性のあるタイプの作品じゃないですか。ただ、だからこそ新しい気持ちで向き合えたというものあるし、KANAMIが「こんなふうにしたよー」って原曲を持ってきた時も「やはり!」と思える激しさで(笑)。あの作品について知ったら、やっぱりこういう感じにしたくなるよねと思いましたし、その時点で共感できるものがありましたね。それから小鳩が歌詞を書いてくれたんです。小鳩らしい、日本語と英語が入り混じった歌詞なんですけど、「驀進 Go!」とか、フックになる言葉がたくさんあって。「驀進」と「Go!」がくっつくとこんなにも強いフックになるのか、みたいな面白さも感じて、レコーディングの時も楽しかったですね。ホントに闘いのシーンが多い漫画で、血と汗が飛び散るみたいな場面がめちゃくちゃ多いんですけど、それを音や言葉で表すみたいな感覚でした。



──この楽曲に伴うMVは皆さんの演奏シーンで全編構成されています。さすがに今回の場合はアニメとの合体は難しいですよね。とはいえジャケットの絵柄ではアニメとのコラボが実現していて、小鳩さんが臨戦態勢にありますが(笑)。

小鳩ミク:そうですっぽね。小鳩を『ケンガンアシュラ』に出したらこうなるっていうぐらいムキムキにしてみてくださいっていう話になったんですっぽ。

AKANE:ヒラメ筋がすごいことになってる(笑)。

MISA:背中も逆三角形だし(笑)。

SAIKI:凶暴な鳩(笑)。

AKANE:このジャケットは『ケンガンアシュラ』のアニメチームの描きおろしで。メンバー全員をこういう感じで描いてもらうというアイディアもあったんですけど……。

小鳩ミク:AKANEはゴリラみたいに描いてもらうのも面白いかも、みたいな。

SAIKI:いやいやいや、ここは小鳩でしょ、と。というわけで、私たちは辞退しました(笑)。

▲ジャケット

──MISAさんは、この曲については? ベースもかなり目立っていますが。

MISA:そうですね。なにしろ男らしい曲だから、ベースラインも男らしい感じがいいかなと思って、攻撃的な感じで。敢えてあまり動き過ぎず、音で決めたいな、ピッキングで攻めたいな、と思いながら作ったベースラインです。

──ギターソロの前あたりとか、かなり耳を奪われます。

MISA:えへへ(照笑)。

KANAMI:「ここに何かソロ入れて」ってお願いすると、「いつもありがとう!」って言いたくなるようなものをMISAはかならず入れてくれるんです。

MISA:今回、「DICE」ソロみたいなのはどうかな、みたいな話もしていましたね。起承転結があるというか、終わりを想像しやすい流れがあるものというか。

──なるほど。表題に掲げられた「Shambles」という言葉が意味するのは“混沌”とか“ぐちゃぐちゃな状態”とか。ほとんど“chaos”と同義語ですよね?

小鳩ミク:そうですっぽね。この歌詞の中で実際に使っている言葉でいうと“修羅”とか。そういう感じを英語に置き換えるとどうなるかって考えた時、“Shambles”というのがぴったりだと思えたので。

──歌詞の中の英語表現にも面白いものがあります。“Push the envelope”というフレーズが後半に出てきます。直訳すると“封筒を押す”となってしまいますけど、これは“限界ギリギリに挑む”みたいな意味の言い回しなんですよね?

小鳩ミク:そうですっぽ、そうですっぽ。ギリギリまで突き進んでいく感じで。このお話をいただいてから私は原作の漫画を読み始めて……やっぱり私の場合も「兄が好きそうな感じだな」と思ったんですね。

SAIKI:あ、やっぱり兄弟なんだ?

小鳩ミク:うん。実家の本棚にはこういうタイプの漫画が並んでいる感じでしたっぽ。だから実は私自身も小さい頃からそれを手にとって読んだりもしていたので、その頃のこともちょっと思い出してみたり。実際、この作品自体もすごく面白くて、きっと私みたいに夢中になる人はたくさんいるだろうなと思ったし、やっぱりこういった機会には原作のイメージを大切にしたかったので、それを踏まえながら言葉をチョイスしていったんですっぽ。実際に漫画の中に出てくる言葉とか、普段の会話ではむしろ避けるような言い方とか、場合によっては中二病とか言われ兼ねないような言葉とかも敢えて入れることで、このアニメのカッコ良さに惹かれてる方たちにも刺さるものにできるんじゃないかな、と思ったんですっぽ。

KANAMI:作曲についてはリフを主体にしながら進めていったんですけど、私自身が、みんな(メンバーたち)に比べても強くないというか、ちょっと弱いタイプの人間なんですね。そこで私は、楽曲とかギターを通じて強さを出していきたいな、と考えて。自分自身が『ケンガンアシュラ』に対して抱いたイメージというのもありましたし、この曲を聴いて「よし、やってやろう!」みたいな気持ちになって欲しいなって想いを込めて作りました。実際、YouTubeのコメント欄とかSNSでの反応とかを見ていても「この曲を聴いて、きょうも頑張ろうと思った」とか、そういう言葉も結構あったので、「そうそう、まさにそういう気持ちで作ったの!」という嬉しさがありましたね。

小鳩ミク:ありがたい反応ですっぽ!

──聴くことで無敵な気分になれる曲ですよね。そして面白いのは、この曲が公開された時点で、皆さんがもうすでに日本にはいなかったということです。

小鳩ミク:もうシカゴに着いてましたっぽ!

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