【レポート】<THE HOPE>が証明、ヒップホップはブームではなくカルチャーになった
▲photo by Masanori Naruse
昨年は代々木第一体育館で初開催され、10,000人を超えるオーディエンスを動員した国内最大級のHIP HOP FESTIVAL<THE HOPE>。今年は、9月23日(土曜)にお台場の野外特設会場にて2回目の開催を迎えた。開催前に、約30,000枚のチケットは完売。参加したたくさんのファンを前にしたジャパニーズマゲニーズの孫GONGが、ヒップホップ50周年という節目について触れながら、ヒップホップがブームではなくカルチャーになったことを満面の笑顔を浮かべながら断言していたが、実際に現場は大盛況だった。
お昼前の早い時間から、10代、20代を中心にしたオーディエンスで場内は終始ずっと賑わっていた。場内は、Bリーグのチーム「アルバルク東京」のバスケットボール・コートや、フードトラック、グラフティアートの展示、また巨大なラジカセを模したDJブースなど、ヒップホップ・フェスとして確実にパワーアップ。思い思いにステージを見たり休憩したら好きなように過ごす野外フェスならではの自由なムードも心地よかった。
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by styler86
▲photo by styler86
▲photo by styler86
そしてメインステージでは、総勢50組以上のヒップホップ・アーティストが次々とパフォーマンスを披露していき、ヘッドライナー以外は10分前後の尺という小気味良さで、次々と第一線で活躍するアーティストが登場するというファンにとっては夢のような1日だった。なお、<THE HOPE 2023>出場の最後の1枠をかけたラッパーバトル『THE HOPE NEXT GENERATION RAPPERS BATTLE』も事前に開催され、ヒップホップの未来を担うべきニューカマーをフックアップするこのフェスの意思も感じられた。前述したように、いっときのヒップホップブームから端を発したフェスではなくしっかり未来へ向けられている視線が頼もしい。グランプリは横浜出身のCarz、さらに準グランプリであるLinkHood、Teitoの2組もDJステージでライブを披露。一方で、RIEHATAのステージも話題に。世界水準のダンスパフォーマンスからは、ヒップホップとダンスとの切っても切れない関係性を再認識したし、さらにはフリースタイルラップも披露してみせた。
▲RIEHATA with Rht./photo by Yusuke Kitamura
スキルの高さと早くもカリスマ性を感じさせてくれたLANAやDADAから、貫禄のステージを披露したANARCHYやAK-69まで世代はさまざまで、ヒップホップ・シーンが擁するアーティストの層の厚さを目の当たりにできたことも、このフェスでの収穫だった。ラップスターを前に、オーディエンスが一丸となって合唱する姿からは、みんなの生活の一部としてヒップホップが根付いてることを証明していた。コロナ明け、そしてずっと続いていた酷暑もやっと少し落ち着いた1日を(曇り時々晴れ間の、ちょっと騒ぐと汗ばむような陽気だった)、アクセスのいいお台場で満喫する生き生きとした若者たちの姿はシンプルに素敵だった。
▲LANA/photo by Masanori Naruse
▲DADA/photo by cherry chill will.
▲ANARCHY/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲AK-69/photo by Daiki Miura
特に印象的だったのは、イベント中盤頃の怒涛のような盛り上がり。登場のアナウンスから一気に人が前方に押し寄せたJP THE WAVY、また、我らのカリスマ=TohjiのステージではGummy Boyも加わり、その後「Goku Vibes」のイントロが流れればDJ CHARIが登場してスイッチ。Hideyoshi、Only U、(sic)boy、Leon Fanourakis、MIYACHI、ゆるふわギャング、LANA、DADAがゲストとして登場するという贅沢な展開を迎えた。また、ステージを走って煽ったりオーディエンスに語りかけたりフロアへ降りたり会場とコミニュケーションをとって、人間性が垣間見えるステージだったのはJin Dogg。REAL-Tへメッセージも送った。
▲JP THE WAVY/photo by cherry chill will.
▲Tohji/photo by cherry chill will.
▲DJ CHARI and Friends/photo by cherry chill will.
▲Jin Dogg/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
続くジャパニーズマゲニーズのステージでは、紅桜がサプライズ登場。マイクを包み込むような姿勢から放つ「悲しみの後」のブルージーな歌声はあまりにも沁みた。オーディエンスも「おかえり!」と叫ぶ。J-REXXXも加わり4人で披露した「最後の一本」は、この日のハイライトとも言えるほどの大合唱が起こった。一転して、ふいに「BUDS MONTAGE」のあのイントロが流れた瞬間に思わず鳥肌が立ったが、オーラに圧倒されるようにあたりに不思議な静けさすら漂っていたのが舐達麻のパフォーマンスだ。その後は、「ANGELA」ではANARCHYが、続く「OUTLAW」ではなんとAwichが登場するというスペシャルなステージでスマートに魅了すると、疾風の如く帰っていった。
▲ジャパニーズマゲニーズ/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲ジャパニーズマゲニーズと紅桜/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲J-REXXX/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻とANARCHY/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻とAwich/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
その後も、IOのステージではBSC、Dony Jointが登場し、KANDYTOWNファンが歓喜したサプライズもあったり、DJ RYOWのステージでは、TOKONA-X「WHO ARE U?」に名古屋の"E"qual、そしてAK-69、紅桜が参加する光景は、ヒップホップというジャンルならではの特別強い人と人との繋がりや、音楽を介した熱い交わりを伝えた。また、一貫してイベントを通してDJにもフォーカスを当てていた<THE HOPE>も最高だと言える。
▲IO/photo by Yusuke Kitamura
イベントもいよいよ終盤を迎えると、ヘッドライナーたちのステージに、会場の熱気は天井知らずの高まりを見せ続けていった。「夜を使い果たして」「タイムマシーンにのって」という代表曲に加えて、「お隣さんより凡人」では日本語ラップの名フレーズを繋いだスペシャルバージョンを披露したPUNPEE、ラップも歌もダンスもステージ演出もエンターテイメント性が抜群だったちゃんみな、AK-69との「Bussin’」ののちにAK-69との2マンライブを日本ガイシホールで開催することもアナウンスされ更なるステップアップを予感させた¥ellow Bucksという、それぞれのベクトルからシーンを牽引しているアーティストならではの凄みがあった。そして大トリは、BAD HOP。<FUJI ROCK FESTIVAL ‘23>以来となるバンドセットを披露し、そのステージ上では、解散ライブの開催場所を東京ドームと発表した。シーンへの登場からずっと、ヒップホップというカルチャーを日本で押し広げてきたBAD HOPが大切な発表の場に選んだのも、<THE HOPE>だった。
▲PUNPEE/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲ちゃんみな/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲¥ellow Bucks/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲BAD HOP/photo by Yusuke Kitamura
こうして<THE HOPE>は、これまでみんなで積み上げてきた末に手にした現在のジャパニーズ・ヒップホップシーンの充実と、これからのシーンの更なる発展を確信させてくれる1日となった。
文:堺 涼子
◆ ◆ ◆
昨年は代々木第一体育館で初開催され、10,000人を超えるオーディエンスを動員した国内最大級のHIP HOP FESTIVAL<THE HOPE>。今年は、9月23日(土曜)にお台場の野外特設会場にて2回目の開催を迎えた。開催前に、約30,000枚のチケットは完売。参加したたくさんのファンを前にしたジャパニーズマゲニーズの孫GONGが、ヒップホップ50周年という節目について触れながら、ヒップホップがブームではなくカルチャーになったことを満面の笑顔を浮かべながら断言していたが、実際に現場は大盛況だった。
お昼前の早い時間から、10代、20代を中心にしたオーディエンスで場内は終始ずっと賑わっていた。場内は、Bリーグのチーム「アルバルク東京」のバスケットボール・コートや、フードトラック、グラフティアートの展示、また巨大なラジカセを模したDJブースなど、ヒップホップ・フェスとして確実にパワーアップ。思い思いにステージを見たり休憩したら好きなように過ごす野外フェスならではの自由なムードも心地よかった。
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by Daiki Miura
▲photo by styler86
▲photo by styler86
▲photo by styler86
そしてメインステージでは、総勢50組以上のヒップホップ・アーティストが次々とパフォーマンスを披露していき、ヘッドライナー以外は10分前後の尺という小気味良さで、次々と第一線で活躍するアーティストが登場するというファンにとっては夢のような1日だった。なお、<THE HOPE 2023>出場の最後の1枠をかけたラッパーバトル『THE HOPE NEXT GENERATION RAPPERS BATTLE』も事前に開催され、ヒップホップの未来を担うべきニューカマーをフックアップするこのフェスの意思も感じられた。前述したように、いっときのヒップホップブームから端を発したフェスではなくしっかり未来へ向けられている視線が頼もしい。グランプリは横浜出身のCarz、さらに準グランプリであるLinkHood、Teitoの2組もDJステージでライブを披露。一方で、RIEHATAのステージも話題に。世界水準のダンスパフォーマンスからは、ヒップホップとダンスとの切っても切れない関係性を再認識したし、さらにはフリースタイルラップも披露してみせた。
▲RIEHATA with Rht./photo by Yusuke Kitamura
スキルの高さと早くもカリスマ性を感じさせてくれたLANAやDADAから、貫禄のステージを披露したANARCHYやAK-69まで世代はさまざまで、ヒップホップ・シーンが擁するアーティストの層の厚さを目の当たりにできたことも、このフェスでの収穫だった。ラップスターを前に、オーディエンスが一丸となって合唱する姿からは、みんなの生活の一部としてヒップホップが根付いてることを証明していた。コロナ明け、そしてずっと続いていた酷暑もやっと少し落ち着いた1日を(曇り時々晴れ間の、ちょっと騒ぐと汗ばむような陽気だった)、アクセスのいいお台場で満喫する生き生きとした若者たちの姿はシンプルに素敵だった。
▲LANA/photo by Masanori Naruse
▲DADA/photo by cherry chill will.
▲ANARCHY/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲AK-69/photo by Daiki Miura
特に印象的だったのは、イベント中盤頃の怒涛のような盛り上がり。登場のアナウンスから一気に人が前方に押し寄せたJP THE WAVY、また、我らのカリスマ=TohjiのステージではGummy Boyも加わり、その後「Goku Vibes」のイントロが流れればDJ CHARIが登場してスイッチ。Hideyoshi、Only U、(sic)boy、Leon Fanourakis、MIYACHI、ゆるふわギャング、LANA、DADAがゲストとして登場するという贅沢な展開を迎えた。また、ステージを走って煽ったりオーディエンスに語りかけたりフロアへ降りたり会場とコミニュケーションをとって、人間性が垣間見えるステージだったのはJin Dogg。REAL-Tへメッセージも送った。
▲JP THE WAVY/photo by cherry chill will.
▲Tohji/photo by cherry chill will.
▲DJ CHARI and Friends/photo by cherry chill will.
▲Jin Dogg/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
続くジャパニーズマゲニーズのステージでは、紅桜がサプライズ登場。マイクを包み込むような姿勢から放つ「悲しみの後」のブルージーな歌声はあまりにも沁みた。オーディエンスも「おかえり!」と叫ぶ。J-REXXXも加わり4人で披露した「最後の一本」は、この日のハイライトとも言えるほどの大合唱が起こった。一転して、ふいに「BUDS MONTAGE」のあのイントロが流れた瞬間に思わず鳥肌が立ったが、オーラに圧倒されるようにあたりに不思議な静けさすら漂っていたのが舐達麻のパフォーマンスだ。その後は、「ANGELA」ではANARCHYが、続く「OUTLAW」ではなんとAwichが登場するというスペシャルなステージでスマートに魅了すると、疾風の如く帰っていった。
▲ジャパニーズマゲニーズ/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲ジャパニーズマゲニーズと紅桜/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲J-REXXX/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻とANARCHY/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
▲舐達麻とAwich/photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
その後も、IOのステージではBSC、Dony Jointが登場し、KANDYTOWNファンが歓喜したサプライズもあったり、DJ RYOWのステージでは、TOKONA-X「WHO ARE U?」に名古屋の"E"qual、そしてAK-69、紅桜が参加する光景は、ヒップホップというジャンルならではの特別強い人と人との繋がりや、音楽を介した熱い交わりを伝えた。また、一貫してイベントを通してDJにもフォーカスを当てていた<THE HOPE>も最高だと言える。
▲IO/photo by Yusuke Kitamura
イベントもいよいよ終盤を迎えると、ヘッドライナーたちのステージに、会場の熱気は天井知らずの高まりを見せ続けていった。「夜を使い果たして」「タイムマシーンにのって」という代表曲に加えて、「お隣さんより凡人」では日本語ラップの名フレーズを繋いだスペシャルバージョンを披露したPUNPEE、ラップも歌もダンスもステージ演出もエンターテイメント性が抜群だったちゃんみな、AK-69との「Bussin’」ののちにAK-69との2マンライブを日本ガイシホールで開催することもアナウンスされ更なるステップアップを予感させた¥ellow Bucksという、それぞれのベクトルからシーンを牽引しているアーティストならではの凄みがあった。そして大トリは、BAD HOP。<FUJI ROCK FESTIVAL ‘23>以来となるバンドセットを披露し、そのステージ上では、解散ライブの開催場所を東京ドームと発表した。シーンへの登場からずっと、ヒップホップというカルチャーを日本で押し広げてきたBAD HOPが大切な発表の場に選んだのも、<THE HOPE>だった。
▲PUNPEE/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲ちゃんみな/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲¥ellow Bucks/photo by Yusuke Oishi (MARCOMONK)
▲BAD HOP/photo by Yusuke Kitamura
こうして<THE HOPE>は、これまでみんなで積み上げてきた末に手にした現在のジャパニーズ・ヒップホップシーンの充実と、これからのシーンの更なる発展を確信させてくれる1日となった。
文:堺 涼子
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