【インタビュー】the paddles、柄須賀皇司が語る20代半ばの等身大「みんなもっと自分のために生きようぜって」

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■もう一個深い段階で書きたかったんですね
■みんな本当のことを言いなさいよみたいな


──「プロポーズ」はどんなふうにできていった曲ですか。

柄須賀:「プロポーズ」は、歌い出しの“23億回のこの鼓動を捧げたいんです”っていうのが、ハナウタの時点で出てきてて。人間が生まれてから死ぬまでの鼓動の回数が、23億回ぐらいらしいんですよ。

──僕も調べちゃいました。そういう説、あるみたいですね。

柄須賀:動物によって回数が分かれてて、それが寿命を決めてるっていうのを聞いて。言葉にしたらすごくキャッチーだなと思ったんで。

──その言葉は、どこで知ったんですか。

柄須賀:ネットサーフィンが趣味なんで、たぶんYouTubeのNational Geographicチャンネルとか見てる時に出てきて、書き留めてたんですよね。それを鼻歌に引っ付けたみたいな感じ。“23億回って何の話?”って、インパクトありますよね。「プロポーズ」っていうタイトルは最後に決めたんですけど、歌詞を先に書いたら、誰かに人生捧げたいんだねっていう話が書けて、それってどういうことなのかな?って考えた時に、“あ、プロポーズか”と。一緒に過ごしていくってそういうことかな?っていうのが自分の中であったんで、じゃあ「プロポーズ」にしようっていうので、最後にそのタイトルでぎゅっと包んだら、歌詞の意味がもっと引き出てきたかなっていうのはありますね。


──最後のラインの、“しわくちゃになってしまっても、笑わせたすぎた僕のせいにしてね”というフレーズが好きですね。一緒に年を取ろうということを、素敵に表現していて。

柄須賀:ありがとうございます。僕的には書き過ぎというか、めちゃくちゃ直接的だし、もし実際に言われたら気持ち悪いじゃないですか(笑)。でも歌にするから可愛いし、歌にするから直球に見えるし、すごくいいなと自分でも思います。アルバムタイトルもそこから取りました。一番最後の“胸ん中、左の方が刻み終わるまで、抱きしめていてね”と、最初の“23億回の鼓動”っていうので、ハートビートにしようと。

──アルバムの核になる曲ですよね。「プロポーズ」。

柄須賀:そうですね。「プロポーズ」は、「ブルーベリーデイズ」に負けねえぜっていう気持ちで作ったんですよ。ちょっと、ええ曲過ぎたんで。「ブルーベリーデイズ」が。


──いい曲過ぎます。その「ブルーベリーデイズ」は、どんなふうにできた曲ですか。

柄須賀:「ブルーベリーデイズ」も、歌い出しに自分がピンと来た言葉を置きたくて、“会いたいとか言えないから、その代わりに飲みたいとか、違う言葉で誘ってるの、気づけよ”っていう、歌い出しは絶対それって決めて、そこから曲を作っていった感じでしたね。でもメンバーからは、「プロポーズ」も「ブルーベリーデイズ」も、「ちょっと書き過ぎじゃない?」みたいに言われたんですよ。それは「予測変換から消えても」の時もそうやったんですけど、「けっこう思い切って書くね」みたいな感じで言われたんで、「いや、ちょっと、思い切らして」って、押し切った感じですね。

──それぐらい、頭の中にちゃんと設計図があった。

柄須賀:歌いたい言葉は全部決めてました。そして「ブルーベリーデイズ」のミュージックビデオは、ロケ地が東京の新宿で、新宿から大阪に帰る男の子の映像を撮ってもらったんですけど、歌詞ではで歌い切れへんかったところを映像にしてもらってます。Cメロの“もう嫌いな4月だ”のところは、4月は別れの季節でもあるということで、“君に素敵で寝る間も惜しむような出会いがありませんように”というのは、別れていく人の幸せを、そんなきれいに願える人なんていないと思うんですよ。だからそういうふうに歌いましたね。そのほうがリアルじゃんって、自分の中ですごく思ったので。

──きれいじゃないからこそ、生々しく響くんですよね。未練や後悔の思いも入ってくるから。

柄須賀:歌にすると、きれいにみんな歌いがちなんですけど、歌にするからこそ丸裸で書いたらいいのにって、自分は思うんですよね。「ブルーベリーデイズ」はそういう歌です。やっぱりリアルに行きたいし、みんなの生活に入り込みたいので、もう一個深い段階で書きたかったんですね。“みんな、本当のことを言いなさいよ”みたいなことで。

──そういう意味で、幸せな二人を歌う「プロポーズ」と、別れた二人を歌う「ブルーベリーデイズ」は、まるで違う物語だけれど。

柄須賀:振り切り方が一緒っていう。

──そう、リアリティの在り方が似ている。

柄須賀:それを、恋愛とかを取っ払って歌ってしまったのが「WARNING!」です。警告という意味なんですけど、これは僕から世の中への警告ですね。「ジパングカウンター」を歌った時もそうやったんですけど、定期的に自分の思いを世の中に発信していきたいっていう気持ちがあって。ブラック皇司シリーズですね。


──シリーズだったのか(笑)。

柄須賀:そう(笑)。『efforts』(3rdミニアルバム/2022年10月発表)に入ってた「ステレオタイプ」もそうですね。友達のバンドマンとか、プライベートの友達とかが聴いてくれて、「ワル皇司出てるな」みたいに、みんな言ってくれました。でもそれは、僕にとって嬉しかったですね。丸裸で書いてるんで。「WARNING!」のラップパートのところも。

──あそこは新しいですよね。

柄須賀: “レミヒーセイ(Let me hear (you) say)”とか、言ってみたりして。僕、もともとK-POPが大好きで、BIGBANGがめっちゃ好きだったんですよ。BIGBANGのラップパートを必死で覚えて、カラオケで歌うっていうのを中学生の時にやっていたので、ラップに対する抵抗はあんまりなくて。KREVAさんとかめっちゃ好きやし、自分のバンドでも挑戦してもいいかなって思ったんですよね。実はその前に、「ブルーベリーデイズ」の“来年の夏は逆に北海道、なんて馬鹿みたいな妄想”のところで、ラップっぽい言葉の詰め方をして、こっそり様子をうかがってみたんですけど(笑)。そうしたら「そこがいい」って言ってくれる人がいたので、じゃあ思い切ってやっちゃうかっていうことでした。「WARNING!」のラップパート、けっこう暴言吐いてますね。

──言いたいこと言ってますからね。

柄須賀:すいません、本当に(笑)。でも僕が言いたいこととして、“もっとみんな自分のために生きろよ”っていうのは、ずっとあるんで。それは恋愛においても、普段の生活においても、“もっともっと自分のためにやっていこうぜ”っていうのが、僕の中でずっとあるんで。自分のやりたいことをちゃんと消化していってこそ、人生やと思ってるんで、それを突き詰めてるのかな?っていう感覚はあります。生活のあらゆる局面で。

──それは暴言じゃなくて、助言ですよ。“ぶれずにこのまま走っていく”というフレーズとかも。

柄須賀:今って本当に、人の評価ばっかり目に入ってくるんで、そんなもの本当は気にしなくて良くて、もっと自分本位でみんなやろうぜっていう、“俺がまずやるからみんなやろうぜ”みたいな気持ちで書きましたね。さっき“これはアジカンやで”って言いましたけど、四つ打ちの曲なので、ライブでみんな踊ってるから、いろんなこと言っても大丈夫やろって(笑)。

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