【インタビュー】KISAKI、30年の音楽人生──『Eternally』、そして『破戒』

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◾️これからもなにが起こるかわからない

──そして、1997年。MIRAGE結成と同時に自身初のレーベル「Matina」を設立しました。

KISAKI:MIRAGEを結成したタイミングで、メジャーレーベルからCDをリリースするという話があって、そのアルバムが15,000枚売れたんです。この勢いのまま、次は自分でレーベルを設立してそこからリリースしようと思ったんですよね。それでMatina(マティーナ)を設立。20歳の頃ですね。

──初めてのレーベル運営、大変だったのではないですか?

KISAKI:設立当初、所属している3バンドとも小さなバンドだったけれど、みんなで団結して全国に殴り込みをするぞ!という意気込みでした。今思うと破茶滅茶なレーベル運営だったと思いますが、時代も良かったのか、リリースしたものは全部売れました。当時はカセットテープがメインだったんですけれど、業者に頼むとお金がかかるので、自分たちでダビングして封筒に入れて全国に発送する、という作業を来る日も来る日もやっていました。

──そして2000年。MIRAGEの解散後、Syndrome(シンドローム)を結成しました。

KISAKI:その頃、巷で“KISAKI、3年間伝説”みたいなのがあったらしく、KISAKIのバンドは3年持たないって言われていたらしいんです(苦笑)。ただ、MIRAGE、Syndromeでもいろいろな経験をさせてもらったので、この頃の活動が無駄になったとは思っていません。

──2000年代初頭のインディーズヴィジュアル系シーンは新しいバンドが次々登場して、盛り上がっていましたね。

KISAKI:La’Mule(ラムール)、cali≠gari(カリガリ)、kein(カイン)、LAREINE(ラレーヌ)など強敵が多かったですね。この頃からヴィジュアル系のなかでも、耽美系、密室系、コテ系とジャンルが細分化されていきましたよね。そんななかで「俺たちは正統派のコテ・ヴィジュアル系バンドで行こう」とコンセプトを明確にしました。シーンが細分化されたことで、レーベルのコンセプトがはっきり見えてきたんです。この頃から、バンド全体のコンセプトも考えながらスタイリングしたり、プロモーションを考えていくようになりました。

──シーンが盛り上がっている分、競争も激しかったですよね。

KISAKI:そうですね。色々なバンドがでてきて、このままでは波にのまれてしまうと思って、いろいろな人と会って情報交換するようになりました。そこから新しいアイデアも生まれて。たとえば、同じタイトルでカップリング曲を替えて複数タイプのCDをリリースしたのはうちのレーベルが一番早かったんじゃないですかね。


──今では複数タイプのCDリリースは普通になっていますが、そのリリース方法の先駆者だったんですね。これは発明ですよ。

KISAKI:当時はライブが忙しくて曲数が揃わなくて、苦肉の策ではあったんです。でも、目を引く手法っていうのを思いつきました。

──レーベルのビジネス面では順風満帆でしたが、アーティストとしては、2002年にSyndromeが解体してしまいます。

KISAKI:Syndromeが解散したときも、めちゃくちゃショックで……。バンドだけではなく、レーベルも一旦止めました。

──アーティスト活動も、レーベルの運営も、すべて止めたんですね。

KISAKI:はい。ただMatinaの所属アーティストで作ったバンドのヴィドールのメンバーが、新しいレーベルを作ってくれと言ってくれたんです。それで、新たにUNDER CODE PRODUCTION(アンダー・コード・プロダクション)を設立したんです。それでレーベルをスタートしたら、仲間たちが新しいバンドを作って戻ってきてくれたんです。一度離れたと思った人間がまた戻ってきてくれたことがすごくうれしくて。そこでまたレーベルを真剣にやろうと思ったんです。そうしているうちに、レーベル運営の合間にステージ立ちたいと思い、樹威(現GOTCHAROCKA)に声をかけてバンドではなく、プロジェクトであるKISAKI PROJECT feat.樹威という形で少しずつ活動を始めました。そんななか、“神戸にKISAKIさんがめちゃくちゃ好きそうなギタリストがいますよって”話があって、JUN(現GOTCHAROCKA)を紹介されたんです。それで彼が当時やっていたバンドのライブを観に行ったんです。そのときステージに立っていたJUNはすごく輝いていて、彼のバンドがUNDER CODE PRODUCTIONに所属することになったんです。

──京さんを見出したときと同じようにですね。

KISAKI:はい。ただ、その時のJUNのバンドは短命に終わってしまったんです。それでJUNに「これからどうする?」と聞いたら「KISAKIさん一緒にやりませんか」と冗談混じりで言ってくれて、それで僕のバンド魂にまた火がつきました。それで、Phantasmagoria(ファンタスマゴリア)が結成されました。

──Phantasmagoriaを結成するにあたってのコンセプトはありましたか?

KISAKI:根本的にこれまでやってきたバンドのように、僕がバンドに思うコンセプトは変わってないですが、JUNはメロディーメーカーとして優れていたので、そこは全面に出して楽曲を制作していこうと。Phantasmagoriaが活動スタートしてからは、今までのつながりや、経験、そしてタイミングよくて、大きなイベントにも出させてもらってよいスタートがきれたと思います。

──最初にPhantasmagoriaを観たときから、すでに完成されていたように感じました。

KISAKI:ファン、そして関係者の方にも、すごく反応がよくて、一気に爆発した感じでした。


──レーベルとしても順調でしたよね。

KISAKI:そうですね。ただ、当時、東京にLOOP ASH(ループ・アッシュ)というレーベルがあったんです。そこのレーベルは、お洒落でキラキラ系のレーベルで、うちとは真逆のコンセプトでやっていたんです。そこの代表の未散くん(ex MASK レーベルLOOP ASH代表)とすごく波長が合って、UNDER CODE PRODUCTIONとLOOP ASHでイベント、オムニバスCDといろいろ企画をやったんです。まったく正反対のレーベルでしたが、そこで化学反応がおこって、インディーズ・ヴィジュアル系シーン全体が盛り上がったように思います。人との出会いの大切さを感じました。

──レーベルとしても、アーティストとしても好調だったと思うのですが、その一方で、絶対的リーダーとして一人ですべてを決定し、そして責任を負わなければならないのは大変ですし、一種の孤独感みたいなものは感じていなかったのでしょうか?

KISAKI:孤独感というものは、常にありました。それはバンド、レーベルがうまくいっているときでも……。たとえば、イベントで僕が楽屋に入るまでは賑やかだったのに、僕が楽屋に入ったとたんに会話が止まるみたいな(苦笑)。ちょっと緊張感が走るような空気と言いますか……。もちろん所属バンドと飲みに行ったりコミュニケーションはとっていましたが、心のどこかで一人で戦っているという気持ちもありました。

──そんなとき相談する相手はいなかったのですか?

KISAKI:当時はKENZIさん(THE DEAD POP STARS)や、未散くんでしたね。彼達もレーベルの代表、アーティストとして、同じ悩みを感じていたようです。彼らの存在が励みになっていた部分あるのかなと思います。

──当時、レーベル同士のライバル意識がすごく強かったと思いますが。

KISAKI:そうです、バチバチでした。ただ、未散の方からタッグを組みましょうと言ってくれて。彼にはヴィジュアル系特有の体育会系縦社会的な部分がなくて、みんなで楽しくやろうというスタンス。自分とは正反対の考え方をもっていたので、話しやすかったんです。彼の存在が癒やされポイントだったのかもしれません。

──そうしたアーティスト同士の横とのつながりというのは、2000年代ヴィジュアル系の新しい潮流だったように思います。

KISAKI:そうですね。それで、再びインディーズ・ヴィジュアル系シーンが上昇し始めた感じですね。


──そんな中、Phantasmagoriaはメジャーデビューが決定していましたが……。

KISAKI:Phantasmagoria含め、所属3バンドのメジャーデビューも決まっていましたが、そんなときに僕が逮捕されました。責任を取ってPhantasmagoriaを脱退して、バンドは活動を続けれれば思っていたんですが、メンバーからKISAKIさんがいないPhantasmagoriaは考えられないと言ってくれて、解散することになったんですよね。

──伺いづらい質問ですが、逮捕された時の心境は?

KISAKI:アーティスト以前に、人生をどうするかという問題で。いままでもヤンチャはしてきましたが、さすがに逮捕されることはなかったし、有罪判決をくらってしまい何も考えられなかったですね。一気にすべてが振り出しに戻ってしまったようで……。これまで十数年やってきたことは一体なんだったんだって。

──結果、執行猶予が付きました。

KISAKI:それで、弁護士からのアドバイスもあって、アーティスト活動は止めて、レーベルの運営をしっかりやっていくことで社会貢献したほうがよいという判断をしました。しばらくして、精神的にも落ち着いてきて、執行猶予が解ける頃に凛を結成しました。

──凛はすごく、洗礼されたバンドだと感じました。

KISAKI:長い間このシーンでやってきたこともあって、すでにKISAKIというブランドが確立されていたからかも。最初から完成されたものを作ろうという思いがあったんですよね。結成する前にはhideさんのイベント<hide memorial summit>に声をかけていただきました。オファー内容を伺ったらPhantasmagoriaを復活させないかということだったんです。他の出演者を聞いたらLUNA SEAをはじめ、錚々たるメンバーで。もちろん、断るハズもないですよね。それで1日限りのPhantasmagoriaの再結成をその場で、僕の独断で決めました。初めて 数万人のオーディエンスの前に立って、こんな景色の中で音楽をできることは、すごい夢のある世界だなって改めて感じました。だから、自分はもう少し、この世界でがんばっていこうと思えて。まさにあのときに力をもらいました。

──その経験は活動30年の中でも印象深い出来事だったんですね。

KISAKI:そうですね。そして、この30周年イヤーを迎えるにあたって、なにか自分を奮起させる、喝を入れるという意味で、自分が音楽を初めるきっかけとなったYOSHIKIさんに会ってお話をさせていただき、一緒に写真を撮っていただきたいと思ったんです。周りの人は難しいのでは……という反応だったんですが、YOSHIKIさんにごく近い大先輩でもあるGEORGEさん(LADIES ROOM)に相談したら、親身になって対応していただき、去年それが実現したんです。僕の原点ともいえる方に会えて、以前お会いしたときにお話ししたことも覚えていただいていて、ヴィジュアル系の音楽に始めて触れた少年時代の気持に戻りました。あの時は感動で泣きそうになりましたけど一気にモチベーションは上がりました。

──ここまで聞いても波瀾万丈。改めて、この30年を振り返っていかがですか?

KISAKI:いろいろありましたね。この年齢で、僕が思い描いていた理想の90%以上のことは体験しているんじゃないですかね。夢もたくさん叶いましたし。だだ、これからもなにが起こるかわからないですね……。

──30年続けてこられた原動力はなんだったのでしょうか?

KISAKI:応援してくれる人がずっといたことかな。あとは自分の存在を認知してほしかった。承認欲求なんですかね。それがなかったら、ここまでやってこられなかったと思います。それと、人間とのつながりです。人間関係で苦労はしてきたけれど、やっぱり横にいてくれる仲間がいて、ここまでここれたんだと感じます。11月5日に大阪でイベントをやったんですね。そこに古くからの仲間たちが出演してくれたんです。すごく盛り上がって楽しかったし、うれしかったです。

──では、30年間を振り返って、辛かったこと、悲しかったことは?

KISAKI:たくさんありましたけれど、それは、もう自分の中では水に流しています。今は、楽しかったという印象しか残ってないです。

──そして、これからのKISAKIさんはどうなるのでしょうか。

KISAKI:これからどうなるのかは、正直わからないです。今年はずっと走り続けてきたので、とりあえず少し時間が欲しいですね。今年1年活動してきて、KISAKIというブランドが今のシーンでも通用することが証明されたと感じられたので、それは自信に繋がった感じがしてます。

──これからもアーティスト活動を続けてもらえることを望みます。

KISAKI:この30周年が完結して精神的に余裕ができれば、まだ次にやりたいことが見つかると思います。まあ、僕らしく生きていきたいと思います。引退する訳では無いですし(苦笑)。

取材・文◎鈴木”ぽっくん”邦昭(元SHOXX編集長)
撮影◎尾藤 能暢
ヘアメイク◎A・DO
ヘアメンテナンス◎hiko(UNDIVIIDE)
スタイリング◎峰岸 祐介
衣装協力◎Bennu JAPAN(https://bennu.tokyo)/ WaRLOCK(https://warlock69.jp)

KISAKI BANDWORKS 3OTH ANNIVERSARY LAST ALBUM『Eternally』

2023年12月27日 Release
LCD-013 2,600円(税抜) 全6曲(新曲+再録)トールケース仕様
ALL PROCUCED - KISAKI

-GUEST PLAYER-

【Vocal】
苑(摩天楼オペラ) / 藍(DEATHGAZE・DARREL)
AKIRA(MIRAGE・RENAME)/ 蟹江敬子(THE SHEGLAPES)

【Guitar】
SYU(GALNERYUS)/ HIZAKI(Versailles) / Iyoda Kohei(NoGoD)

【Drums】
森谷亮太

※苑(摩天楼オペラ) / 藍(DEATHGAZE・DARREL)/ AKIRA((MIRAGE・RENAME))が歌詞で参加

LAST SINGLE「破戒」封入 KISAKI SPECIAL福袋2023

【KISAKI SPECIAL福袋2023 Version:A】
価格10,000円(税抜)
受付開始2023年11月24日〜 受付締め切り2024年1月20日
音源(入手不可能音源多数)、グッズ、アパレル一点など20000円相当以上の商品封入

・福袋限定音源
※KISAKI LAST SINGLE「破戒」全員に封入

【KISAKI SPECIAL福袋2023 Version:B】
価格20,000円(税抜)
受付開始2023年11月24日〜 受付締め切り2024年1月20日
音源(入手不可能音源多数)、グッズ、アパレル一点など20000円相当以上の商品封入

・福袋限定音源
※KISAKI LAST SINGLE「破戒」全員に封入
※Phantasmagoria 未発表LIVE DVD(プレス版)全員に封入

ENDING MV配信『Re_REQUIEM~FINAL MIX~』

Model - LILLY(Little Lilith)
Voice - RAMI(Aldious・Raglaia・RAMI THE REQUIEM)
https://twitter.com/KISAKI_OFFICIAL
https://www.youtube.com/watch?v=jKcGQsImtc8
(12月31日 15:00までは見れません)

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