【インタビュー】ACIDMAN、大木伸夫が語る映画『ゴールデンカムイ』主題歌「“輝けるもの”という言葉がピタッとはまった」

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ACIDMANが1月17日、約3年ぶりとなるシングル「輝けるもの」をリリースした。タイトル曲は累計発行部数2700万部突破コミックの実写版映画『ゴールデンカムイ』の主題歌として書き下ろされたもの。もともと原作漫画のファンだったという大木伸夫(Vo, G)が描いた世界観は、静と動を併せ持つ彼らのサウンドスタイルにあって、激しくソリッドなロック感が前面に押し出された仕上がりだ。

◆ACIDMAN 画像 / 動画

「エンターテインメントとしてすごく考えられている」とは『ゴールデンカムイ』に対する大木の印象だが、楽曲「輝けるもの」はまさにその言葉そのもの。38秒にわたる長尺のイントロからしてドラマティックな疾走感が止まらない。四つ打ちビートやグルーヴするベースラインが高揚感を煽り、キレ味鋭いギターバッキングが空間を切り裂いてテンションが高い。一方で、二番サビ前のセクションでは激しいロックチューンに、彼らならではの静の部分を同居させることに成功した。『ゴールデンカムイ』よろしく、1曲のなかにサウンド面でさまざまな要素をぎっしり詰め込んだエンタテイメントとして確立してしまった楽曲が「輝けるもの」だ。

超話題作『ゴールデンカムイ』について、その主題歌「輝けるもの」の制作過程について、映画と音楽の関係性について、大木伸夫にじっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。なお、先ごろ公開したインタビューではベストな選曲によるライブシリーズ<This is ACIDMAN>についても語ってもらったばかりだが、シングル「輝けるもの」初回限定盤には、ライブDVD『This is ACIDMAN 2023 at Zepp Haneda (2023.10.30)』が付属する豪華仕様となる。


   ◆   ◆   ◆

■『ゴールデンカムイ』の物語がなければ
■絶対に作っていない曲だと思います


──前回インタビューのとき、すでに映画『ゴールデンカムイ』の主題歌を手掛けることが決まっていたわけですよね。驚きました。

大木:そうなんです(笑)。インタビュー取材のときはまだ情報解禁前で、主題歌のことが何も言えなかったから、申し訳ないと思いつつではあったんですけど。

──シングル「輝けるもの」は映画『ゴールデンカムイ』主題歌として書き下ろされた新曲とのことですが、どういう経緯で主題歌のオファーがあったのでしょう?

大木:実はそんなに前からではなかったんです。最初にご連絡をいただいたのはユニバーサル(所属レーベル)のトップの方からで。これは映画用のコメントにも書いたんですけど、そのとき、まさにライブ直前で、衣装を着てイヤモニもつけている状態だったんです。その前から携帯電話に着信があったんですけど、ライブの準備をしていたので後でかけ直そうと思ってたところ、開演20分前くらいに再び電話が鳴ったんですよね。

──それは気になりますね。

大木:そう。“これは何かやばいことでもあったのかな?”と思って、焦りながらかけ直したら、「急でごめんね。今、主題歌の話があるんだけどやらないか?」っていう連絡だったんです。「もちろん、やりたいです」と即答して。


──映画用コメントでは、電話をもらった時点で「すぐにイメージが沸いた」とありますが。

大木:湧きましたね。もともと原作漫画の『ゴールデンカムイ』が大好きだったんですが、実写版映画として制作されることは知らなかったんです。だから、その電話でも「実写ですか!?」とかいくつか質問させてもらいつつ。「音楽は激しく荒々しくみたいな感じ」というイメージをそのときに聞いたので、“実写だとしたらきっとこういう画だろうな”とか“バトルアクションになるだろうな”とか、勝手にイマジネーションを膨らませたものが、結果的に「輝けるもの」になっていったという感じなんです。

──具体的にリズムとかメロディーとか言葉が、そのときに浮かんだのでしょうか?

大木:電話があったライブ20分前にすぐトイレに駆け込んで、バーっと浮かんだイメージをボイスメモで録って。それがイントロダクションの部分です。頭の“♪ジャーンジャーンジャーン”みたいなところですね。そこから、制作の打合わせをする前に…僕ビビリだから仕事は早くしないと怖いので(笑)、そのライブの翌々日くらいには、大枠のメロディを作っちゃったという。

──めちゃくちゃ仕事が早いですね。

大木:本当に怖がりだから、早めに準備しようという感じです(笑)。

──その打合せで制作進行が加速した感じでしょうか?

大木:きっと映画には、「Stay in my hand」(2014年シングル)みたいな曲の感じが合うだろうなと思いながら、最初は作っていたんです。その後、プロデューサーの松橋(真三)さんとのリモート打合わせで、「実はACIDMANの「Stay in my hand」の感じをイメージしてて」と言われたときには鳥肌が立ちましたね。すでにACIDMANには100曲以上あるし、激しい曲もたくさんあるなかで、“同じ景色を見ていただけているかもしれない”と思って、すごく自信になりました。


──すでに書き始めていたという新曲の断片もその打合せで聴いてもらったり?

大木:いや、そこでは聴いてもらわなかったですね。まだメンバーにも聴かせていない段階だったので。僕のなかだけで、ある程度のコード進行とメロディができている状態で、こういう曲にしようかなっていうのはありましたけど。その打合せ後、原作を読み直したりしながら、様々な角度から曲を確かめて。でも、打合せから2週間後くらいにメンバーやマネージャー、スタッフに聴いてもらったと思います。

──そもそも、なぜ今回、ACIDMANに主題歌をオファーしたかという理由は聞きました?

大木:原作『ゴールデンカムイ』の雰囲気から、「大人にしか出せないものが必要だ。若い人たちの最近の音楽ももちろんいいんだけど、もっと深みがほしい」ということを言っていただけたんですよね。あとは、僕の声質だったりACIDMANの世界観じゃないですかね。ちょっとウェットで重めなところがシンクロしたのかなと。


──大木さんは『ゴールデンカムイ』の原作ファンだったとのことですが、その魅力とか面白さはどんなところだと感じていますか?

大木:『ゴールデンカムイ』は、まず設定が素晴らしいんですね。北海道の自然のなかで美しい生き方をしているアイヌの人たちと、一方で、僕たちも含めて形のない幻想…ここでは金とか金塊を追い求める欲望にまみれた人たちという、その対比がものすごくうまい。僕にはまずアイヌの人々の知識があまりなくて、以前一冊本を読んだくらいだったんですけど、シリアスな話になりがちなところを、エンターテインメントでまとめている。その終わり方も、“ここまで映画を観ているようなドラマティックな漫画ってないよな”っていうくらい。シンプルでわかりやすい大団円だし、エンターテインメントとしてすごく考えられている。

──漫画は単行本30冊以上にわたるものですが、今回の映画の印象は?

大木:このインタビューが公開される頃には映画も封切りされていて、すでにご覧になっている方もいると思うんですが、ネタバレしないように話すとすれば、映画も終わりが素晴らしい。“次、どうなっていくんだ!?”ってワクワクさせるし、その頂点で終わるんです…ネタバレかな(笑)。この映画はまさに、始まりの第一歩という印象です。

──となるとイメージとして、物語の始まりを音楽でも描いていったということでしょうか。作品の壮大なテーマを描いたというか。

大木:う〜ん、この曲はもう捧げたものなので、そう言い切っていいのかわかりませんが。だけど、「ACIDMANのアイデンティティも入れてください」と言っていただけたので、『ゴールデンカムイ』に寄り添いすぎないようにしたし。でも、この物語がなければ絶対に作っていない曲だというのはあります。

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