【インタビュー】THOUSAND EYES、初のライブ盤&初期2作品リマスタリング盤発売「自分たちの満足できる作品が作り続けられれば一番幸せ」

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メロディックかつエクストリームなメタルサウンドを轟かせてきたTHOUSAND EYESが、初のライブ盤『GALLERY OF DESPAIR - LIVE』を1月24日にリリースした。

同作は2022年12月17日に行われた東京・渋谷サイクロンでの結成10周年記念公演を軸にしつつ、『BETRAYER』(2022年)のリリースツアーで収録されたテイクも含むベスト盤のような構成になっているが、何より特筆すべきなのは、実際のパフォーマンスが脳内で再現されるほど鮮烈な音像だろう。バンドの力量の高さが改めてわかる、ライブアルバムならではの魅力を明確に伝える傑作に仕上がった。

また同日には廃盤となっていた初期2作品『BLOODY EMPIRE』(2013年)と『ENDLESS NIGHTMARE』(2015年)をリマスタリング再発。さらにこの3枚をパッケージしたデジパック限定盤『DECADE OF BLOODY NIGHTMARE』も発売された。

彼らのポテンシャルがわかる今回の作品群について、リーダーのKOUTA(G)に話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

◾️ずっと聴き続けられる、ベスト盤のようなアルバムは目指したかった

──以前から、『BLOODY EMPIRE』の発売から10年が経つタイミングで、廃盤状態になっている初期の2枚のアルバムをリマスタリング再発をしたいという話はしていましたが、今回の作品群のリリースの発端は、まずそのアイディアがあってというところですよね。

KOUTA:そうなんですが、いろいろ重なってもいるんですね。元々、結成から10周年を迎えるのを記念して、ライブ盤を作りたいという話もあったんですよ。『BLOODY EMPIRE』と『ENDLESS NIGHTMARE』については、再発するに当たり、せっかくなら何か新しい要素が入っているものをという話もあって、リミックスとか、リレコーディングとか、いろんなアイディアがある中で、最終的にリマスターに落ち着いた感じです。それからデジパック仕様のものに関しては、昔から作りたかったんですよ(笑)。だから、レーベル側にちょっと無理を言ってお願いして。第一段階では、ファーストとセカンドのリマスター盤に、おまけ的にライブ盤をボーナスディスクとして付けることを想定していたんですね。

──もうその時点で、デジパック仕様の商品を作るのは前提だったんですね。

KOUTA:そうですね。ただ、ライブ盤のミックスが上がってみたら、あまりに良すぎたんで、これは単体で出そうという話になって。このライブテイクに関しては、当初は『BETRAYER』のリリースツアーのファイナル(2022年10月28日=東京・渋谷O-WEST)を映像作品にするアイディアがあったんですよ。そこでツアー途中の音源も録りつつ準備していたんですが、YU-TO(Dr)のジストニアによる不調だったりもあり、そのまま映像に残すのはちょっと難しいということで、ツアーファイナルの撮影は一旦なくなったんですね。その後、元々企画していた10周年記念のライブで音だけを録ったんです。その頃にはYU-TOも復調していたので、最初に録っていたツアーの分と合わせれば、1枚のライブ盤として仕上げられるだろうと。


──当初の形とは違ったとはいえ、『GALLERY OF DESPAIR - LIVE』の素晴らしさには驚きましたよ。確かに音から凄まじい勢いを感じ取れますよね。

KOUTA:ありがとうございます。基本的にはサイクロンで録ったものをメインにしているんですが、選曲自体は、その日に演奏した全曲を入れようと思ってたんですね。そのうえでツアーで録っておいた中から、自分が入れたいなと思った、出来のいいものをチョイスして。

──この音源に触れるだけでも思い出すことは多々あると思いますが、この10周年記念公演はどんなライブだったと振り返りますか?

KOUTA:どんなライブだったか……YU-TOのジストニアだけではなく、実はDOUGEN(Vo)もちょっと喉を壊してたりしてたんですよ、ツアー終盤から10周年ライブにかけて。その意味では、ちゃんとツアーが終わるんだろうかとか、10周年ライブを果たして開催できるんだろうかとか、当時は不安もありつつ進めていたところはあったかもしれないですね。

──KOUTAくんにしても、それこそ体調万全だったわけではなかったですよね。

KOUTA:あぁ……左腕を手術した影響で、もうずっと痺れてる状態なんですけど、それこそ、そのライブ10周年ライブの頃からは、痺れているのが当たり前になってきてたんですよ。だから、今も言われて思い出すぐらいの感じで。確かにツアーの最初の頃とかは、ずっと洗濯ばさみで挟まれてるような感覚で、すごくストレスはあったんですけどね。日常的にギター弾くことすらストレスになってましたし。


──ライブアルバムというものに対しては、どんな考え方を持ってました? 自分が衝撃を受けた、感銘を受けたライブ盤もあるのではないかと思うんですが。

KOUTA:すぐに思い出すものとしては、JUDAS PRIESTの『UNLEASHED IN THE EAST(LIVE IN JAPAN)』(1979年)と『PRIEST...LIVE!』(1987年)はすごくよく聴いてましたし、イングヴェイ・マルムスティーンの『TRIAL BY FIRE : LIVE IN LENINGRAD』(1989年)や『LIVE!!』(1998年)、UFOの『STRANGERS IN THE NIGHT』(1979年)、それからSLAYERの『DECADE OF AGRESSION』(1989年)辺りは、当時から「こういうものを作りたい」って思いながら聴いてたアルバムでもあるので、今回の制作に当たっても参考にした部分は結構あります。特にJUDAS PRIESTの場合は、かなり作り込んでるライブ作品なのかなと思ってるんですけど、自分たちもライブ感はちゃんと感じさせつつも、生々しさの追求とかより、ずっと聴き続けられる、ベスト盤のようなアルバムは目指したかったですね。

──実況盤でありつつ、作品性も重視していたわけですね。

KOUTA:そうですね。完成度という意味では、想像していた以上に高いものになりましたね。そこは(ミックスを担当した)スタジオ・プリズナーのHiroさんのおかげもあるかなと思うんですけど、仕上がりにはすごく満足はしてますね。コンセプトというわけじゃないんですけど、ツアー各地のいろんなテイクを使っているとはいえ、一つのライブとして感じられるような統一感を出したかったんですね。だから、収録する際にもそういったことを想定していましたし、ミックスの段階でも現代のテクノロジーを駆使してもらって。僕は収録時の状態も知ってるので、実際に一つに繋がったときは、本当にHiroさんは凄いなと思いました。MCのタイミングとかでフェイドインしてたりするんで、これは別日のものだってのは自分なりにはわかるんですけど、サウンド面はほとんど自分でも違いがわからないぐらいの仕上がりになってますね。

──その違和感のなさもポイントかもしれませんが、何しろ演奏が強靭ですよね。

KOUTA:そこはYU-TOの功績がデカいかなとは思います。変な話、ギターなどは生音を後でリアンプができますし、ギターの音の統一感という意味では、最初から最後までまったく同じ音で聴かせることができるんですよね。しかも、個人的に気になるところを直したりもできる。でも、ドラムって基本的に直せないんですよね。その意味でも彼の強靭なリズム感、その功績が一番大きいんじゃないかなと思います。


──セットリスト的には、当初はファーストアルバム『BLOODY EMPIRE』のリリース10周年を軸に想定していたわけですよね。

KOUTA:そうですね。だから、本当はファーストの曲をもっとたくさん演奏するライブを想定してたんですけど、(レコーディング時のメンバーではなかった)YU-TOのジストニアの影響もあって、計画していた回数のリハーサルを行うことが難しいことがわかったんですね。結局、その日は4曲を演奏するのが限界でした。ライブ・アルバムでは、ツアー中に演奏していた曲の中から「Endless Nightmare」「Rampage Tyrant」「Everlasting Trail」を追加収録していて、実際の曲順とは違うんですけど、これも他の曲と含めて流れがよくなるように、いろいろと工夫しています。

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