【フェスレポート】HY主催＜SKY Fes 2024＞前夜祭、“世界一クリーンなFes”をめざしたトライ「心の距離を近づけたい」

＜HY SKY Fes 2024 & 前夜祭＞が3月22日より3日間にわたり、沖縄県総合運動公園多目的広場で開催された。HYメンバー自らが装飾した会場内には、2023年の総動員数を超える2万5000人が来場し、HY含む全18組の豪華出演者が舞台を盛り上げた。“みんなで創り上げる最高の3日間” “誰も取り残さないフェス”のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆＜HY SKY Fes 2024 & 前夜祭＞ 画像

2024年で5回目を迎えた＜SKY Fes＞の特徴は、“世界一クリーンなFes”をめざし、アートとクリーン活動を絡めたさまざまな取組みにある。HYが自ら手がけた廃材アートの装飾だけでなく、楽器作りワークショップでも廃材を使用するなど、ゴミをリユースする取組みを積極的に行っている。



会場内で出るゴミへのアクションのいくつかも注目ポイントだ。＜SKY Fes＞では、各自にゴミの持ち帰りを呼びかけているため、全来場者にゴミ袋を配布している。そのゴミ袋には、前回の名嘉俊(Dr / HY)に代わり、今回は沖縄の新星イラストレーターMs.Little Chico (ミス・リトル・チコ)のイラストが施された。ただのゴミ袋よりも気分が上がるし、なによりかわいい。そのゴミ袋にゴミを入れて持ち帰るのも、また楽しい思い出のひとつとなる。

＜SKY Fes＞がめざす“世界一クリーンなFes”の意図を、来場者に近い距離でメンバーが直接伝えているのもポイントだ。自ら率先して会場内のゴミを拾ったり、前述したように廃材を使ったワークショップを開催したり、メンバー自ら示すその姿勢は、フェスのゴミ削減に大きな影響を与えていたようだ。ちなみに、＜SKY Fes＞終了翌日にもHYメンバーは、最後のゴミ拾いを行っていた。公園を貸してもらった感謝を忘れず、“来たときよりもきれいな状態で”会場を後にする行動は＜SKY Fes＞の、HYの魅力そのものだ。


キャンプサイトは前回に引き続き、早々に全券種が完売。豪華アーティストの歌を聞きながらバーベキューを楽しむキャンパーたちのゆるりとした雰囲気にほのぼの。テントの設営や撤去不要の“手ぶらでキャンプできるプラン”もあるので、キャンプデビューにもおすすめだ。

さらには“地球と子どもたちの未来のために”をテーマとして、2024年も子どもたちが楽しめるコンテンツが満載。アスレチックで遊びながら豪華アーティストのライブを楽しんだり、ワークショップに参加してHYメンバーと一緒に楽器を作ったり、けん玉やお絵描きを楽しんだり。大人がライブを楽しむだけでなく、子どもと一緒に楽しめるのも＜SKY Fes＞の特徴のひとつだ。

そして、メインステージとは別に設けられたグリーンステージでは前夜祭を開催。シンガーソングライター由薫(ゆうか)のパフォーマンスは、メインステージとはひと味異なり、距離感の近いライブを楽しむことができたと同時に、＜SKY Fes＞への期待を高めた。グリーンステージは翌日DAY1より、MASA MAGICによるマジックパフォーマンスが繰り広げられたほか、沖縄出身のお笑い芸人ありんくりんによるステージなどによって、歓声と笑い声が溢れる空間となった。



アクセシビリティサービスでは車いす席の用意や、聴覚・視覚障がい者へのライブ鑑賞サービスに加え、今回から手話通訳も導入。野外フェスに鑑賞サービスを導入したのは＜SKY Fes＞が全国初だという。また、フードエリアやトイレなどのホスピタリティ設備も拡充し、より多くの人が快適に過ごせるフェスとしてさらなるバージョンアップを果たした。

“子どもたちのすてきなキッカケの場所をつくりたい”というHYの叶えたい想いを形にしたのが、2023年よりスタートした3つのプロジェクト“＜SKY Fes＞のドキュメンタリー映画制作” “こども新聞” “こどもカフェ”だ。さらに2024年からは“ドキュメンタリー映画制作”に“MV制作”が加わった。これは、HYメンバーが＜SKY Fes＞のために書き下ろしたオリジナルソング「SKY」のMV制作と、そのメイキングや＜SKY Fes＞の様子を織り交ぜたドキュメンタリー映画を、沖縄県内の中高生が制作するというもの。完成した映像は、2024年5月19日に開催される＜SKY Fes＞後夜祭で、上映を行う予定とのこと。子どもたちがなにを感じて学んだのかは、その映像をとおして受け取ることができるはずだ。


2024年も3日間とおして天気に恵まれた。2023年は“マスクをしていれば声出しOK”という規制があったが、2024年はマスクも外してOKにとなった。久しぶりの観客の笑顔に、アーティストも観客も一体になって盛り上がる3日間となった。まずは、前夜祭のオフィシャルレポートからお届けしたい。

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【前夜祭 3月22日(金)】

＜SKY Fes＞本番前日である3月22日18時より、キャンプサイト脇に設けられたグリーンステージで、前夜祭が開催された。ゲストに沖縄生まれのシンガーソングライター由薫を迎え、約800人に特別なライブを届けた。

グリーンステージは、地上50cmほどの高さの舞台で、前列の観客との距離はわずか1mほど。この距離感の近さが、前夜祭の魅力のひとつである。ステージ前はランタンで幻想的にライトアップされ、オーディエンスはHYそれぞれが抱く＜SKY Fes＞への想いに耳を傾けた。





パネルディスカッションでは、うるま市の市役員を迎え、うるま市の魅力や特産品を紹介。ゲストの由薫も参加し、うるま市の観光大使であるHYとのクロストークで、会場を沸かせた。

ネスレ日本(株)、沖縄エスファウ(株)、(株)又吉コーヒー園とのパネルディスカッションでは、沖縄で育てるコーヒーについての説明が繰り広げられた。そして、沖縄でのコーヒープロジェクトをベースに作られた、HYの新曲「明日種〜アシタネ〜」を紹介。中山コーヒー園、又吉コーヒー園で撮影されたMVをみんなで観て、多幸感あふれる曲に会場から拍手が湧き上がった。

日が沈みはじめた19時前、ランプの灯りに包まれるなか、いよいよ前夜祭のライブステージがスタート。






まずは由薫によるライブステージだ。1曲目はドラマ『たとえあなたを忘れても』の主題歌にもなった「Crystals」を披露。アコースティックギターの音色と、由薫の透きとおった歌声、そして彼女が持つ世界観に、一気に引き込まれた。沖縄でのライブは今回が初めてであり、「沖縄を想い、曲作りをしていることも多い」と語り、この舞台に立てる喜びを伝えてくれた。

2曲目には雰囲気を変えて、アップテンポな楽曲「Rouge」。力強いギターと声で歌い上げ、3曲目「No Stars」につなげた。沖縄で見る星が大好きで、「沖縄のビーチで作った」と4曲目にドラマ『星降る夜に』主題歌「星月夜」を披露。ステージ裏に月がのぼり、雲ひとつない夜空と由薫が放つ音色で、とても美しい世界が広がった。そして最後の曲「sugar」を歌い上げると、大きな拍手と指笛が鳴り響いた。沖縄をルーツにもつ若き歌姫に、すっかり心をつかまれた約20分だった。





HYによるアコースティックライブでは、「俺たちもこの時間を楽しみたいと思います」と最初の曲「モノクロ」を披露。手拍子と掛け声のかけ合いで、1曲目から会場は大盛り上がりをみせた。「皆さんに笑ってほしい」と2曲目に「君のうた」を。「皆さんとの心の距離を近づけたいので」と、歌の途中で観客とのリズム遊びをはさみ、会場をひとつにした。

メンバー紹介に拍手と指笛が鳴り響くなか、＜SKY Fes＞へのそれぞれのメッセージを伝えた。特に仲宗根泉(Key, Vo)のトークは、前夜祭ならではの魅力がある。そして「みんなの歌です。第二の故郷は沖縄なんだと思いながら聴いてもらえたらうれしい」と3曲目「HAISAI」へつなげた。4曲目は、NHK朝ドラ『純と愛』の主題歌にもなった曲「いちばん近くに」を披露。新里英之(Vo, G)と仲宗根の、切ない歌声が会場中に響きわたり、ふたりの心のこもった一言ひとことが、心のなかに溶け込む時間となった。最後は新曲「明日種〜アシタネ〜」を初披露。サビのダンスをみんなで踊り、スペシャルな時間を終えた。



大きな舞台とは違う、目の前でのパフォーマンスに酔いしれ、これからはじまる2日間への期待を最高潮にして、前夜祭を終演した。

取材・文◎五十嵐梨花
撮影◎G-KEN／根原奉也／仲本潤







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