【インタビュー】deadman、“道徳の系譜”を意味する19年ぶりアルバムに混沌と美「矛盾や嘘はない。それこそ20年前から」

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deadmanが2024年3月30日、19年ぶりのオリジナルアルバム『Genealogie der Moral』をリリースすることに加え、ライブ会場および通販限定にてリテイクアルバム『living hell』を発売する。両アルバムともにサポートメンバーとしてお馴染みのkazu (B / gibkiy gibkiy gibkiy)と晁直 (Dr / lynch.)が全面参加するなど、現在のdeadmanならではの強固なバンドサウンドが凝縮された仕上がりだ。

◆deadman 動画 / 画像

タイトルにニーチェの著作でも知られる『Genealogie der Moral』(道徳の系譜)が冠された19年ぶりのオリジナルアルバムには全10曲を収録。2023年初頭の東名阪ツアーにて無料配布された音源「rabid dog」やMUCCとのカップリングCDに収録された「猫とブランケット、寄り添い巡り逢う産声」の新リミックスほか、本作のために書き下ろされた8つの新曲が収録される。

一方のライブ会場/通販限定リテイクアルバム『living hell』は、ライブで人気を博してきた過去の楽曲たちが新たにレコーディングされたアイテムとなる。同アルバム収録曲の「blood:2.0」にMUCCのミヤ、「follow the night light:2.0」にシドの明希がレコーディング参加、deadmanと縁の深い2人が楽曲に新たな息吹を注入した。なお、『living hell』は、今後配信の予定はない。

20年前からの変わらぬ本質と、現在の4人だからこその新たな進境に貫かれた2枚のアルバムについて、眞呼(Vo)とaie(G)にじっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■20年前と何も変わっていない
■セッションしながら作っている


──一昨年2022年に解散時のメンバーによるリテイクベストアルバム『I am here』、そして昨年2023年はkazuさんと晁直さんがサポートで加わった現体制でのリテイクアルバム『dead reminiscence』がリリースされました。そして、いよいよdeadman19年ぶりのオリジナルアルバム『Genealogie der Moral』が発表されます。リテイクアルバムのリリースと、その前後でツアーも重ねていくなかで、現在のこの4人でのdeadmanがだいぶ掴めてきた感じでしょうか?

aie:そうですね。どんどんkazu君と晁直との4人バンドっぽくなっていて。あのふたりからも「こんなことしましょうよ」という提案が出るので、サポートとは名ばかりの4人組バンドという感じではいますね。

──この体制となって最初にでき上がったオリジナル曲はどの曲ですか?

aie:これが思い出せないんですけど(笑)。確か2023年のクアトロツアーで配ったシングル「rabid dog」が、このアルバム用の曲を作り始めて3曲目だったのは思い出したんです。「今ある3曲のなかからどれをシングルに選ぼうか」と言ったのを覚えてる。記憶は曖昧ですけど、もう1曲がMUCCとのスプリットシングル『産声』に収録した「猫とブランケット、寄り添い巡り逢う産声」で、もう1曲は「宿主」。この3曲が最初にできたんじゃないかなと思うんです。

眞呼:うん、おそらくそうですね。

aie:そこから、“アルバムを10曲入りにするなら、こういう曲が足りないな”と埋めていった感じですかね。

──楽曲制作方法は、この4人となっての変化というか、当時とは異なる新しいやり方をしていることなどもありますか?

aie:今回はスタジオで、メンバー4人揃って“せーの”でやっていった感じですね。ちょっと違うなと思ったら、そこでアレンジを変えて、「ここのビート感、どうしようか」とかもメンバーと相談をしながら作ったという。で、いざ眞呼さんが歌ってみて、「キーを変えたほうがいいんじゃないか」ってなれば変えてみたり。そういう意味では、本当に昔ながらのやり方で、20年前と何も変わっていないんですよね。セッションしながら作っているというか。


▲眞呼(Vo)

──その方法がやはりdeadmanにとっては一番いいと。

aie:僕はそうですね。kazu君といくつか一緒にやっているバンド(The god and death stars / gibkiy gibkiy gibkiy)もそれに近くて。でも、晁直はlynch.とはまったく違う作り方だそうで、このやり方をすごく面白がってくれてますね。例えば、僕がギターをバーっと弾いて、なんとなくのドラムのアプローチを決めるんですけど。「ここで僕とkazu君は6/8拍子で弾くけど、ドラムのビートは4/4拍子でいて」とかだけは言って。「あとは好きにしていいよ」から始めていくんです。そのなかで気になる箇所があれば言うくらい。ほぼ晁直の好きなようにやってもらう感じなんです。

──それはこのバンドのムードなり世界観を理解しているからこそ遊べる面白さでしょうね。

aie:晁直とも3〜4年一緒にdeadmanをやっているし。結構スムーズに進みましたね。

眞呼:aieさんのビジョンがしっかりあるんですよね。「これってこうなのかな?」って訊いたときに、ちゃんと答えが返ってくる。ガイドになるようなデモテープがあるわけじゃないんですけど、曲の構成だったり、曲そのものの設計図がaieさんのなかにある感じなので。スムーズと言えばスムーズなんですよね。

──そのセッションの時点で、眞呼さんのメロディであったり、歌詞のテーマ性も引き出されていく感覚ですか?

眞呼:そうですね。たとえば私は、字面をいっぱい並べられて説明されるのは苦手で。その字面を絵で見せてくれたほうがわかりやすいタイプなんです。映画音楽であれば、“このシーンだったらこういう音楽だよな”っていうのが漠然とあると思うんですね。それと同じように、“この音楽だったら、この場面に当てはめられる”っていう感覚。それはすごく映像的なもので。そうなると歌詞も出てくるんですよね。

──先ほど挙がった3曲のなかでは、特に「宿主」のサウンドから映像的なものや感覚的なものが見えそうです。音の歪みや変則ビートから、ちょっとずつ何かが狂っていく感じが、音からも立ち上がってくるものがあります。この曲は、どういったイメージでしたか?

aie:「宿主」は元々、deadmanがよくライブのラストにやる楽曲「蟻塚」の世界観で。その位置付けにありながらちょっと明るく…というとまた違うんですけど。なので、仮タイトルは「明るい蟻塚」で。

眞呼:そうでした(笑)。

aie:そういう位置付けの曲だから、“これはアルバムのラストの曲なんだろうな”とは思っていたんです。で、曲の始まりのギターの譜割とか、それに対するドラムのアプローチを先に決めて。そこから、細かいところはみんなでアレンジを重ねていったという感じですね。

眞呼:ギターの音数があんなにも少ない…本当に難しい曲ですよね。誤魔化しが効かないから。

aie:難しいです。

眞呼:よくやるなとは思うんですけど(笑)。できるからこそ、ですね。


▲オリジナルアルバム『Genealogie der Moral』

──「宿主」のベースラインとメロディラインの兼ね合いも、不協に聴こえながら、いいハーモニーを築いているというか、独自の世界観を生んでいます。なんて表現したらいいのか…いろいろな歯車が、ちょっとずつかみ合いそうであり、狂いそうであり、という感覚が続いていく不穏さと、不思議な浮遊感が醸す雰囲気が印象的で。平衡感覚が奪われていくような曲ですね。

眞呼:いい表現ですね(笑)。自分で書いていながら、聴いてて“気持ち悪い曲”って思いますもん、やっぱり。薄気味悪いというか、“最悪だ!この曲”っていう。

aie:ははははは!

眞呼:でもそういうものが出せたな、という感じがありますね。

──最初に眞呼さんが「宿主」のサウンドから受けた印象はどういうものだったのしょうか?

眞呼:あらかじめ「蟻塚」というワードも出てしまっていたので、それも含めた上で聴いていたと思います。より重く、より深く、より絶望的なものにしようかなと。この歌詞の人物になったとしたら、もう本当に最低な人生だなっていう。求めていた優しさも束の間のもので、また絶望の繰り返し…ほんの一瞬だけ優しさを味合わせておいてどん底につき落とされて、それがまた繰り返されるって、もうゲロ吐きますよね。

──アルバムは「宿主」がラストナンバーでなく、インスト曲「dawn of the dead」で締め括られます。「宿主」があまりに壮絶ゆえ、最後ではないという感じですか?

aie:歌がある曲としては「宿主」が最後だと決めていたんです。一方で、インスト曲「dawn of the dead」を置く位置が難しいなとは思いつつも、1曲目だと普通だし。ちょっと洒落というか…20年前にもやっていた手法なんですけど、途中でニルヴァーナの曲のドラムパターンが入ってくるとか、そういうのにdeadman好きな人がピンときてくれたら面白いなと思って、「dawn of the dead」で終わるという。しかも、ちょっとライブの始まりを予想させるというか。“また始まるんじゃねえの?”っていう感じで終わるのがいいかなと。わりとすべて、そのときに思いついたものをパッケージしているだけだから、頭を使って考えたというよりは、瞬発力で物事を決めていくことのほうが多いかもしれないですね。

──「宿主」でアルバムが終わるのとは、また作品の読後感みたいなものが違いますしね。

aie:「宿主」終わりでもいいんですけど、あれでアルバムが終わると、ちょっと暗すぎるかなと。結局、最近はサブスクで聴く人が多いと思うので、そこから他の人の曲にいくのか、それともリピートで頭に戻るのかというのもありますが、そういうことも含めてインストが一番最後がいいのかなとは思って。で、また1曲目に戻るみたいな。

眞呼:あとは、映画でいうとラストシーンに主題歌が流れて、エンドロールがあって最後にインストみたいなのが流れてというのがありますよね。その感覚ですね。結果、その余韻がより痛々しさを感じさせるっていうのはあると思います。

aie:それだ! エンドロールだ。

眞呼:アルバムの1曲目や真ん中あたりにインストを挿入するのはよくあるケースで。最後に持ってくるのってほぼないんですよね。新しいアプローチの仕方をdeadmanがやったというか。

◆インタビュー【2】へ
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