【インタビュー】WANDS、『名探偵コナンvs. 怪盗キッド』テーマソング「大胆」に挑戦「初々しい気分でいられるのは嬉しい」

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WANDSが4月10日、TVシリーズ特別編集版『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』テーマソング収録CDシングル「大胆」をリリースする。『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』は、4月12日公開の劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』のキーパーソンとなる“月下の奇術師・怪盗キッド”の誕生や、ライバル“コナン/新一”との初対決など、TVシリーズ伝説回を再編集して劇場公開されたものだ。「大胆」は『名探偵コナン vs. 怪盗キッド』のために怪盗キッドをテーマとして書き下ろした新曲となる。

◆WANDS 画像 / 動画

音源としては通算7thアルバム『Version 5.0』以来約8ヵ月ぶり、CDシングルとしては通算20thシングル「RAISE INSIGHT」以来約11ヵ月ぶりとなる新曲「大胆」は、作詞を上原大史、作曲を柴崎浩が手掛けた。サウンドはスリリングでスタイリッシュ。颯爽として鮮やかな曲展開が、怪盗キッドのイメージをそのまま音像化したような仕上がりだ。言葉は鋭く艶やか。コナンとキッドの関係性も滲む人間ドラマが歌詞に描かれた。

BARKSでは「大胆」制作過程やレコーディング秘話について、特にサウンド&プレイにも着目しつつ聴きどころを深く語ってもらった。また、これまでシングルのカップリングにはWANDS過去曲の第5期によるセルフカバー収録が定番化していたが、今回初めて新曲が通常盤に収録されている。従来のWANDSサウンドと異なる曲調も新しい「honey」について、そして名探偵コナン盤に収録された「真っ赤なLip [LIVE ver. from WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜]」に漲るバンド感について、さらに6月より開催される第5期初ホールツアーについて、じっくりと訊いたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■恋愛的な戦いとコナンとキッドの戦い
■どちらにも受け止められるように


──新曲「大胆」はTVシリーズ特別編集版『名探偵コナンvs. 怪盗キッド』のテーマソングです。制作にあたって、『名探偵コナン』サイドから曲調や歌詞について要望などはありましたか?

柴崎:今回は結構ありましたね。WANDSスタッフと『名探偵コナン』スタッフの方とで話を詰めた結果、わりと細かく…たとえば、怪盗キッドが現れる時の劇伴があって、「それを彷彿とさせるフレーズなり、音色なりをイントロに差し込んでもらえたら嬉しい」とか、ものすごく具体的なリクエストもいただきました。あとは、基本的に疾走感があるもの、怪盗キッドのイメージに合うものとか。もし楽曲と怪盗キッドのイメージが合えば、「今後の『名探偵コナン』でも登場テーマソングとして使いたい」ということもおっしゃっていただいたようです。

──イントロのストリングスは、まさに怪盗キッドを思わせます。

柴崎:実は最初、『名探偵コナン』側の要望を踏まえた曲作りにトライしたんですけど、自分のなかでどうもしっくりこなくて。一旦すべてをリセットして、怪盗キッドのイメージを自分なりに表現してみようと思ったんです。それで、怪盗キッドから受ける大きな印象だけをもとに制作していったという。そのなかでイントロは、かなり最後のほうにできた感じで。できた時には僕自身、“これはいいでしょう”と思いました(笑)。

──途中で思い切って考え方を変えたことが良い結果につながったんですね。では、「大胆」はどんなイメージをもとに作られたのでしょう?

柴崎:怪盗キッドをイメージした時、Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)といったパートの切り替わりのコントラストをしっかりさせて、鮮やかな曲が書けたらいいなというのがおぼろげにあって。そういうビジョンから制作に入っていきましたね。Dメロみたいなところはフルアレンジを作っている流れでできたんですけど、“泣きの部分があると上原(大史 / Vo)がなにかいい歌詞を書いてくれるかな”…みたいな(笑)。

上原:えっ、そうなんですか? それは知らなかった(笑)。でも、たしかにDメロはロマンチックで、エモーショナルなパートじゃないですか。そういう要素が入っているのは、僕もすごくいいなと思いました。

──もうひとつ。この曲はサビで転調しますが、そのキーのまま間奏に入って途中で元のキーに戻りますよね。このアレンジがすごくいいですね。

上原:戻し方、カッコいいですよね。

柴崎:転調してしまったがために、戻らないといけないという(笑)。どうやって戻ろうかなって結構苦労しながら考えました。

上原:戻し方はセンスが問われるところですから、悩むところですよね。いきなりガーンと戻す方法もあるし、しれっと分からないように戻す方法もある。いろいろあるなかで、どれを選ぶかという。

柴崎:そうだね。だから、転調したり戻したりというのがあると考え込むけど、カッコよくもなり得るというか。この曲は、いい感じにできたんじゃないかなと思います。


▲上原大史 (Vo)

──間奏の途中でスパッと切り替わるのが快感ですし、そこにも怪盗キッド感があります。上原さん、「大胆」の歌詞についても話していただけますか。

上原:歌詞も『名探偵コナン』側からリクエストのようなものがありまして。「大胆」はタイアップありきの書き下ろし曲なわけですが、「あからさまな歌詞じゃないほうがいい」という要望だったんです。つまり、“コナン × 怪盗キッド”の大義感みたいなものは出してほしいけど、それを直接的なワードを使わずに表してほしいというもので。前回担当したTVアニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマ「RAISE INSIGHT」(2023年5月発表)みたいなリンクのさせ方ですよね。前回は偶然それができたんですけど、今回はそれを狙って書くという。アニメに寄り添い過ぎず、しっかり怪盗キッドをイメージさせるもので、なおかつスタイリッシュな感じを意識しつつ。そこで結構頭を悩ました部分はありましたね。

──怪盗キッドをイメージさせながらもライバル関係や恋愛要素も思わせる言葉なども入っていて、なおかつ全体としてはロマンが香る絶妙な歌詞になっています。

上原:ありがとうございます。恋愛的な戦いとコナンとキッドの戦いを混ぜ込んで、どっちにも受け止められるような感じにしているので。

──『名探偵コナン』が好きな方も、WANDSリスナーの方も楽しめる仕上がりですね。では、「大胆」のギターやボーカルのレコーディングはいかがでしたか?

柴崎:ギターはストレートな感覚です。あまりたくさん工夫しないみたいな。

──すす、すみません。ストレートではないと思いますが…もちろんいい意味で。

柴崎:そうですか?

──たとえば、イントロやサビなどは左右のチャンネルのギターが有機的に絡み合うアンサンブルになっていますし。

柴崎:そう言われるとそうですね(笑)。完全なダブルではなくて、左右で少し違うフレーズを弾いています。左チャンネルはわりと歪みを抑えた感じでコード感を出して、右のほうはファットな感じにしたような。単なるディストーションサウンドの白玉(全音符や二分音符)でもありといえばありですが、リズムを出せたらいいかなみたいなアプローチです。


▲通常盤

──ステレオ感を活かしたバッキングがすごく心地いいです。そして間奏はキメの合間で速いフレーズを弾いて、そこからバンとギターソロに突入するかと思ったら…。

柴崎:いかないんですよね(笑)。

──それがカッコいいと思いました。

柴崎:何小節かに一回出てくるフィルインが、わりと次に出てくるフレーズを待つ感じがあって。それを聴かせるほうがいいのかなと思ったんです。

──しかもキメ合間のフレーズが結構テクニカルですよね。

柴崎:そう。ここは「大胆」で一番難しかったかもしれない(笑)。

──“ダリダリダリッ”という速いフレーズはタッピングでしょうか?

柴崎:いえ、ハンマリングとハイブリッドピッキングというのかな。一番最後の音は右手の中指で弾いています。

上原:右手はピックと中指の両方を使うパターンですね。

柴崎:そうそう。全部ピックで弾こうとすると、最後の音は弦が飛ぶから間に合わないんですよ。それで中指で弾くことにしました。

上原:それが独特なニュアンスになっていて、すごくカッコいいです。

──同感です。ボーカルレコーディングはいかがでしたか?

上原:基本的には気持ちよく歌えましたけど、どう歌おうかな?と思ったのがDメロですよね。

──先ほど柴崎さんが、「泣きの部分があると上原がなにかいい歌詞を書いてくれるかな」とおっしゃってた部分ですね。

上原:そう。全く違うセクションとしてDメロが曲中にガッと入ってきたので。このドラマチックな展開をどう表現するかというところで、結構なパターンを録りました。

──Dメロの歌は思いが溢れた感じになっていて、すごく聴き応えがあります。

上原:僕が普段あまり使わないファルセットを用いて、儚い感じを少し入れてみました。

──表現の選択肢が広くて、それぞれのセクションに最も合う歌を歌えるというのは、さすがですね。

柴崎:そう、さすがだと思う。

上原:いやいやいや(笑)。

──声に色気もある上原さんは、本当にいいシンガーだと思います。

上原:色気があるというのはよく言っていただける言葉なんですけど、自分の人生で色気を意識したことがあまりになさ過ぎて全く分からない。ただ、スケベなだけじゃないですか(笑)? 内面のスケベなところが出ちゃっている。

柴崎:色気を押し出すわけではなく滲み出てしまう、というのがいいんじゃないかな。

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