上昇する、若きエネルギー。

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 ライヴ開演直後、Jesseのギターがトラブルを起こした。いきなりのトラブルに同情したのも束の間、Jesseはギターを振り払って、猛然とオーディエンスに襲いかかる。マイクを片手にオーディエンスを煽り、しまいにはダイビングまでやってのける。何だこのハイテンションはっ! しかもその余裕!! 3ピースバンドの中核となるギターが鳴っていないにもかかわらず、バンド全体はものすごいうねりを生んでいる。アップライトベースをドライヴさせるTokieは汗ひとつかかずにオーディエンスの内臓に振動を与え、それを強引に導くような金子統昭のグルーヴがその空間を支配している。

 2曲目は「PLUG」。Jesseのギターも完全復活し、ますますRIZEのテンションは上昇。<hip hop 2000 & rock 2000 ! >というフレーズに、RIZEのサウンドがうまく凝縮されているなぁなどと思っていたら<one for the money, two for the show ~>なんてロックの創生期から伝わるフレーズまでカバーしてしまう。ヒップホップとかハードコアとか、世間のカテゴライズに対する嫌悪感を漂わせつつも、それぞれのジャンルに対するリスペクトをストレートに表現することを恐れない。Jesseのライムにはそんな潔さを感じるのである。

【セットリスト】1.MUSIC
2.PLUG
3.BACK FIRE
4.KING SIZE
5.必殺
6.カミナリ

 RIZEはベテランじゃない。少なくとも彼らのルックスからすればそうだ。しかし、返す返すもこの余裕はすごい。その演奏力がそうさせていることは言うまでもない。細かいことまで言うと、Jesseが曲間のMCでリラックスしたトークでオーディエンスをいじりながら、何のストレスもなくギターのチューニングをしているのを見ると、往年のミュージシャンを想像してしまう。彼にとってのギターは、“楽器”なんていうよそよそしいものじゃないように思える。

 途中、ベースのTokieはアップライトベースから、エレキベースへ持ち替えた。もちろんヴォルテージは上がる一方。ドラムの金子もオーディエンスをいじり始めた。“ものすごい状況になってきたなぁ”と思い始めたころ、曲はラストの「カミナリ」に突入。この日は6曲を演奏したのだが、“この上がり切ったテンションをどうしてくれるっ!”と思った人は私だけではないはずである。

 これからもRIZEは<KAMINARIを落としに! KAMINARIを大都市に!>行く模様である(小都市にも行くかも)。今のうちに身近な距離で、彼らのカミナリに直撃されておくことをおススメする。

文●元井靖行

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