新たな出発
天国か地獄かはその人次第。 ElevenのAlain Johannesが夢見ていること。 「スーパーマーケットの通路に商品案内の目印がなく、ベビーフードの隣に電球があるみたいに、あちこちに商品がばらばらに置かれていたら…まるで『買うべきもの!』って感じだったら、そりゃ最高だろうね! 店に行くのがずっと楽しみになるよ」 しかし様々な影響が冒険色豊かに混じり合っていることは確かだ。純粋なポップと中近東風メロディが出会い、バロック風キーボードがカーニヴァル調のにぎやかな音と並び、美しいメロディが温かみのあるアコースティックギターと絡みあう…そして案内の目印はない。それでもすべてに合点がいき、すばらしいサウンドが生まれている。Elevenの得意技は抑制された混乱であり、Johannesによればそれはロックバンドだけに許されることだという。 「その傘の下では自由自在に動き回れる。詩情や、あらゆる種類の音楽から受けた影響を持ち込んで、ある種の信念と集中力とロックミュージックだけに固有の感覚とを一緒に解き放つ。それはスタイルというものとは違う。切れ味のあるギターの音を指すのでもない。すべての音楽様式の中で最も自由なものだよ」 彼らの付き合いは、Red Hot Chili Peppersのメンバーも在籍していたJohannesの'80年代初期のバンド、What Is This時代にさかのぼる。 このバンドの解散後、JohannesとShneiderはWalk The Moonを結成、後にドラマーのJack Ironsが加わってElevenが誕生する。3枚のアルバムを制作後、'95年、アルバム『Thunk』の制作中にIronsはPearl Jamに加入、その穴をGreg Upchurchが埋めた。 「たくさん曲を書いて、自分たちを再発見しようと努めていた。自信と、音楽ビジネスの狂気に汚されてしまった自分たちと音楽とのピュアなつながりを、取り戻そうとしていた。まさにそんな時だよ、Soundgardenがヨーロッパツアーに俺たちを連れて行き、さらに経費も出してくれたのは…俺たちのツアーをサポートしてくれるレコード会社はなかったから」 「本当に手厚く面倒みてくれたのよ。」 それがきっかけとなって、Cornellのソロアルバム『Euphoria Morning』を彼らのホームスタジオで一緒に作ることになった。 「彼はエゴを捨てきる大いなる努力をしたわ。彼が信じるすばらしいもののために」とShneiderは語る。 「彼は誰ともコラボレートする必要はないの、だってあれだけ才能があって、大きな視野を持ってる人だから」 そして今そのアルバムは発売されたが、Elevenはまた同じジレンマに直面している…彼らの音楽が特定のジャンルには収まりきらない、胸躍るようなロックチューンばかりだからだ。 もっとも、それを気にしているわけではない。 「『買うべきもの』というカテゴリーだよ!」 by Janiss Garza |