【特別レポート第1弾】ジョン・レノン・ミュージアム

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9つのゾーンでたどるジョンとヨーコの足跡

ジョンの誕生日が、誕生日 -。 10月9日、埼玉県与野市のさいたまスーパーアリーナ内に、「ジョン・レノン・ミュージアム」がオープンしました。オノ・ヨーコさん公認の世界で初めての公式ミュージアムです。ロンチ・スタッフはこのオープンに先駆けて、内覧させてもらいましたので、レポートをお届けします。

 

なぜ日本? なぜ埼玉? というのは、第2弾の「オノ・ヨーコさん記者会見」を参照にしていただくとして、まずは館内の様子を。

スーパーアリーナ自体はスポーツ試合やコンサートなどを行なう会場で、最大で3万7000人の収容が可能。さまざまな催し物に合わせて形を変えられるハイテクもので、そこの4、5階部分にジョン・レノン・ミュージアムはあります。

アリーナ自体、スペースにかなり余裕を感じさせる作りであるのと同様、ミュージアムもエントランスからして広々とした空間を使っています。しかも、色は白一色。余分なものは何一つ置いてません。あるのは、インフォメーションコーナーだけ。この真っ白さから「Imagine」の映像を連想しながら、入場しました。

このミュージアムは、「シアター」、9つの「ゾーン」、「ファイナルルーム:メッセージ」から成り、時代を追ってジョンの生涯を紹介しています。

まず「シアター」では約7分の映像でジョンの生涯を紹介。紆余曲折の40年を、7分に凝縮するのはちょっと無理があるかぁなんて思いながらも、次の「ゾーン」への期待感を膨らませてくれます。

リッケンバッカー325。ビートルズ初期のジョンのトレードマークだ

9つの「ゾーン」には約130点の品々が展示。ゾーン1、2はジョンの生誕からビートルズのデビュー直前までを紹介。11歳のころに手書きで書き綴った雑誌や、ジョンがはじめて手に入れたリッケンバッカーのギター(325メイプルグロウ)を展示。ほかにも、盤に溝を入れてレコードを作るカッティングマシンなども置いてあり、時代を感じさせるものがたくさん。会場の作りも、キャバーンクラブ(ビートルズの地元リバプールにあったライヴハウス)を意識してか、レンガ仕様になっています。

そして、ゾーン3はビートルズ時代のものを展示。やはり人で賑わっています。特に集中していたのがリッケンバッカー325ジェットグロウ。ジョンのトレードマークといえば、この黒いギターでしょう。ボディ側面に演奏曲順が書いたメモが貼ってあるという生々しいものです。ほかにもパスポートやアルバム『Sgt.Peppers Lonely Hearts Club Band』のジャケットで着ていた衣装も展示されています。

そしてエスカレーターを使って5階へ移動。

ゾーン4はジョンとヨーコさんの出会いをテーマにした部屋。2人が出会うきっかけとなった個展会場のように、ヨーコさんのアートが並びます。ここにちょっとした隠しアイテムあり。なんの説明書きもな

い電話がポツリとあるのですが……。これはなんと、ヨーコさんが直接ここに電話をかけてくるというもの! いつかかってくるかは、ヨーコさんの都合次第。週1回か、月1回になるか分からないので、電話の前でずっと待たれると困ります、と会見で言ってました。

Sgt.Peppers~』のサイケなミリタリー衣装。隣は中期からジョンのメインギターになったエピフォン・カジノ

そしてゾーン5から9は音楽だけでなく、ジョンの赤裸々な政治活動が見て取れます。なかでも、1stソロアルバム『ジョンの魂』の制作に向けさせた精神療法本「プライマル・スクリーム」の著者であり、実際にジョンを診たアーサー・ヤノフの取材映像は注目。客観的にジョンを語っていて説得力があります。後半のゾーンはヨーコさんとの接点の多い展示物が多く、家族の写真や生活感ある小物が目立ちました。

そして“1980年12月8日”。ジョンがNYのダコタハウス前で銃殺された日付を記した壁を最後に、「ゾーン」は終わります。

どんどんと白で埋め尽くされていくゾーン。まるでジョンの魂が昇華され、純粋になっていくかの演出は、ピュアになっていくジョンの心を表現すると同時に、故人であることを再確認させられます。

3本のネクタイのうち、中央のものはヨーコさんの手縫いだという。右上の小物入れは、ジョンが亡くなったときのままになっている

「ファイナルルーム:メッセージ」は、まさに真白で天井の高い空間。ここにはジョンが残した詞、言葉が壁に記されています。並べられた椅子も透明なもので、色があるのが自分(人間)だけといった感覚で、イヤでも落ち着いてしまうスペースです。でも、この日集まっているのは報道陣。5分後に始まるオノ・ヨーコの記者会見に間に合わせようと、バタバタしてました。

この博物館がジョンのすべてではないと思います。ひとりの人間を、ジョン・レノンという人間のすべてを表現することは、どだい無理な話ですから。でも、ちょっとずつジョンに近づいて「こういった人間がいたんだ」と感心するもいいし、よだれを流して「お宝ものだぁ」と感嘆するもいい。来場者それぞれの思いで、ジョンを感じれば……。そういう意味では博物館として、癒し空間として有効なスペースです。

他にも、プログラムやTシャツ、ポスターなどを販売しているショップや、ジョン・レノンが'76年から4年間避暑用の定宿していた軽井沢の万平ホテルが運営するカフェがあります。

文●星野まり子(00/10/13)

オノ・ヨーコさん記者会見レポートはこちら

 

ジョン・レノン・ミュージアム
■開館時間:11:00~18:00(金曜日は~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
■休館日:毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は、翌水曜日が休館)
■入場料:大人1500円、中高生1000円、小学生500円
■場所:JRさいたま新都心駅下車、さいたまスーパーアリーナ内
■問い合わせ:ジョン・レノン・ミュージアム 048-601-0009

 
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