少年から大人へ…。大きな成長を遂げた1年

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少年から大人へ…。大きな成長を遂げた1年

 

 

Backstreet Boysは快適な場所に到達した。もはや彼らは、何を目指すグループなのかを誰かに弁明する必要もない。Brian LittrellとKevin Richardson、Howie Dorough、Nick Carter、そしてA.J. McLeanの5人が身をもって示しているのは、“ボーイ・バンド”としてデビューした彼らが、完成度の高いハーモニーを聴かせるヴォーカル・グループに成長できる――そして、その過程でコアなファン層をずっと引っ張っていけるという実例なのである。実際多くの人々が、彼らを世界最大のポップ・グループと見なしている。彼らはこの3年足らずの間に、45カ国以上でゴールドディスクやプラティナディスクを獲得し、全世界で5500万枚という途方もない数のアルバムを売っているのだ。

Backstreet Boysは長いあいだ、世界中のファンに誠実を尽くす一方で、音楽業界から評価を得ようと懸命にやってきた。「一般の人たちのなかには、“ボーイ・バンド”は作りものだっていう見方があると思う」とBrian Littrellは説明する。

でも、ぼくらはこのグループを8年近く続けてるんだ。メンバーはもう、みんな大人だよ。目標も抱負も初めのころとは違ってきている。でも、グループとしてどんな歌を歌うのがベストなのかっていう点については、メンバーの意見はいつも一致してるんだ。ぼくらは昔から一貫して、こんなふうにやってきた。いまもそうなんだよ

この1年間で、Backstreet Boysは歌手としても人間としても一段と成熟した。Brian Littrellは、長らく交際していたLeighanne Wallaceと9月に故郷アトランタで結婚した。今年、Back streeterで結婚したのは彼だけではない。同じくメンバーでLittrellの従兄弟にあたるKevin Richardsonも、6月にKristin Willitsと結婚している。人気の絶頂期にメンバー2人が結婚するというニュースが流れたことで、ファンがどのような反応を示すのか。Littrellは当初はすこし心配だったと認める。

「はじめはファンがどう受けとめるのか気になった。けど、やはり自分にとって何がベストなのかを考えなきゃいけないんだよ。
ぼくらがどんな決断をするのか、注目してる人が大勢いる。もし自分だったらどうするか、という意見もいろいろ聞いたよ。けど最終的には、自分にとって大切なことをするしかない……。いい曲、楽しい曲を作って、ほかの人たちの人生に訴えかけようとするなら、まず自分が満足できる人生を送ってなきゃいけないんだ

結果は、新婚のメンバーとその妻たちが胸を撫で下ろす嬉しいものだった。ファンたちは結局、彼らの音楽のファンだったことが明らかになったのだ。「ぼくらのファンだっていう人たちに会ったり、一般の音楽ファンの人たちと話をしてても、みんながぼくの背中を叩いて『おめでとう』って言ってくれる。Kevinとぼくの決断を支持してくれたんだ」とLittrellは興奮気味に語る。

仕事の話に戻ろう。Backstreet Boysのニューアルバム『Black & Blue』は、明確に「いい曲、楽しい曲」を中心に据えたアルバムである。「そうだね、そういう面があるとすれば、レコーディングの前に曲をじっくり聞き込んだからだと思うな」とLittrellは言う。

いまぼくらがグループとしてどういう方向に向かってるのか、将来どういうグループを目指すのかをきちんと考えて、それに合ってると確信できる楽曲をレコーディングしたかったんだ。ぼくらが重視してるのは、いつも楽曲だよ。いまのぼくらにぴったりの曲、ぴったりのサウンド。ここ2、3年、ぼくらのサウンドとともに周囲の音楽も変わってきましたけど、そのなかで、いわばパイオニアであり続けたいんだ」『Black & Blue』に収録された曲の選択は、けっして容易ではなかったとLittrellは話す。「最大の問題は、ぴったりの曲、歌がどれかってことだった。誰のどの曲を選ぶかってことが、たぶん、いちばん苦労した作業だったね

『Black & Blue』の制作に全神経を集中するためには、メディアのまぶしいスポットライトから遠ざかり、一時的にファンからも身を隠さなければならないと、Backstreet Boysは考えた。「作曲旅行ってぼくらは言ってたんだけど」とLittrellはそのときの様子を説明する。「メンバー5人だけでバハマのスタジオを10日間ほど借り切って、曲作りに没頭したんだ。それまで取りかかっていた曲やアイデアのうち、どれがアルバムに合っていて、どれが合っていないのか。歌詞やメロディーは、どれがいいのか。メンバーがそれぞれの考えをぶつけあった

バハマ旅行は意図したとおり、彼らにとって大きな収穫となった。「バハマに着いたときには、新曲が全部で7曲か8曲しかなかったんだ。レコード会社の立場とか作曲家やプロデューサーの立場を忘れて、グループとしてそういう話し合いをするのは楽しい。今回はぼくら5人だけでそうしたことができて、とても楽しかったんだ

メディアの関心は、『Black & Blue』の週間売り上げが、彼らと同じレーベルの'N Syncが今年打ち立てた記録を破れるかどうかに集まっている。しかしLittrellによれば、メンバーたちはセールス競争をあまり意識していないし、週間売上で彼らが急に注目されるようになって以後、いっそう記録には執着していないという。彼らが'99年5月にリリースした2ndアルバム『Millennium』は、発売直後の1週間で110万枚以上の売上を記録した。それは、'98年のGarth Brooks『Double Live』の売り上げを超える当時の最高記録だった。「数字に捕われると、競争になると思う。数を気にして、誰が1週目に何枚売ったっていうようなことを考えてると。たしかにぼくらはそういう状況にいる。ぼくらがGarth Brooksの記録を破ったんで、大騒ぎになっちゃったんだ。そしたら今度は'N Syncがやって来てぼくらの記録を破った。だけど、記録は破られるためにあるんだよ

たとえ『Black & Blue』が'N Syncの週間売り上げ記録を破っても、それはBackstreet Boysにとって本当に大切なことではないとLittrellは考えている。「事実として、これは一般の人にもファンにも分かってもらいたいんだけど、ぼくらにとって大切なのはいい音楽なんだ。数字は後からついてくるものだと、ぼくは思ってる」と彼は明言する。「記録を破るのは無理じゃないかな。それは、グループとしてのぼくらの目標じゃないし。ぼくらの理想は、曲やアルバムがひとりでに魅力を放ってくれるような……。そりゃ、新記録が作れたら嬉しいよ! でも、すべてを望むことはできない

『Black & Blue』のリリースに合わせて、Backstreet Boysは“100時間世界一周”と題するプロモーション・ツアーを行なうと発表した。行き先は、ストックホルム、東京、シドニー、リオデジャネイロ、ニューヨーク、そして南アフリカのケープタウン。彼らにとって国外に多くのファンがいることは大切なことなのだろうか。「もちろん、とても大切だよ」とLittrellは語気を強める。「5年前、ちょうど1枚目の『Backstreet Boys』が出たときに、プロモーションで日本に行ったんだ。そのときぼくらは、外国人アーティストとしてのいろんな記録を破った。リリース第1週の記録とか。そのツアーは大成功だったんだけど、そのあとぼくらは日本に1度も行ってない。コンサートのチケットも発売してない

彼らはもっと早い時期に、米国以外の数百万人のファンのもとへ訪れるべきだったとLittrellは思っている。「そういうところへ戻って、プロモーションをして、ぼくらの姿を見てもらうのは、グループとしてとても大切なことだと思う。実際に生の姿を見てもらったほうが、インパクトが大きいと思うんだ。外国にはぼくらのファンが大勢いて、1度もコンサートを見ないまま、ぼくらの歌を聞いてくれてるわけなんだ。だから、そういうところへ行って生の歌を聞いてもらうのは、ぼくらにとって大切なことだと思う

彼らの成熟は、いっしょに仕事をした顔ぶれとも大いに関係があるだろう。『Black & Blue』の制作にあたって、彼らは初めてKenneth "Babyface" Edmondsと組み、自作曲“Time”のプロデュースを依頼した。またRodney Jerkins がプロデュースしたR & B風味の“Shining Star”は、アルバム全体の多様性に絶妙のひと味を加えている。「今回ぼくらは、グループの歴史のなかで最高レベルのプロデューサー、ソングライターたちと仕事ができた。この経験から学んだものは大きいと思う。きっと将来の役に立つよ。
いまぼくらは、その経験を消化して、自分たちの曲作りやプロデュースに吸収しようとしてるところなんだ

Backstreet Boysにとっての当面の課題は、いま流行の音楽がある日突然時代遅れになる気まぐれな音楽業界と、しっかり向かい合っていくことである。「もっと良くなろう、もっといい仕事をしようとしなければ、そこで止まっちゃうわけからダメだよね」というのがLittrellの意見である。「いつも、より良い自分を目指してなくちゃいけないんだ。それは、いままでの自分を超えることじゃなくていい。ぼくらは、これまでの実績を超えようとしてるんじゃないんだ。そんなことを気にしだしたら、大切なものを見失うからね。そんなことより、曲作りやプロデュースの才能を伸ばしたりして自分自身を高めていくほうが、ずっと将来のためになるだろうね

Backstreet Boysは音楽業界全体に大きな衝撃を与えてきた。そんな彼らは、現在のティーン・ポップ/ボーイ・バンドの流行に言いたいことがあるようだ。「いろんな人たちが出て来て、ぼくらのようなのサウンドをやってるよね。それは、ある種ぼくらが認められてるってことなんだろうけど、ぼくらはもっと良くなろうとしてるし、音楽業界全体をより良くしようと思ってる」とLittrellは自信を見せる。「ぼくらがいま将来に向かってしてること、考えてることはそういうことなんだ。これまでぼくらはいろんなことを成し遂げてきて、素晴らしい仕事ができたと思ってる。これからも、たくさんアルバムを出して、もっといい仕事をして、いまいる場所でやっていきたいと思ってるんだ

Interview conducted by Neal Weiss

 

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