アンダーグラウンドからの浮上

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アンダーグラウンドからの浮上

 

GodheadのJason Millerは、“God”をその名に冠するバンドの大量発生を決して喜んではいない。

冗談じゃねぇっての!」鼻息も荒く、彼は言う。「こっちはGodsmackが出てくるずっと前からGodheadって名前でやってたんだぜ

仰せの通りである。Godhead(シンガーのJason Miller、ベーシスト兼プログラマーのThe Method、ギタリストのMike Miller、そしてドラマーのJames O'Connor)は、現状ではまだ周知の名ではないが、ゴス/インダストリアル系のシーンに詳しいリスナーには、'90年代半ばからGodheadのファンだったという人も多い。Godheadは'94年からレコード制作を開始、'96年以降は不動のラインナップで活動している。このジャンルに属する大半のバンドに典型的なサウンド、つまりムードとパワーの融合に、創意工夫を凝らしたアプローチで取り組むGodheadは、明らかに一線を画する存在だ。このバンドが新たなレコード契約を手にするに至ったのは、実はMarilyn Mansonという名のファンを獲得したことがきっかけだった。

Mansonは自身のレーベル、Posthuman Recordsの旗揚げに際して、Godheadを契約アーティストの第1号に選んだ。いくつかの大手レーベルとの競合もあるにはあったが、4人を地元のワシントンDCからロサンゼルスまで呼び寄せショウケースをやらせるという、いかにも企業的な各社のやり方は彼らを感心させなかった。「なんかシラケちゃってさ」とJason。「リハーサル用のスタジオを用意して、そこで俺たちにショウをやって見せろって言われてもね」。一方のMansonは、もっと気軽だった。「2日くらい一緒に過ごしたんだ。彼はアルバムのレコーディング中でね」とJasonは振り返る。「レーベルで何をやりたいのか、とか、うちのバンドをどうするつもりなのか、とかいろいろ話し合って、ここがピッタリかな、と

Godheadの新譜『2,000 Years Of Human Error』のエグゼクティヴプロデューサーをつとめたMansonだが、自らの意思をバンドに強要することは決してなかったという。Jason曰く「最終的には、すべての決定権が俺たちにあったことになる。彼のほうでアイデアがあれば試しにやってみて、使えるかどうかを一緒に見極めていった。彼との仕事はメチャクチャやりやすかったよ

GodheadはMarilyn Mansonのファンからすでに歓迎を受けている。というのも、『2,000 Years』の発表に数カ月先駆けて、Mansonの前座をこなしたのである。「彼のファンは彼の動向をしっかり把握していて、だから俺たちが何者かちゃんとわかっていてくれたんだ」とJasonは驚きを隠さない。

その時のツアーの仕組みは、過去にGodheadが何度かやってきたものと比べて遥かにシンプルなものだった。例えば、'98年に彼らがインディーリリースした『Power Tool Stigmata』以降、2度に渡ったツアーはこんなものだ。

俺が自分で全部ブッキングしたんだぜ。寸分の狂いなくスケジュールを組まないといけないんだ。ほとんどの町で、ゴス/インダストリアルをやらせてくれる会場はひとつしかなくて、しかも週に1晩か2晩に限定されてるから、まず行く先々の町でいつやれるのかをチェックし、それから個々のプロモーターに連絡して予約ができたら、今度は、どういうルートで行けばうまく回れるかを考えるってわけ!

しかし、そう語るJasonもすべての努力は報われたと考えている。「けっこう成功したしね。何といっても、ゴス/インダストリアルのコミュニティは結束が固くて、お互い助け合おうって連中がいくらでもいるから

Godheadがアンダーグラウンドのシーンから目に見えて浮上しつつある今、当時の関係者たちはどう思っているのだろうか。Godheadの同胞たちは彼らを祝福してくれるのか、それとも反発を生むことになるのだろうか。

やることはやってきたつもりさ」とJason。「これだけがんばったんだから、たいていの人は俺たちのために喜んでくれると思う。新しいレコードでは、俺たちに力を貸してくれたインダストリアルシーンのたくさんのバンドに念入りに感謝したんだ。中にはウルサイことを言うやつもいるだろうけど……。それは俺たちとしてはどうしようもないだろ?

 

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