偶然と経験と、その場のノリで生まれる新機軸

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僕は“J-POP”アーティストなんです。
いち“J-POP”アーティストとしては、
今回非常に歌の少ないアルバムだと思いますね。


石野卓球ソロ作品としては4作目となるアルバム、『karaoke jack』。
前作までのクラブを意識して作られたテクノサウンドとは対照的な、キャッチーでカラフルでポップな曲が並ぶ作品となった。

頭で考えコンピュータで作る音楽ほどつまらないものはないでしょう


「stereo nights」

Ki/oon Records KSC2-372
1,223(Tax in) 発売中

1. stereo nights
2. hirosuebaseballbat
3. stereo beats



『KARAOKE JACK』

Ki/oon Records KSC2-374
2001年4月25日発売 3059(Tax in)

1. elektronik go go go
2. rock da beat
3. turn over
4. S.W.A.P
5. HypeHype
6. fight to Shang-hai
7. lepeggi
8. gimme some high energy
9. piano klang
10. Chieko's acid experience
11. stereo nights
12. Frankenstein's haus



石野卓球本人から
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《石野卓球 初のソロライブ決定!》

アルバム『KARAOKEJACK』発売記念ライヴ
<KARAOKE NIGHTSCOOP>

場所:新宿リキッドルーム
日時:2001年5月24日(木)
開場/開演:24:00
料金:5,250(Tax in 1D別)
LIVE:TAKKYU ISHINO
DJs:TOBY / KAGAMI

チケット一般発売:4月21日(土)
03-5237-9999(チケットぴあ)
問い合わせ:03-3796-9999(オデッセー)

※オールナイト公演の為、18歳未満の方は入場できません(IDチェック有り)。予めご了承下さい。

――先行シングル「stereo nights」はこれまでになくリラックスした雰囲気を感じたんですけど、心境的な変化があったんですか?

石野:
うん、変わりましたね。間にずーっと電気グルーヴだけをやってたんですけど、アルバムを出してひと段落したので、ようやく気分的にも落ち着いて“もうどこに向かってもいいな”っていう状態になったんです。前はソロやる時って電気グルーヴの活動と並行してやってたんで、“電気ではこういうことやったから、じゃあその反対に”という振り幅から作ってた部分もあったんですけど、そういうものも今回はなくて。どっちの方向に転がっても構わないっていうところから始めたんで、すごく気分的には楽でしたね。前のソロは、自分のDJのセットに沿うようなものを作ってたんですけど。

――じゃあ、今回はDJでかけることを意識したっていう感じでもない?

石野:
シングルはそうですね。どちらかって言うとラジオとかそういうところでかかるようなことを考えて作りました。

――アルバムの前置きとして“こんなイメージでいこう”とかはあったりしたんですか?

石野:
うん。まあ、シングルに関する話だと、当初別な曲をシングルに切る予定で、そのシングルのカップリングで“何か一個おもちゃみたいな曲があったらいいな”と思って、そういうのを作るつもりで始めた曲だったんですけどね。それで、随分前から使おうと思っていたサンプルがあって、喜納昌吉さんの「花」っていう曲なんですけど。それをずーっと温めてたと言うか、使う機会がなくて。アイデアはあったんですけど、今回それを使ってみようと思って始めたらキャッチーな曲になったんで、結局そっちがシングルになったっていう感じですね。

――キャッチーな曲の方を選んだのは、より多くの人に聴かせたいという意図から?

石野:
それはどのアーティストでも同じですけど、難しい曲をシングルに持って来ることもないと思うし。先行シングルという成り立ち上、アルバムに興味を引かすようなもの、っていう所で存在するものだと思うので。ただ、自分の場合はシングルよりもやっぱりアルバムの方を聴いて欲しいっていうのが強いから、シングルのプライオリティは低いかも。そんなに売れるもんじゃないしね(笑)。

――いや、今回はすごく売れそうでしょう?

石野:
皆さんそう言うんですけどねえ、まわりの人達は別に言うだけで責任取んなくていいし、言うのはタダですからね(笑)。

――(うろたえて)そ、それはそうですけど。

石野:
まあ、売れるっつってもね、普段千枚しか売れない人が1万枚売れたらそれは「売れた」だし、普段200万枚の人が150万枚だったら「売れなくなった」だしね。

――でも、ドライヴとかにも合いそうだし…。

石野:
そうですね。別にナップスターでダウンロードした人でも、楽しんでくれれば構わないですよ。僕に一銭も入らないですけど。

――何万枚売れるか、よりもより多くの人に聴いて欲しい、みたいな?

石野:
ただ、ちゃんとお金も欲しいですよ。聴いてもらうだけだったら駅前でギター持って歌ってる方がまだいい。あいつらだって金取りますからねえ(笑)。

――(笑)で、アルバムの方なんですけれども、媒体用の紙資料で“シーケンシャル、テクノ、ディスコ、エレクトロ”がキーワードだと書かれていますが、これを説明すると…。

石野:
…って言うか、それを書いておけばインタビューで説明しなくてもいいから(笑)。その通りなんですよね。それ以上でもそれ以下でもない。そこに細かい説明をつけることも可能ですけど、長くなるし、説明しても無駄なので(笑)。シーケンサーで作った電気音楽のテクノ・ディスコですよ、という。それがどうしてこういうものになったのか、っていうところは音楽を聴く上で邪魔になるんじゃないかと最近思ってて。「じゃあインタビュー受けんなよ」って話になっちゃいますけど。

――そういうわけにもいかないし。

石野:
大変ですよね。

――でも例えば“エレクトロ”という言葉は、'80年代のヒップホップやニューウェーヴを聴いていた世代には馴染みがあるし、聴くとそんな感じのフレーズがあったりしますよね?

石野:
ただ、エレクトロは日本だと今馴染みないですけど、ドイツとかに行くとずーっとあるジャンルで、未だに全然過去のものではなくて現役の音楽なんですよね。

――懐かしいって感覚じゃない?

石野:
ないですね。新しいアーティストもたくさん出ているし。日本だとテクノとヒップホップの一種みたいな感じですけど、海外の雑誌のディスク・レヴューとか見ると「テクノ/ハウス/トランス/エレクトロ」とかってあるし。だから、決して終わった音楽ではなくて今も続いてる音楽ですよね。よく日本のアーティストとかにあるような、古いものを持って来て「今これが旬だろ!」みたいに狙ったものではないんです。

――ああ。狙ってないという意味では、前に田中フミヤさんとリズムマシンでセッションしたりとか、必ずしも意図を持って作ってるわけじゃないと話してましたね。今回も「いろいろ遊んでみたらこういう音が出て来ました」って事なんでしょうか?

石野:
そうですね。最初に考えてやっても、あんまり面白いものになんないんですよね。どうしても、頭で考える想像力よりかは、その場で実際にやってみて偶然に生まれるものの方が遥かにぶっ飛んだアイデアだったりすることの方が多いので、あんまり最初に「こういうものを作ろう」なんて風には考えないようにはしてます。それに、頭で考えたアイデアをそのまま音にするほど器用じゃないし。

――でも、今作は曲の起承転結とか、緻密に計算された印象もあったんですが。

石野:
計算してたらそれは出来ないんですよ。それってたぶん10年もやってるので、体の中に染みついてるものだったりとか、今までの経験でもう分かっているところだったりするんです。自然に出てくるものは頭の中で理論立ててやってもダメなんですよね。DJとかしててもそうなんですけど、頭で考えて「じゃあ今日はこの曲順でかけてやろう」とかって考えても絶対ダメだし、その場のノリに合わせて選んで行ったりとか、レコードがズレたらズレたままミックスしてこうとかっていうのが、結局新しいものになったりするんです。

――計算され尽くしたものより、偶然の化学反応の方が上回る場合があると?

石野:
「サトリ」って昔話ありますよね? “サトリ”っていう妖怪がいて、人の気持ちを読む妖怪なんですよ。で、それがある日旅人の泊まっている山小屋に来て二人サシになるんですよ。そこで旅人は「おまえの今考えていることはわかるぞ」って言われちゃうんですね。「その薪を投げて俺から逃げようと思ってるだろ」とか全部見透かされてしまうわけですよ。なんだけど、薪を割った時に偶然その薪が飛んで行ってサトリの目に当たって、さすがにそれはサトリにも読めなかった!って退散して行く話があって。正に何か、作り方とか、音楽とかの新しい、自分でも思いつかないアイデアとかはそういうことではないのかな、と思いますよ。偶発的に生まれて来たアイデアを音にして行く段階では、ある程度今まで持ってるノウハウを活かしていくところはありますけど、一番突拍子もないアイデアってのはやっぱりそういうところから生まれますよね。それがあるから面白いんでしょうね。じゃないと職業アレンジャーみたいになってしまうと思うし。

――やってる音楽はコンピュータ・ミュージックでも、発想は偶然が作用すると?

石野:
特にコンピュータを使った音楽とかって、頭で考えてそれをコンピュータを使って作る音楽ほどつまらないものはないでしょう。

――タイトルの『KARAOKE JACK』ですが、以前電気グルーヴでやる場合はカラオケで歌う層も視野に入れなきゃいけない、と話してましたよね。今回電気でなくソロであえて“カラオケ”をつけたのはなぜなんですか?

石野:
他のインタヴューでも言ってるんですが、僕は“J-POP”アーティストなんで、いち“J-POP”アーティストとしては、今回非常に歌の少ないアルバムだと思うんですよ。それは、ふだんポップスを聴いてる人からすれば「何だこれ、(歌なしの)カラオケじゃねえか」と。テクノ聴いてる人からすれば「何だこれ、歌入ってるの!? どうしてカラオケで歌ってるの」って、どっちからも取れるし、っていうことですね。

――あっ、カラオケで勝負するという意味じゃなくて逆説的なニュアンスで?

石野:
そうですね。それはどういう風に受け止めてもらっても構わないし。このアルバムを聴いた人が“どうしてこのタイトルなんだろう?”って思いを巡らせるところも面白みのひとつだったりもするし。特にインストゥルメンタルの曲とかって、タイトルとの結びつきとかって、分かった時に嬉しかったりするじゃないですか。それが間違っていて、作った本人の意図するところじゃなかったとしても。

――個々の曲のタイトルもそんな感じ?

石野:
まあ、その曲を作った日の夜、夕食を食べに行ったレストランの名前もあれば、ただ単にタイトルを連呼してるからだったり。アシスタント・エンジニアが間違って曲名を書いて、そっちの方が良かったんでそっちを曲名にしたりとかもあるし。それがどの曲かっていうのは御想像にお任せしますけど、タイトルに深い意味があって、っていうものではないんです。

――そういった部分でも、偶然の及ぼす力のスゴさってことなんですねぇ。

石野:
でも結果的には、実は意味がつながってたりとかっていうこともあったりするのが、やっぱり面白いところですね。

取材・文●尾田和実

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