FEED  日本版ビョーク!? 噂の新人デビュー目前ライヴレポ

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深く深く、人の心の深淵部を目指してくるかのように訴えかけてくるボーカル、というよりも声そのものにまず圧倒される。時折小刻みに震えながらも、まるでひとつの塊のようなヴォーカリスト・まやの声が、怖いほどの説得力と緊張感をもってリアルに響くのだ。その場の雰囲気を一瞬で独特のムードに変えてしまうのはもちろんのこと、聴き手の耳を捉えて離さず、じわじわと衝撃を与えていく。

早くもクランベリーズビョークなどが引き合いに出されているように、この声はもはや日本という狭い枠を完全に凌駕し、広く解き放たれる瞬間を待っているようにも感じられる。その異彩は、現段階ではバンドというフォーマットさえ放棄しているかのよう。次元の違いを感じるシーンも少なくない。もちろん、ギターをはじめとするバックのメンバーは彼女を強固にサポートし、一生懸命に導こうとはしている。特に重厚で鋭角的なギタープレイは、寡黙にサウンドイメージを構築し、彼女に陶酔を促してはいる。それでも、彼女の声はそのアンサンブルを遙かに超越しているのだ。そのうえ、完成度の高いメロディラインでさえ、隙があれば駆け抜けていってしまいそうな雰囲気だ。バンド名義である以上、そんな彼女の声とサウンドの拮抗が作り出す緊張感、そしてそこから作られる極上のグルーヴが、FEEDとしての魅力といえるのだろう。唯一無二。どんな美辞麗句も吹っ飛ばされそうな、存在感と表現力をもった、ヴォーカリスト・まやであるが、その声は一体どこを目指しているのだろうか。さいはて。とりあえずは、そんな響きが似合う貴重なアーティストである。

文●竹中吉人(01/06/21)

   

■FEED live @Club Asia 2001/06/12
〔set list〕
1 おどり
2 Without knowing
3 Lucifer
4 Where's the Blame?

■デビューアルバム 
『9SONGS』
2001年6月27日発売
MTCD-1006 ¥2,854(tax in)

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