復活のウィーザー、メンバー全員が語るカムバックまでの道 [前編]

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復活のウィーザー、メンバー全員が語るカムバックまでの道 [前編]
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「そうだなあ、よく分からないんだけど、10回に9回は何故か女性の歌になっちゃうんだよね」

最新アルバム

ザ・グリーン・アルバム
ユニバーサルインターナショナル UICF-1002
2001年5月12日発売 2,548(tax in)

1 ドント・レット・ゴー
2 フォトグラフ
3ハッシュ・パイプ
4 アイランド・イン・ザ・サン
5 クラブ
6 ノックダウン・ドラグアウト
7 スマイル
8 シンプル・ページズ
9 グロリアス・デイ
10 オー・ガールフレンド
11 ザ・クリスマス・ソング
12 アイ・ドゥ


ベーシストに恵まれない? Weezer
このインタビューの前文にもあるように、オリジナル・ベーシストのMatt Sharpが脱退した後、メンバーとして迎えられていたMikey Welshは、すでにバンドとともに活動していない(8月17日付ニュース参照)。この時点のニュースではMikeyは精神病院に入院したとのことだが、それも現在では退院はしているようだ。ただし、Mikeyが元どおりバンドへ復帰する見込みは薄いようで、オフィシャルサイトには、この件について公表する準備ができない限り、コメントやニュースは控えるとある。

その後、WeezerはBrokenというバンドで活動しているScott Shrinerをパーマネント・ベーシストに迎えてツアーを続行している。さらに、Scottとともにスタジオに入り、新曲のレコーディングも開始している模様で、こうした曲のいくつかはすでにライヴで披露されているようだ。あくまでも予定だが、順調に進めば'02年の5月には4thアルバムをリリースするとの情報も。インタビュー中で語っている「いつでも使える曲がゴマンとあるよ」という言葉は本当のようだ。

Weezerは'94年、フックの効いたサウンドを満載した衝撃的デビュー作(新時代のポップゴッド/元Carsのリーダー、Ric Ocasekのロデュース)でシーンに登場し、全米のあらゆる世代のポップファンたちを魅了した。さらに、このアルバムが放った最大のヒットシングル“Buddy Holly”には、『Happy Days』(アメリカのコメディドラマ)の架空のエピソードに登場するバンドを描いた、Spike Jonze監督による印象的なビデオクリップというおまけがついていた。VH1によれば、このビデオは古今の名作の1つに数えられている。

しかし'96年、セルフプロデュース・アルバム『Pinkerton』で再びシーンに戻ったWeezerを待っていたのは、典型的な“2作目のスランプ症候群”だった。コマーシャルなサウンドの減少、そしてPinkerton警備会社から訴えられるという2つの問題につきまとわれたこのアルバムは、デビュー作の成功には遠く及ばず、バンドはリーダーのRivers Cuomoがハーヴァード大学に通うかたわら、長期の活動休止状態に入ってしまう。そのうえ、ベーシストのMatt Sharpが自分自身のバンド、Rentalsに専念するため、“永久に”Weezerとしての活動を休止することを決意。Weezerの未来はとうてい明るいものとは思えなかった。

だが、Warped Tourへの出演が成功に終わったのと、いくつかの“サプライズ”ギグが好評を得たことがきっかけとなり、Weezerは再びOcasekと手を組んで、バンド名をタイトルにするのはこれで2度目となるアルバム『Weezer』(1枚目が『The Blue Album』と呼ばれていたのに対し、この作品は『The Green Album』と呼ばれている)をリリース。これはWeezerの結成以来最大のヒット作となり、バンドを再びMTVやラジオ番組のお気に入りへと返り咲かせた。いまやWeezerのカムバックは、ここ近年の記憶の中では最も大きな復活劇の1つと言われている。と同時に、彼らが一時姿を消していたことなどまるでなかったようですらある。

先日、Weezerのメンバーたち――Cuomoと、ドラマーのPat Wilson、ギタリストのBrian Bell、新ベーシストのMikey Welsh(彼は現在、一時的にバンドから離れている)――は彼らのホームグラウンド、ロサンゼルスにあるここLAUNCHのスタジオに立ち寄り、復活を遂げた感想や、Dogstar、Creedなど偉大なバンドが名を連ねる組織図の中にどうやって入り込んだのか、といったことなどについて語ってくれた。以下がその全容である。

今じゃRicは、僕たちにとって欠かすことのできない パーマネントクルーの1人だ

――『The Green Album』のレコーディングで、Weezerは久しぶりにスタジオ入りしたわけですよね。レコーディングセッションはいかがでしたか?

MIKEY:あっという間だったよ。

PAT:ああ、僕ら(PatとMikey)は1週間でほとんど完ペキだったもんな。ドラムとベースだけのパートがあってさ。クールだった。

BRIAN:全部仕上げるのに約1ヶ月半、マスタリングまで入れれば2ヶ月かな。

MIKEY:一番大変だったのはスタジオに入る前の準備段階だよ。なんたって80曲近くもあったのを、まだレコーディングを始めてもいないうちに20曲ほどに絞らなきゃならなかったんだから。これが一番キツかった。文字どおり髪を掻きむしりながら、どの曲を使うか考えまくったんだ。でも、いい仕事したと思うよ。結局トータルでは5週間くらいかな。

PAT:うん、死ぬほどたくさんのマイナーチェンジも含めてだからね。良くやったと思う。

RIVERS:それに、実質アルバム2枚分やったのと同じなんだ。いつでも使える曲がゴマンとあるよ。


――で、実際は何曲入りになったんですか?

PAT:もともと僕らとしては13曲入りにしたかったんだけど、レコード会社に“13曲はダメだ”って言われちまったんだ。13階建てのビルが不吉だってのと同じ理由でさ。で、11曲か12曲か14曲ってことになったんだけど、土壇場まで何も決まりゃしなくてね。ご存知のとおり、僕らには何も分からないんだよ。


――Ricと再び仕事を共にしてどうでしたか? そしてMikey、彼との初仕事の感想は?

BRIAN:まるでブランクなんか全然なかったみたいだった。めちゃくちゃ自然だったよ。

RIVERS:今じゃRicは、僕たちにとって欠かすことのできないパーマネントクルーの1人だ。

PAT:Ricは最高だよ。最高にいい奴だし、クールな奴だからツルんでても楽しいしね。

BRIAN:僕がRic Ocasekとの仕事が好きなのは、自分たちの欲しいものが分かっていて、共通の目標があって、その目標に集中できるからだけじゃない。本当に素晴らしい経験だと思うから。僕なんかスタジオに行く度に彼から何かを学んでるよ。

RIVERS:ホント、彼はあらゆる面で他の誰にもできないようなアドヴァイスをくれるんだ。彼と同じような経験をした人なんて他にはいないだろうからね。それを僕たちは共有できる。

BRIAN:うん、それに、彼とそういう経験をすることがなかったら、恐らく僕たちは自分をごまかすようなことになっていただろうな。

MIKEY:確かに彼は好感度高いよね。なんていうか、いい雰囲気を作り出すオーラがあるし、それに一緒にいるとすごく楽しい。曲に対するアイディアの豊富さもさることながら、何時間でも一緒に過ごしたいと思えるような人なんだ。


――彼とは以前に会ったことがあるんですか?

MIKEY:いや。と言うか、去年の秋にニューヨークでプレイしたんだけど、その時が初対面かな。


――前作『Pinkerton』はセルフプロデュースでしたね。今回また外部のプロデューサーを起用しようと思ったのは何故ですか?

RIVERS:前の作品があんまりひどくて誰もラジオでオンエアしてくれなかったから、今回はちゃんとプロデューサーに頼むことにしたんだよ!


――ホントにそう思ってるの?

RIVERS:まあ、そうだね。前回“El Scorcho”ってシングルをいろんな所に送ったけど、要は番組のディレクターたちから、「ありゃヒドい曲だな。最低だよ! うちの番組じゃ絶対かけないね。どれだけ多くの人が電話であの曲をリクエストしようが、そんなことは関係ない。最悪の曲なんだからオンエアするわけないだろ」てなことを言われまくったんだ。だから、いくらなんでも今回は、あれよりひどいリアクションは来ないんじゃないかな!

PAT:うーん、今回はもうちょっと整然とした作品にしたかったんだよな。前のアルバムは奇抜だったからさ――良く言えば、だけどね。実際には気分のままズルズルやってただけだけど。で、今回はあんまり範囲を広げ過ぎないアルバムにしたほうがクールなんじゃないかって思ったんだ。だから、どっちかって言うと1stアルバムに近いかな。要するに前作よりタイトだし、より焦点を絞ったものになってるってこと。


新曲にはちょっと戸惑ってたけど、曲が終わるころにはみんなキャーキャー言ってたよ

――昨年、何度か行なわれたショウではテスト的に新曲をプレイしたんですか?

RIVERS:うん。“Hash Pipe”“Don't Let Go”“Island In The Sun”を演った。


――反応はどうでした?

BRIAN:すごく評判良かったと思うよ。ショウのある部分、大体半分終ったくらいのところでこの3曲を入れたんだけど、最初はものすごいエネルギーが充満してるんだよ。それまでは知ってる曲ばかりだったからね。僕たちの曲って観客が一緒に歌いたくなるようなものが多いだろ。そこで歌詞が分からない新曲が出てきたもんだから、オーディエンスもちょっと戸惑い気味に聴き入ってたけど、曲が終わる頃にはみんなキャーキャー言ってたよ。

RIVERS:もしくはただ気を使ってただけ、とかね。実は全然気に入らなかったとか。

MIKEY:ヒット曲の間に新曲をプレイするってのは面白いもんだね。ショウの前半はめちゃくちゃ観客が盛り上がってて、その後は1つひとつの音をじっくりと聴きだして、レスポンスも良くなって、それからまたヒット曲に戻るって感じ。まあ、難しいやり方だとは思うけどね。でも、結果的には上手くいったよ。

PAT:大盛り上がりだったよな。それに、海賊盤がたくさん出回ってたから、ツアー終盤になるとオーディエンスもちゃんと歌ってたのが分かったよ。めちゃくちゃクールだったね。


――“Hash Pipe”をこのアルバムの1stシングルにすることについて、レコード会社はあまりいい顔をしなかったと聞いてますが。

PAT:まったく、毎日伝わってくる話が違うんだよな。ある時にはこの曲をシングルにしようと言い張ったのはレコード会社側だって話だったり、その次の日には難色を示したってことになったり。MTVはめちゃくちゃ気に入ってるとか、最悪だと言ってるとか……。

MIKEY:誰も信じられないよね。

PAT:実際に自分の目で確かめるまでは誰の言うことも信じないさ。

RIVERS:僕が聞いてるのは、MTVがこの曲のタイトルに問題があると言ってるってことだけだよ。放送禁止用語ってことなんだろうけど。おかしいよね。だって、最も低俗なチャンネルの1つなんだぜ。死ぬほど気持悪いビデオだっていくつも放送してるのにさ。それなのに、僕たちの曲は編集しないとオンエアできないんだって。別に悪い言葉なんかほとんど使ってないのにね。だいたい自分でも何歌ってるのかよく分からないくらいなんだから。単に意味のない戯言を集めただけのことでさ。でも、それが彼らには気に入らないのかも。


――このアルバムには、女性について歌った曲がたくさん収録されていますね。

PAT:確かに女性についての歌が多い。

MIKEY:それは認める。


――何故ですか?

RIVERS:そうだなあ、どうしてそうなのかはよく分からないんだけど、10回に9回は何故か女性の歌になっちゃうんだよね。けど、それって僕だけじゃないだろ。他の数多くのソングライターにも起こることさ。要するに何にインスパイアされて曲を書くかってことなんじゃないのかな。それがハッピーなことであれ、悲しみであれ、怒りであれね。こうした感情の根っこを探ってみると、たいていどこかに女性が関係してるものなんだ。


――確か前回のツアーでは、女性ファンがステージに向かって下着を投げていたようですが?

BRIAN:ああ、あれね。今じゃインターネットで国中の人々とインタラクティヴにコミュニケートするのが当たり前のようになってるじゃない。で、どういうわけかスーパーマンのパンツを投げる話がネットに載ってしまったんだ。で、それを面白いと思った奴がいて、下着を投げるのが流行っちゃったのさ。まるで『Rocky Horror Picture Show』みたいだろ。

PAT:Weezerの掲示板じゃ、この“愛の下着”ネタが今ホットな話題になってるんだ。どこからどう始まったのかは知らないけど、これがまたバカでかい下着でさ。

MIKEY:皮肉のこもったパンティたちなんだよ。

PAT:恐いよなあ。だっておかしいじゃん? コンサートでステージの上に投げるためにバカでかい下着を買いに出掛けるなんてさ。そんなに至近距離でまじまじと見やしないけど。こっちとしちゃ、女の子たちが実際に身に付けてる既成の大きめの下着のほうがいいよな。

MIKEY:いろんなサイズや形のがあったから、そういうのも中にはあったんじゃないの。

RIVERS:調べてみっか。

BRIAN:俺んちにかなりスゴいコレクションがあるぞ!

By Craig Rosen/LAUNCH.com

後編】に続く

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