Captain Funkでアリだったものを全て無しにしたい

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Captain Funkでアリだったものを全て無しにしたい

僕はあえて悪意とユーモアをもって勝負したいと思って…

最新アルバム

『Here And You』

Music Mine
IDCA-1010 2,500(tax in)

1 The Grow
2 Rambler and Canter
3 Time Has Told Me
4 Unexamined Sam
5 Idle Curiosity
6 Ain't Knockin' at Your Door
7 Fickle Hound
8 Dismissed
9 Sylvan Rot
10 Hollow Stone
11 Sleep Will Come


インタビュー映像はこちら!!


■OE「The Grow」のPVはこちら

■Captain Funk「Losin' My Way」のPVはこちら

Official Site
http://www.tatsuyaoe.com/

――まず今作『Here and You』を聴いて、Captain Funkと同じ人とは思えないくらい全く違う印象を受けました。今回、Captain Funk名義ではなく、あえてTatsuya Oe名義でリリースされた理由を教えてください。

OE:
前提としてCaptain Funkはこれからも続けていくんですけど…、Captain FunkはDJやダンス・カルチャーと結びつきが強いキャプテンでファンクな音(笑)を作っていたのですが、それとは違うパーソナルな部分を表現したいなと思って…。今回は作り方もちょっと違うんですよ。それで音も違うし、作り方も違うので名義を変えました。それと今作に関しては、Captain Funkでアリだったものを全て無しにしたいっていう気持ちがあったんです。まず、'90年代的な熱狂を無しにしてリセットしたかった。わかりやすく言えばサンプリングは使わない、企画書で「おっ、おもしろそうじゃんこの音楽」っていうのは絶対作らない…というように自分の中で決まりを作ったというか。だから余計、密室っぽくなっていると思うんです。

――全ての作業を一人でこなしているとか?

OE:
Captain Funkの時も基本的に一人プロジェクトではあるんですが、Captain Funk名義で出した前のアルバム『Songs Of The Siren』はいろんなゲストミュージシャンの方に参加してもって、横の広がりが出てきたので、いろんな人とコラボレーションするのはCaptain Funkでやることにして、Tatsuya Oeはもうちょっとパーソナルで宅録的な音楽のアイデアをそのまま出せるような形でやっていきたいなと思っています。

――Captain FunkとTatsuya Oeという二つのプロジェクトの違いについて詳しく教えてください。

OE:
僕の中に二面性はもともとあって、その中でもやっぱりCaptain Funkはエンターテインメントとして考えていたので、自分のエゴをそのままさらけ出すよりも、みんなとコミュニケーションできるような音楽にしたかったんですよ。今回それとはまた全然違う事が、 ……例えば夜のダンスフロアがCaptain Funkだとすると、昼の自分とか普段すごく当たり前に考えている事が音楽で表現できるんじゃないかと思い始めたんです。前はね、そういう音楽は好きなんだけど自分でそれをやるのはどうかな? もしかしたらそれを文章で書くとか別の表現方法でやってった方がいいんじゃないかと思ってたんですよ。でもそれをやっと音楽で出してみたいって思うようになったのが、ここ2、3年なんです。実は『Songs Of The Siren』で半分(Tatsuya Oeとしての)自我がめばえていて(笑)あのアルバムはある意味ブリッジっていうかどっちとも取れる所があったと思うんですけど、あそこで結構吹っ切れたと言うか、そっち(Tatsuya Oe名義)も出す事によってよりエンターテインメントの方も楽しめるんじゃないのかな、みたいな風に思い出したっていうのがあるんですよね。 やっぱりダンスミュージック・シーン自体が肥大化するにつれて芸能っぽくなっていった部分があるじゃないですか。Captain Funkとして僕はそのど真ん中にいたし、そういう風にも聴こえたと思うんですけど、僕はあえてそれに悪意とユーモアをもって勝負したいと思っていて。これまでもそれをやってきたし、これからもやるつもりなんです。

――なるほど。ではアーティストの立場からこれからのダンスミュージック・シーンはどうなっていくべきだと考えているのですか?

OE:
ダンスミュージックっていうものでは無いのかもしれないって思っているんですよね。音楽でも何でもそうなんですけど、頭で考える時代と身体で動かす時代っていうのがあると思うんです。'90年代は動く音楽、動いて考える時代だったような気がしていたのですが、今はちょっと頭の時代と動く時代のバイオリズムが入れ替わってる時じゃないかなって思っていて、今は動くのも大事なんだけど、動きながら考えていく時代かなと。だから、その解答が今はダンスミュージックなのか僕にもわからないんですよ。ただ、これがまた数年経ち、5年、10年経っていくと、またみんなのフィジカルな衝動とそれまでに考えたいろんなアイデアが、ぶつかり合ってまたすごいムーヴメントになって行くんじゃないかなと思っています。だから、僕的にもすごくバランスを取りながら考えていかなくちゃいけないんじゃないかなって。

――なんだか現在のダンスミュージックでアヴァンギャルドなものを好む人たちがフロア離れした音楽を好む傾向にあることとも通じるところがありますね。

OE:
そうですね、いわゆるIDMみたいなのがそれの100%解決しているとは思わないし、あれは一つアイデアとしては貴重なものだとは思うんですよ。全然違う形のノンビートで表現する人もいますし、音楽をやめちゃう人もいるだろうし、そういういろんな形があって何年かしてまた集結されていくんじゃないかと思ってますね。そういう意味で言うとダンスミュージックをやらなきゃいけないという使命感よりは、今何を考えなければならないか、考えついた事をすぐ形にしていけば成果につながるんじゃないかなと楽観的に思ってます。

――なんだか、このアルバムに込められた意義が少し分かったような気がします。今後の具体的な活動は?

OE:
Tatsuya Oe名義の作品はアイデアが浮かべば、家で作ってそのまますぐ出せるので今もどんどん作っていて、自分のホームページとかでも発表していこうかと思っています。こっちはフットワーク軽めに行きたいなって。Captain Funkの場合はもうちょっと周りのの仕掛けとかが必要だったりするのでタイミングを図る必要があると思いますが、これからもそれはそれでやっていきたいんです。ただ第一期Captain Funkのスタイルっていうのは『Songs Of The Siren』で一回終らせたっていうのがあって、これからはまた違う形で展開できたらなって思ってるんです。とりあえずCaptain Funkとしてはデカイ物作ろうかなって思っています。

取材/文●門井隆盛

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