深く強い声に込められた意思―美貌の女性シンガー、しなやかにデビュー

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深く、強い声に込められた意思―美貌の女性シンガー、しなやかにデビュー

ザ・バンドのロビー・ロバートソンがこのシンガー・ソングライターを気に入り、自ら契約に臨んだ理由がよくわかる。ダナ・グローヴァーのデビュー作『テスティモニ』には、ダナ自身が弾く情熱的なピアノのフレーズに乗って、「生きる」ということを極限まで追求した歌詞が紡がれているのだ。ゴスペルとソウルの入り混じった深く強い声が、曲と歌詞に込められた意思を、さらに後押しするかのようにこちらの胸へと届けてくれる。

幼い頃に音楽を志したダナは、その夢を実現するためにファッション・モデルをしていたこともある美貌の持ち主。インタヴュー前日のライヴでは、ステージに登場したダナを見て一瞬、会場が静まり返ったほど。だが、本当の衝撃はその後にやってきた。観客すべての心を鷲づかみにし、会場の壁さえ震わせたダナの声といったら! 本格シンガー・ソングライターが、ここに誕生した。

取材/文●妹沢奈美

歌詞のひとつひとつを聴いて感動してくれるのが一番うれしい 

1stアルバム


Testimony

UNIVERSAL INTERNATIONAL
2003年01月22日発売
UICW-9003 2,079(tax in)

1 Rain
2 Thinking Over
3 Almost Had It All
4 Cherish
5 A Reason
6 Maybe
7 Make It Real
8 River Of Love
9 Falling Into Love
10 The Way (Radio Song)
11 Testimony
12 You Are The One

・UNIVERSAL MUSICの
ダナ・グローヴァー公式サイト


デビューシングル「シンキング・オーヴァー」のビデオ・クリップとアルバムの収録曲
が試聴できます


ダナ・グローヴァーの手袋&マフラーを
抽選で3名様にプレゼント!
情熱的な歌声を聴かせてくれる
ダナから温もりのこもったプレゼント。

ご応募はこちらからどうぞ。
(締め切り:3月14日)

――ライヴの時、ずっと目を閉じて弾いてらっしゃいましたね。

子供の頃からずっと、ピアノの練習をしている時は必ず目をつぶっているの。何かを見ながらピアノを弾くことがなかったから、今でも自然に目をつぶってしまうのよね。だから、人前で歌う時も目をつぶっちゃうのよ。

――背筋が震えるような素晴らしいライヴだったんですが、あなたがライヴをする一番の喜びって何ですか?

人とコネクトするというか、ライヴで一体感を感じると特別な気持ちになれるの。私の心とみんなの心とが通いあう、つまり私の歌詞を理解してくれているというのを感じるのがすごく魅力的ね。

――確かに歌詞、とても興味深いです。どれも生きることにまつわる疑問だったり、悩みだったり、気持ちの揺れが率直に描かれていますよね。

ええ……私、過去にとても辛い時期があったの。大きな疑問が湧いてきて、でも答えはみつからない。とっても苦しくて、とっても怖かった。その時の経験があるから、他の人の疑問や悩みを理解することができるようになったと思うのよ。

――そうだったんですか。

でね、たとえば「シンキング・オーバー」は私自身のストーリーで、私の疑問から生まれた曲。だけど「レイン」は私の疑問ではなく、他の人の経験に基づいたことなの。でも、私もその人の苦しみがわかるような気がするのよね。私は自分でいつも自問自答してるから、他人の疑問も理解できるようになったと思う。

――女性シンガーは恋愛が大きなモチーフになる方も多いのに、あなたは逆に、社会的な要素も取り入れたりと広い内容を持っていますが、それは意識的なことですか。

ええ、意識的でもあるわね。恋愛を唄ってないわけじゃないけれど、恋愛について考えることで、それ以外のもっと大きなものが見えてくるの。外の世界に答えを求めたりとかね。私、恋愛で壁にぶつかったりすると、そこから違う疑問が湧いてくるのよ。

――あなたはアメリカ南部のノース・キャロライナで生まれたんですよね。そこで育ったことが、あなたの価値観形成にどのように影響を与えたと思いますか。

育った環境は何より音楽的に影響を与えたと思うわ。母のお父さん、つまり私の祖父が、母が小さい頃に牧師になったの。だから、母はずっと教会で育ち、そこで音楽を学んだ。私の幼い頃も、母とよく似た環境だったわ。とても南部的な環境よ。そのことによって、人間形成上も影響を受けていると思うわ。だって、うちの母はサザン・ホスピタリティ(南部特有の暖かいもてなしの気持ち)に溢れる人だから。

――なるほど、あなたの唄にゴスペル風の雰囲気があるのも、そういう環境だったと聞いて納得できました。

そうね、ゴスペルが好きなのは、生まれもってのものだと思う。もちろん教会によっては好きじゃないスタイルもあるのよ。私が好きなのは、ブラックのサウンドを持っている教会のゴスペル。黒人女性が歌うゴスペルが大好きだったの。小さい頃からそういう音楽に親しんでいたしね。アレサ・フランクリンとまではいかなくても、彼女みたいなスタイルの音楽がとっても大好きよ。

――あなたはソングライター、シンガー、プレーヤーという3点でそれぞれ際立った個性を持っているわけですが、役割としてはどれがいちばん気に入っているんでしょうか。

ひとつひとつを分けて考えるのは、とっても難しいわね。お互いに関連を持っているものだし。ただ、何よりも、私の歌詞のひとつひとつを聴いて感動してくれるのが一番うれしいの。もちろん、全ての曲の全ての歌詞が感動的なはずはないとは思ってる。ただ、曲全体として聴く人が何かを感じてくれたら、私は本当に嬉しいの。


photo: Just Loomis
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