デビュー満15年にして、新境地へと向かう『BIG MACHINE』完成!

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B'z15年目にして13作目のオリジナル・アルバム『BIG MACHINE』が完成した。
年輪を刻むことと停滞することはイコールではなく、
二人の音楽キャリアのほんの些細なことも取り上げて燃料にし、
普遍と可変の音楽未来に放とうとする重厚な作品である。
好きな音楽を手放さず、挑戦するとはどういうことなのか? その回答がここにある。

取材・文●佐伯 明

デビュー満15年にして、B'zは“ZERO的気分”になっている

NEW ALBUM

『BIG MACHINE』
2003年9月17日発売
BMCV-8008 3,059(tax in)

1. アラクレ
2. 野性のENERGY
3. WAKE UP,RIGHT NOW
4. 儚いダイヤモンド
5. I'm in love?
6. IT'S SHOWTIME!!
7. 愛と憎しみのハジマリ
8. BIG MACHINE
9. Nightbird
10. ブルージーな朝
11. 眩しいサイン
12. CHANGE THE FUTURE
13. ROOTS

僕の考えでは、B'zのオリジナル・アルバムは4作ごとに一つの区切りをつけているのではないか? と思う。4thアルバム『RISKY』('90年)、8thアルバム『LOOSE』('95年)、そして12thアルバム『GREEN』('02年)は、それぞれにB'zの“何らかの方向性を帯びた時期”の小さなピリオドになっているような気がするのである。してみると、今回のニューアルバム『BIG MACHINE』は、新しい時期に突入する起点となる作品になる。事実、アルバムの後半に開示されるブルーに深く、エネルギッシュでありながら単純でない楽曲世界は、注目に値するだろう。僕がB'zの曲にあまり感じなかった世界である。

松本孝弘、稲葉浩志の二人はこんなふうに言う。

――今回のアルバム収録曲は、13曲で、いつもより若干多いんですけど、それは松本さんの(楽曲の)苗床作りから始まって、で、ロスでも曲を作れたから、結果的に多くなったってことですね。

松本:
うん。当初もうちょっと11曲とかでもいいかなと思ったんだけど、やっぱり構成を考えたときに、例えば「ROOTS」なんかも最後にあっていいだろうし、っていうんで、結局13曲に。

――何回も通して聴いたんですけど、6曲目「IT'S SHOWTIME!!」と、そこから先の「愛と憎しみのハジマリ」の7曲目と、なんか前半・後半みたいな感じがありますよね。

松本:
あ、そうですか? あんまり意識はしてないんだけど。

――稲葉さん的にはどうですか。今回のアルバムの流れの中で、僕は6曲目までひとつの世界があって、7曲目から始まるところの感じがありますが。

稲葉:
そうですかねえ。「IT'S SHOWTIME!!」自身がひとつの区切りになりやすい曲調っていうか、最初のシングルだったし、ま、そういうふうになるのかもしれないですけど。

――詞を書いてるときの、何となくの気分っていうのはありました? 統一的な。

稲葉:
いや、全然ないですよ。

――7曲目からね、けっこうブルーな感じになるんですよ、詞が。

稲葉:
そうですか?

――もちろん「眩しいサイン」とかね、その中での明るめな曲もあるんですけど。

稲葉:
それは、まずね、「野生のENERGY」と「IT'S SHOWTIME!!」は、スポーツのテーマ・ソングになってるのと、あと「WAKE UP,RIGHT NOW」は“アサヒスーパードライ”のCMソングになってるのと(笑)、だから、ブルーな歌詞は控えるじゃないですか。

――はあ。

稲葉:
その辺の“押しが強い曲”っていうのは、印象でそういうふうになっちゃう。

――でもタイアップが「時空冒険記ゼントリックス」だと大丈夫なんですか。

稲葉:
えと……大丈夫っていうか、これはちょっと違うというか、曲調として。そんなに耳慣れてないじゃないですか、みなさんは、この曲に関しては。

――そうですねえ。

稲葉:
後半のほうがちょっと新しく感じるっていうのはあるかもしれない。

――そうなんですよ。ダーク・ミクスチャー系な曲が多いですけど、詞も「愛と憎しみのハジマリ」などは、映画『マトリックス』的なところがあるんですよね。

稲葉:
ああ、どうなんでしょうね。

――“人はAIにプログラミングされて一生懸命生きるの?”みたいな。今回のアルバムの詞を書くにあたって、インスパイアされたものはないですか。

稲葉:
曲によってそれぞれですけど、ベーシックは曲が先なんで、アレンジをやっていく段階とか、アレンジが出来上がったときとか、ギターのリフだとか、アレンジのときに入った音色みたいなものにインスパイアはされるんですけど、インスパイアされて、自分の普段の生活の中で影響受けてるもののどれかに行き着くわけで。

――ここ1年ぐらいの稲葉さんの気分っていうのも、入ってくるんですか。

稲葉:
入りますね。ま、自分の置かれてる環境とかっていうのもそうだし。

――あと、時代の空気感みたいなものもありますか。

稲葉:
それはやっぱり自分の普段の生活のレベルまで、どこまで浸透してるかによるんだけど。だからイラク戦争なんかも、僕自身の勝手な話だけど、メディアを通して報道されないものは詞にならないわけですよ。“されないことがあるんだよ”ってことは詞になる可能性はあるけれども……。

アルバム名の『BIG MACHINE』とは、“B'z自身”あるいは“B'zというプロジェクト”のことでもあるという。マシンが叩きだす最高出力によって音楽未来を切り開いていく、今年がその元年になるだろう。デビュー満15年にして、B'zは“ZERO的気分”になっているのである。
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