やっぱりスゴかった、エイミー・ワインハウス

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体調が優れなかったのか、精神的に不安定だったのか、このところショウをドタキャンしたり、ステージに上がってもベストとは程遠いパフォーマンスを見せていたエイミー・ワインハウス。マスコミからは酷評され、次のショウに現れるかどうかが賭けの対象にもなっていた。

しかし彼女は、7月25日に行なわれたiTunesフェスティヴァルでのパフォーマンスで、そんな否定的な声を一瞬にして黙らせている。30分近くショウのスタートが遅れ、会場には「もしかして、今日もドタキャンかも……」との不安なムードが漂ったが、エイミーは小規模なステージながら、フル・バンド+3人の吹奏楽者、それに2人のバック・ヴォーカリストを従えてステージに登場。大歓声で迎えられた。

最近のショウでは酔っ払って現れたとか、歌詞を忘れていたなどと報道されていたが、この夜はそんな危うい場面は全くなし。エルトン・ジョンやミック・ジャガーから絶賛され、ブリッツの最優秀女性アーティストに輝いたその歌声はやはりスゴカった。

彼女は、のびやかで透明なヴォーカルでリスナーを魅了する“天使の歌声”シンガーとも、パワフルな声で聴く者を圧倒するR&Bシンガーとも一線を画する。クレオパトラ・メークにビーハイブくずれの髪型、斜め上に定められどこを見ているのかわからない視線、無表情でだるそうな動きの中、発せられる声はソウルフルでありながらも、ダーク。歌が上手いシンガーは数多くいるが、倦怠感を漂わせたこのジャジーなヴォーカルは卓越した存在だ。

彼女のサウンドはロックではないが、歯に衣を着せない発言や不安定で反抗的な行動はロック・ミュージシャンに通じるものがある。そのせいか、彼女の音楽はジャズやR&Bに興味がないロック・ファンでも受け入れやすいようだ。

UKやアメリカで大ヒットした2ndアルバム『Back To Black』は9月に日本でリリースされる。普段、女性シンガーの作品に興味がない人にも、是非、聴いてもらいたい。

Ako Suzuki, London
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